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【21】聖女様と街娘(7)


アイラなわたしは学校へ向かった。


街の学校は街の中心に近い所にあるの。

わたしが歩いていると


「アイラちゃーん!」


なんて黒髪の女の子が駆けてくる。

このわたしと同じ茶色の瞳の女の子の名前はシェリーちゃん。同じ12歳でわたしの一番の友達!


学校でも隣同士で大の仲良し。とても可愛いい女の子。

顔立ちが綺麗で五年もしたら、きっと美人になると思うの。

そしてもう一人合流したのはソフィちゃん。灰色のウェーブヘアで黒い瞳の気立ての優しい女の子。少しふっくらして頬っぺが柔らかい。いつもニコニコしているの。


わたし達三人はいつも一緒!

でもわたし背が低いから、この二人の方がお姉ちゃんに見えるの


「今日!アイラちゃんの誕生日でしょう?」

「うん!家で誕生会やるから、是非来て頂戴!

シェリーちゃんも!」


「絶対行くわ!」


こんな感じで同年代?の女の子達と和気あいあいしているの。学校は全校生徒で100人位。学校に通わない子もいるけど、殆んどの子供たちが通っている。


この街はアスタリス侯爵家の領地で、御屋敷からは結構離れている。領地は小都市みたいな感じでアスタリス侯爵の屋敷がある中心街。中心街だけど北と西側は森に覆われているの。他には東街。南街があり、わたしの家があるのは南街で冒険者が多くいる街になるわ。


三つの街が合わさって[ローレン]と呼ばれているわ。


中心街は商人が多くて、東街は職人が沢山いるの。

でも比較的多いくらいで、どの街にも商人も職人もいるわ。残りの人々は色んな仕事に従事している平民で、わたしの家もそんな平民一家なの。


どの街にも学校が一つあって、中心街は発展していて人口も多いから学校の人数も三倍くらいなの。


わたしの住む南街には冒険者ギルドがあって、ここから森や山へ魔物狩に行くみたい。南街には大きな川も通っていて、見た目が綺麗だけどこの川がお母さんを苦しめたコリン病の発生源の一つだった。

でも今はわたしが魔法で浄化したから、もうその心配はないの。


この世界の魔物は獣型の魔獣が殆んど。他にはゴブリンやオーク、トロールなんかいるけど、この辺りには少ないわ。


でもローレンの北と西側に渡って広がっている森の奥には、結構生息しているらしくて、冒険者達はそこへ狩に行っているわ。街に近い森は健全な森で普通の動物が殆んどで、奥の森は魔物の好む瘴気と呼ばれる淀んだ空気に覆われているの。


そこにはダンジョンも幾つか有るらしくて、森の奥へ行けば行く程凶悪な魔物が出るらしいわ。ローレンの西側、健全な森と瘴気の森の間にも小規模の街があるの。

[カムス]という街で冒険者に特化した街らしいわ。


お父さんのガイは一月の半分以上はこの街で過ごしているみたい。塀で覆われているけど、結構魔物の襲撃が有るらしくて、危ないから子供は殆んど居なくて、冒険者に優しい南街に子供達は避難して生活しているの。

だからお父さんが冒険者でお母さんが南街で留守番みたいな家庭が、沢山あるわ。

今はわたしの家もそんな感じね。


だから学校には冒険者を親に持つ、ヤンチャな子供もいっぱいいるの。

わたしの天敵ジャンもその仲間。


ジャンはしょっちゅうわたしにチョッカイをかけてくる迷惑な男の子!


今もね


「へぇ!お前!今日誕生日なのか?

じゃ!プレゼントあげねぇーとな!」


なんて冬眠から目覚めたばかりの、動きの遅いカエルを投げつけて来た!わたしはそんなの平気だからヒョイって避けたら、思い切りソフィちゃんの顔に命中した!


「きゃああぁぁああ!!」


叫び声をあげるとその場に踞り泣いてしまった!


──こんのぉお!クソガキ!


「あんた馬鹿!12歳にもなってそんな子供じみたことして、恥ずかしく無いわけ!

あんたなんか大嫌い!さっさと視界からきえて!」


わたしはキッとジャンを睨み付けると、ソフィちゃんを慰める。ジャンは「うるせぇ!バーカ!」なんて悪態を付いて、学校へ走って行った。

わたしはカエルをむんずと掴むと、近くの小川に放してあげた。

その様子を見ていたソフィちゃん


「アイラちゃん……。カエルとか怖くないの?」

「ぜんぜん。ちっとも。怖くない。

むしろ、ちっこくて可愛いわ。でも飼うほど好きじゃないよ」


「ふーん。すごいね。アイラちゃん。

小さいのに……」


ソフィちゃん泣き止んで、わたしを見て感心している。

というか『小さいのに……』は余計だよ!


年上なのに……何だか敗北感を味わってしまった。







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― 新着の感想 ―
[一言] これは…ジャンはレイアが好きでついイジメてしまうってヤツか…
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