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魔物使い

You〇ubeとニコニ〇動画で姉と一緒にゆっくり実況するかもしれません。

その際は追って連絡します。

「起きて!起きてよホープ!ホープっ!」


 ゆさゆさバシバシと誰かが僕を呼んでる声がした。どうも、ホープです。

 人が気持ち良く寝ているところを、文字通り叩き起こしている人の声には聞き覚えがある。


 随分と懐かしい声だ。実に2年ぶりに聞く声だ。


「こ、こら!気持ちはわかるけど、一時間も御業の儀を行っていたんですよ。恐らくかなり疲れが溜まっているはず。神への祈りというのは、予想以上に体力を使うもので―――」


 この声は……御業の儀を仕切っていた神父さんじゃない。

 初めて聞く声も聞こえ、その人がなんか説き始めたタイミングでパチッと目を開けた。

 すると目の前には絶世の幼馴染の顔とおっぱ―――


「ホ、ホープ!良かったー!目が覚めてぇ!」

「うぶっ」


 なんと目が覚めるやいなや、横になっていた僕を抱き寄せて見事に実った果実に抱き寄せる涙目の幼馴染。

 ほあぁぁ。なんと立派なおつなぱいさまだ~。


「良かった。本当に良かった…。儀式がやっと終わったと思ったら、急に倒れるんだもん」

「むぐぐぐ…」


 幸せ半分、苦しさ半分と言ったところか。巨乳の人を見るとうずめてみたいと思っていたが、実際うずめると結構死を感じるんだね。


「?ホープ。どうしたの?―――ッ!?」


 しかし幸せなことには変わりなく、思わず両手をそのおつぱい様にやって揉んでしまえと欲望に従っちゃう僕。

 むむっ!触れるどころか見たこともないが、東国にあるという餅のような柔らかさとはこのような時に使う表現であったか。


「きゃあー!」

「痛っでぇ!」


 しかし彼女がそれを大人しく受け入れるはずもなく、無残にも僕は突き飛ばされて、後ろの壁に後頭部を強打。

 痛いな、石の壁は。


 辺りを見渡してみると、知らない部屋であった。立派な十字架や木彫りの女神像が飾られてるし、たぶんエメロン大聖堂の寝室だと思うんだけど。

 む?今気付いたが、なんとふかふかなベッドなことか。もう一回寝たくなってきたな。


「な、ななななな、何するのよ急に!?」

「いやー、サナが僕の成人祝いにおっぱいを提供してくれたのかと思ってつい…」

「する訳ないでしょう!?も~…。相変わらず意味わかんないことをするのね…」


 おっぱい事件は僕だけが悪い訳じゃないと思うけどね。


 燃えるように赤い髪に、綺麗な青い瞳をした彼女の名前はサナ。

 僕が産まれて間もない頃に両親が他界し、お父さんの冒険者仲間だったおじさんが僕を引き取ってくれた。

 その家にいたのが、2歳年上のサナ。実の姉弟のように育った幼馴染だ。おじさんの家に引き取られたのだから、一応は姉弟という括りなんだろうけど、サナ本人が幼馴染ということにしたいと言うので、幼馴染という関係だ。

 さては僕のことが好きなんだな?と言ったら、けろっとした表情で否定された。残念。あのお胸様を自分の物に出来ないとは。


「それにしても、2年も会わない間に随分見違えたね?」

「ふふんっ。そうでしょう?私も立派な戦士ですから。結構鍛えたし、そして色々な人に鍛えられたのよ」

「3カップくらい大きくなったね」


 程よく鍛えられた腕の筋肉を見せつけるサナを無視して胸を凝視しながら言う。


「ちょっと!もう私の胸はいいでしょう!?あと2カップくらいしか増えてないわよ!」

「いや~。下種な男でごめんね~」


 腕を交差して胸を隠すサナ。しかしそのポーズがまた良い。

 でも2カップって相当じゃない?


