タカコちゃん
糞がっ、何であんなにしつこいんだよ。絵梨花のやつ......。
誰が言うかよ。言ったところでバカにされるのは目に見えている。
あいつって、こういうのに絶対偏見ありそうだし。
てか、知ってどうするんだよ......。ったく。
絶対に言わねぇ。死んでも言わねぇ
でも、本当に君とは大違いだぜ。
―――――な、『タカコ』ちゃん。――――
ふっ、彼女もちょうどログイン中かよ。
やっぱり奇跡的に、いつも俺たちは気が合うよな。
本当に昔から奇跡的に。
とりあえず男子トイレ、しかも個室の中に入っちまえば、さすがのあいつでも入って来れないし安心だ。
へへっ、君は本当に俺の絶対無二の唯一の心のオアシスだ
出会いは、このチャットアプリで中2の夏頃だっけか。
まだ実際に会ったことはないけど、もうそれなりに長いしそろそろ......
いや......やっぱり駄目だ。
まだ早い。俺自身もいざ会うと思えばまだちょっと心の準備が。
うん。駄目だ。焦るな俺
とりあえず、今日も散々な目にあった俺を癒しておくれ『タカコ』ちゃん。
ん? あっ、ちょうど向こうから連絡が来た。
『うえーん、聞いてよ修くん、タカコまた今日も怖い目にあったんだよー』
な、なに。今日もだと? 許さん。
『すっごく怖い男の人に追いかけられてね。ほんと超こわかったの』
も、もしかして、またあいつか?
『昨日、もしかしたら良い奴かも知れないって言ってたあいつか?』
『うん、そうなの。やっぱり怖い人だったよ....』
くっ、俺も顔については人に言える様な身分ではないけどよぉ
絶対、絶対女にそんな真似はしねぇ
タカコちゃんに本当に何てことを.....
許さん。絶対に許さん
あれ? で、でも
良い奴かも知れない奴が良い奴じゃなかったってことは
俺的には別に悪くないのか?
まだまだタカコちゃんとも......
い、いやそんなことを考えてはダメだろうが
俺はあくまでタカコちゃんの幸せを願ってるんだ。
そう。この娘はとても良い娘なんだからな。
『で、大丈夫だったのかタカコちゃん!?』
もし、万が一タカコちゃんに何かあれば、そいつを○す。
何としてでも見つけ出してつ○す。
『うん。何とか他の先生が止めてくれてね』
よ、良かった。
『それは良かった。ひやひやしたよ』
でも、本当に昔からタカコちゃんは男に狙われやすいみたいだ......
やっぱりそれだけ可愛いんだろう。
あいつ等も思い出せば、かなり危ない場面あったしな
くっ.....俺が近くにいれば何としてでも守ってやれるのに
そうだよ。やっぱりそろそろ俺......
『ところで修くんも何かあった? 私もだけど。この時間にログインしてるって珍しくない?』
タカコちゃん......
やっぱり、やっぱり君には全てお見通しみたいだな
『また、勘違いされちゃった?』
タカコちゃん....
『うん。そうなんだ......。』
特に今日はいつもよりもな.....
『元気出して! 私を今日追いかけてきた人と違って修くんは優しいんだもん! その怖いってお顔はまだ見たことないけど、修くんなら絶対に大丈夫! 絶対いつか修くんの良さをわかってくれる人は現れる。少なくても私はその一人だよ!』
タ、タカコちゃん......
や、やっぱり君は.....
やばい。泣きそう。マジで泣きそう。
『それに今日私のことを追いかけてきた人と比べたら絶対に良い意味で修くんは大したことないよ。だってその人、見た目も中身も、本当に鬼、いや魔王と言っても過言ではない様な人なんだから。修くんであってもビビっちゃうかもよ』
そ、そんなにか......
逆に見てみたくもあるな。そいつ.....
『だからとにかく修くんは大丈夫。修くんには私がいるよ。だから本当に元気出してね』
グ、グスン.....タカコちゃん。
本当に、本当に君ってやつは......
やっぱり
やっぱり好きだぜ......
最高すぎる。
「はくっしょい!!!」
ん?くしゃみ?
って、そういえば隣の個室も確か入ってたな。誰か。
とりあえず、もう行くか。
この感動の癒し時間に糞の臭いは似合わねぇしな。
それにしても俺はともかく、隣も長いな.....
何だ?腹痛か?
ま、何でも良いけど
やっぱり『タカコ』ちゃんは最高だ。
し、真剣に今度会って.....
せめてお友達にでも.....
い、いや、でも
それでもし彼女も.....
あぁ、どうする。
くっ、どうしたらいいんだ俺!
★ネカマ★
姿が見えず素性がわからないネットワーク社会の匿名性を利用して、男性が女性を装うこと及び装っている人、またその行為