鳴りやまないスマートフォン
お、おい、何だよ。あの娘は......
大桃杏奈?
達也とは同じクラスみたいだけど、俺とは今日が初対面だよな?
なのにあの感じ。
し、正直言って意味がわからん。わからなさすぎる.......。
さっきも帰ろうと思ったら、昇降口のところにいきなりまた現れるし。
一応、何とかうまいこと巻いて帰っては来れたけど、急に何か腕とか組んできたぞ。腕とか。
ま、まぁ可愛くか可愛くないかで言えば、普通に可愛いとは思うけど......。
って、な、何を考えているんだ俺......。ど、どうした俺。
それにしても俺に対してあんな距離感の奴は初めてだ.......。
やっぱり冷静に考えたらおかしい。おかしすぎるだろ。何が目的だよ。
絶対怪しい。普通じゃねぇ。ありえん、ありえねぇ。
意味もなく褒めまくってくるところが特に怪しすぎる。
宗教? マルチ? とにかく怪しい。怪しすぎる。
俺が、か、か、可愛い......だと?
あ、ありえねぇ......。そんなこと生まれて来て一度たりとも冗談でも言われたことねぇ。全くもってない.......。
って、何だこれ!?
美優紀と絵梨花からすげぇ数の連絡が来てるぞ。
両方やべぇけど、特に絵梨花。
一体何だよ。
着信もやべぇよ。メッセージも含めたら何件きてんだよこれ。
『何してるのよ。早く電話にでなさいよ。おい!修二!』
『何で腕なんて組んでたのよ!おかしいでしょ!いい加減はやく出なさい!』
『もしかしてアンタが好きな子って大桃なの? ねぇ違うよね。ねぇ!何とか言いなさいよ!』
『いい加減にしなさい! 修二!』
は? 俺があの娘のことを好き?
な、何言ってんだこいつ.......。
どういう発想だよそれ。だから初対面だよ。初対面。
す、好きな訳ないだろ。
しかも何でキレてんだよこいつ。
そ、それに、やっぱり美優紀も美優紀だぞ。これ......
『ねぇ修くん! 何で電話にでないの!』
『もしかして今も大桃さんと一緒にいるんじゃないよね? ねぇ修くん。何とか言ってよ!』
『今日あの娘にデレデレしてたよね、ねぇしてたよね。何で』
『今どこ! こんなことは言いたくないけれど、あの娘は何か危険だよ。とにかく返事してよ。修くん!』
な、何でこんなに......
どういうことだよ。
だけど、こいつも何でキレてんだよ。キレてるよなこれ.......。
あと、デ、デレデレなんてしてねぇよ。し、してないに決まってる。決まってるだろ。
それにしてもこんなん、逆に今から返事返すの怖ぇよ......。
意味わからねぇよ。
って、また着信!?
絵梨花? 美優紀?
どっちだよ.......って
「は?」