「あれ?そう言えば僕の御業の儀ってどうなったの?」


 半分おふざけはやめて、一応気になっていた御業の儀に関して聞く。

 なんか神様に話しかけられて、ほぼ一方通行の念話だとか言ってたから、寝て待ち始めたところまでは憶えている。

 ……あ。そりゃ結果なんてわかる訳ないか。寝てたんだもん。


「んっん!そろそろ良いかな?ホープさん」


 僕に話しかけてきたのは、若い神官の人だった。

 診てくれるのは女の人の方が良かったな。


「君の身体には特に異常はありませんでした。しかしもし何か違和感があれば、すぐにお近くのお医者様に診てもらってください」

「はーい。後頭部痛いでーす」

「それは君の自業自得でしょう…」


 そう呆れながらも、僕の後頭部に手を当てて回復魔法を施してくれる。優しい。

 痛みが和らいでいくのを感じるよ。


「僧侶の御業持ちだったんですね。そういう人って、戦争に駆り出されてるイメージでした」

「別に全員が全員、戦場にいる訳ではないですよ。冒険者になる者も、少なからずおりますし。……まぁ、手が足りなくなれば、招集されますが…」


 おっと。これはちょっと闇を感じる発言。

 僕の御業が僧侶でないことを祈るばかり。いやもう祈らなくていいのか。


「話が逸れましたね。こちら、ホープさんの御業について書かれた物です。個人情報ですので、中身は見てませんよ」


 僧侶さんから御業について書かれた、筒状に巻かれてる紙を受け取る。

 御業の儀では鑑定士の御業を授かった人が傍らにいて、どんな御業を授かったかを記録してくれる。


 御業の名称だけなら直接神様から聞かされるらしいけど、得意な武器や才能といった細かい部分までは教えてくれない為、この様な処置が施されている。

 人の強さを示すステータスなんかも変動するらしく、鑑定士というのは欠かせない存在だ。


「ねね!早く見ようよ。私もホープがどんな御業を神様から授かったのか気になっちゃって!」

「個人情報を覗く気満々だね?まぁサナだし、別にいいけど」


 巻かれた紙を開いて、サナと一緒に御業の儀の鑑定結果を見る。

 紙は2枚あって、1枚目をさらっと流し読みしていると、途中でサナが口元を抑えて息を吞んだ。


―――――――――――――――――――――――――――


名前:ホープ

種族:人間

性格:超絶マイペース+能天気


|御業|

魔物使い:魔物を仲間にすることが出来る。同じ種類の魔物を2匹以上仲間にすることは出来ない


|ステータス|

Lv.1

体力:12

魔力:0

力:5

守:1

速:7

頭:不明

運:43


|得意武器|

両手杖

魔物辞典【魔物使い専用】


|スキル|

魔物辞典【魔物使い専用】

モンスターハウス【魔物使い専用】

召喚【魔物使い専用】

合成強化【魔物使い専用】

合体【魔物使い専用】


―――――――――――――――――――――――――――


 1枚目はこんな感じ。

 ほほう、魔物使い……………いいねっ!


 聞いたことない御業だけど、つまり自力でペットを飼える御業ってことでしょ?

 いいね~本当にこれ。友達に自慢出来そうな御業じゃん。何を飼おう?スライムとかつぶらな一つ目が可愛くていいよね~。


 ステータスが運以外明らかに貧弱なのは魔物に戦ってもらうのが主だからかな?

 ていうか頭不明って、凄く失礼じゃない?頭悪そうってよく言われてる僕だけど、一応こうして文字読めるし、何だったら書くことも出来るぞ。えへん。


「そんな…。どうして?どうして、こんな御業が……」


 おや?サナが何故かショックを受けている。もしかして不遇枠?御業にそんなものあるの?

