双子姉の天才ギャル 絵梨花
「それにしてもアンタって本当にいつ見ても目つきが悪いわね。悪すぎる。どう見てもヤンキーじゃない。あー、やだやだアンタと一緒にいたら絶対に先生に目をつけられる。もうちょっと離れてくれない?」
こ、こいつは本当に......
「あ? 絵梨花、テメェの方がどう考えてもヤンキーだろうが.......。二日目から大遅刻した上に何だよその服装。明るすぎる金髪の髪にだらしなくボタンを開けた胸元。スカートもどう考えても短すぎるだろ。本当にどの口が言ってやがんだ........。ビ〇ギャルか? あぁ? しかも俺は全く校則には違反してねぇぞ。ほら見ろ。シャツも白。靴下もちゃんと学校指定の白だ」
「は? ビ〇ギャル? いやいや私は初めから天才だから。偏差値70よ。70。トップギャルよ。トップギャル」
「いやいや、なら何でこの2番目のBクラスにいるんだよ」
そう。この学校は成績順でクラスが決まる。
俺達1年の場合は入学式の数日前に呼び出されてクラス分けの為の試験を受けさせられた。
そしてこの県下有数の進学校でも偏差値が70あればAクラスは固いはず
「ふん、それはこっちのセリフよ。アンタこそ普通に達也と同じくAクラスの実力はあるはずでしょ? ま、おおかた私たちと同じクラスになるのが面倒くさいとか思って手を抜いたんでしょうけど。そんなことはお見通しよ。お見通し。アタシを出し抜こうなんて1000年早いわよ」
「あ? ど、どういうことだよ。それ」
「ふん、じ、自分で考えなさいよ。そんなこと」
今の言い方だとこいつまでわざとBクラスに来たような言い草......
もしそうならアホすぎるだろ。お前が好きな達也はAに決まってるんだから普通はどう考えてもAに行くべきだろ......
ま、おそらく強がってるというところか。
俺もこいつ等ならAに行くとは思っていたけど、おそらく何かしらの教科で大幅に下手をこいたんだろう。こいつ結構とんでもないミスをする時はするからな......
正直、美優紀までとは驚いたが。
一体どうしたんだよ。
くっ......とにもかくにも俺の計算は外れた。
これならもう少し調整してCクラスを目指すべきだった。
くそっ。詰めが甘かったぜ。
「あと、離れろって言うけど。お前が勝手に俺の隣で弁当食いだしたんだろうが......。お前がどっか行けや」
「は? アンタがボッチ飯してるからボランティアしてあげてんじゃないの。感謝される覚えはあっても文句言われる覚えはないんだけど」
「テ、テメェ......」
「ふふ、それにしても修くんのお弁当超可愛いね」
「うわ、何。そのクマさんおにぎりに顔のあるタコさんウインナー、アンタに似合わなすぎじゃんー。一周回って引くわー。しかも何で二つも持って来てるわけ?」
「あ? 母さんがせっかく朝早く作ってくれたのに恥ずかしいのか何なのか知らねぇけど。あいつがいらねぇとか言いやがるからだよ。もったいねぇだろうが。文句あんのかよ」
「い、いや、ない。ごめん......。やっぱりもう一周回ってエモいわ。私もそのクマさん食べたい。交換してよ」
「あ? まぁいいけど。何とだよ」
「これ。私が作ってきたミニグラタン。駄目?アンタ好きでしょ? グラタン」
「まぁ好きだけど。それならまぁ.......」
「あ! ずるい。修くん。私もクマさんと交換して! って、あれ? 絵梨花ちゃんが料理......?」
「な、なに? べ、別にアタシだってもう高校生だし、料理ぐらいするわよ。料理ぐらい.......」
「も、もしかして絵梨花ちゃんが遅刻したのって......」
「は? な、何? 違う。違うわよ。ちゃんと寝坊もしたわよ!ちゃんと寝坊も!」
いや、ちゃんと寝坊って何だよ。どういうことだよ。
意味わからねぇよ.......。
おい。
入学早々これって大丈夫かよ......
おい......




