観察する村人A
星城修二くん.......。
君は本当に何者なんだ。
まだ出会ってほんの数日しか経っていないけれど。君を見ていて少し思ったことがある。
実は君は.......。
見た目の様な悪い奴ではない........?
昨日だって確かに手を出してきた奴以外には手を出していなかった気がする。
この教室でだって今思えば何か彼がしたかと言えば、まだ何もしていない。
それに結果として僕の落とした財布を届けに来てくれたわけだし......。
しかも財布と言えば昨日は本当にびっくりした。
なんせあの後に法田くんたちが家にまで来たんだから。
一体何をされるんだと。報復かと本当にびっくりしたけれど。
蓋を開けると、ものすごい金額のお金を返してきた。
正直、下手をすれば僕が今までに彼らに取られたお金を越えていたかもしれない.......。というか越えてた。
『悪かった。だからもう俺達は無関係だ。わかったな。わかったよな。お金がないからってあいつに、金がないのは俺達から昔に散々むしり取られたからとか。そんなことはくれぐれも絶対に言うんじゃねぇぞ。な、ほら、返したから。もしかしたら多いぐらいだ。もう差額は侘び料としてやるから。な、頼む。頼むぞ!』
なんて言ってものすごく必死な顔をしながら僕にお金を渡してそそくさと全速力で帰っていった......。
間違いなく、彼のおかげだろう.......。
感謝する。
それにあの美人な双子たちともあんなに仲がいい......。
見ている限り、彼女達は彼に嫌悪感なんてみじんもないし、むしろ......。
まぁ彼の笑顔がものすごく怖いことに違いはないけれど。
あと、よく見れば彼が読んでいるラノベはどれもモフモフ系.........
昨日だって、ちょっとだけこっそりあの後に彼のことを観察をしていたら、女の子が喜びそうなモフキャラの方の新景品を取ろうとしていた。
な、謎は多すぎるし、まだまだ油断はできないけれど。
やっぱり見た目の様な悪い感じは......正直もうほとんどしない。
星城くん、君は本当に何者?
うん。とりあえず。そんなことを考えていたら便意がやばい。
よし。トイレだ。
あれ? そう言えば星城くんはどこに行った?
教室にいない?
まぁいいや。やっぱりそんなことよりトイレだ。
――――――って、ん?
何だ? 先生の声?
ここの教室からか?
「って、え!?」
うちのクラスの、よ、幼女先生が.......泣いている!?
何で?
「ごめんなさいぃぃ。修二くんごめんさいぃぃ。グスン、先生。先生。どうやってあなたに償えばいいのかしらぁぁ.....グスン」
な、何だ。一体何なんだこの状況。
って、せ、せ、星城くん!?
き、君は担任を、まさかの担任を泣かして.......
「や、やっぱり君は.......」
「え? ちょ、山田、おい、ちょっと待て! ちがっ」
い、いや、やばいやばいやばいやばい。
今度こそ。今度こそ消される!!!!!!!
やっぱり彼は.......
「ご、ごめん。さすがにこの状態では待てないよぉぉぉぉ!!!」
って、お、追ってきたぁああああああああああああああ!!!!!!!!!!