 まぁいいや。とりあえず2枚目を見てみよう。


―――――――――――――――――――――――――――


|スキル詳細|

魔物辞典:魔物の情報が載っている分厚い辞典を召喚する。持ち主とその配下の魔物が倒した魔物の情報が自動で記載される。なので最初は全ページ真っ白。仲間にした魔物のステータスも記載される。消費魔力0。


モンスターハウス:仲間にした魔物が住む部屋。魔物使いは入れない。消費魔力0。


召喚:仲間にした魔物を、距離無制限にどこでも呼び出すことが可能。消費魔力0。


合成強化:弱らせた魔物(てき)と同じ魔物(なかま)を合成することで、仲間の魔物に経験値が貯まり、レベルを上げる事が可能。ただし魔物使い自身に経験値が入らない。消費魔力0。


合体:条件を満たすと、手持ちの魔物2匹を合体させて1匹の強力な魔物に変身させることが可能。合体は5分で解除される。再度合体するには10分の空き時間が必要。消費魔力0。


―――――――――――――――――――――――――――


 へぇ~。凄いなこれ。サナの反応から不遇枠かと思ったけど、結構ちゃんと強そうじゃん。

 ペットも飼えて、いざって時は守ってくれる。最高じゃ~ん。


「なにニヤけてるの!?こんな御業だよ!」

「へ?なになに?魔物使いって凄く強そうだけど」


「魔物使い?それはまた……なんとも、その……こ、個性的な御業を授かりましたね…」


 あ。僧侶さんのこと忘れてた。


「ああ、失礼しました。本当はすぐに出ていくつもりだったのですが、お二人の反応を見て、つい気になってしまい……すみません…」


 あら意外とお茶目。いやお茶目とは違うか。

 まぁいいや。別に隠す気ないし。それよりも二人の様子からして、魔物使いについて詳しく聞く必要がありそうだね。


「魔物使いって、癖が強い御業なんですか?大道芸人やアイドルみたいに」


 御業には戦士や魔法使いといったシンプルで強力な御業があるのだが、魔物を笑わせたり拘束したり火を吹いて燃やしたりする“大道芸人”や、歌で味方を盛り上げてバフをかける“アイドル”といった少し癖があって特殊な御業を持つ人も結構いる。

 道行く人を楽しませる大道芸人と歌って踊って皆に元気を届けるアイドルが戦場を駆ける様を想像したら、凄くシュールで場違い感ハンパないね。


「ああ…。魔物使いは、一般の方にはあまり知られていませんからね。ホープさんが知らなくて無理もないです」

「どうしてですか?」


「……それは…」


 僕の疑問にサナが暗い声で答えた。


「それはね……“魔物使いが、魔物を仲間に出来ないからよ”。そうなると魔物使いが活躍する場も当然皆無だから、一般にはあまり知られていないし、知ってる人の間では“最弱の御業”って呼ばれてるの…」


 サナは俯き、悲しそうな表情をしながらそう言った。

面白かったらブクマ登録と知らぬ間に追加されてたいいね、よろしくお願いします。

感想も良ければお願いします。

改善点がございましたら遠慮なくご指摘ください。


2/16追記

体力や力などの基本ステータスの説明を書くのを忘れるという致命的なミスを犯した為、ここの後書きに簡潔に載せておきます。


体力:所謂HP。0になると死亡。

魔力:所謂MP。0になると魔力が必要なスキルが発動出来なくなる。0になっても気絶したり死亡したりしない。

力:その人自身の攻撃力。

守:その人自身の守備力。相手の力より高ければ、ノーダメージで済むことがある。

速:その人自身の素早さ。速は動体視力にも影響を及ぼしており、速が高いと、速が低い相手から見たらかなり速く動いて見えて目で追えなくなることもある。

頭:頭の良さを示すもの。10あれば簡単な読み書きは出来るようになる(練習すれば)。高ければ魔力を効率良く練れるようになり、魔法の威力を上げることや発動時間を短縮出来る。

運:生まれ持った才能の為、レベルアップで上昇したりしなかったりする。元々運が高いとレベルアップで上昇しやすい傾向にある。正しく運ゲー。


こんな感じです。

速の動体視力云々は取り入れるか迷いましたが、無いと周りの景色がよく見えず自分の速を制御出来なかったり、衝突事故が相次ぐなと思って動体視力にも影響があるという風にしました。

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