正反対な双子?の兄弟
「あれ? 噂ではこのクラスに星城くんの双子の弟がいるって聞いていたんだけれど.......いない? どこ? イケメンはどこ?」
やっぱりまた来やがったよ.......。
真剣に違う高校にしとけば良かったぜ。何とかして真剣にな。
「ねぇ、君! このクラスに星城くんって子いるでしょ? どこ! 星城くんの弟なんだから絶対ににイケメンのはずよ。どこ? お手洗いに行っているとか?」
「え? せ、せ、星城くんならあそこの席に座っているけど」
いや、こっちを向かないでくれ。こっちを。
そしてまただ........。騒がしい。これで今日何人目の女だ?
もう見飽きた。
俺が目に入った瞬間にするその表情......。
くっ、入学早々、本当に嫌になるぜ。
あと、入口の真隣りの席にいる山田。
お前はお前で今日何度目だ。そのセリフ
お前は某有名RPGの始まりの村の村人Aか何かか? あん?
「う、嘘......よね」
はは、そしてお嬢さん。
嘘ならばどれほど良かったでしょうね。嘘ならば。
「き、君があの星城くんの弟.......?」
「あぁそうだよ。ふっ、まぁあっちがどう思っているかは知らんけどな。少なくとも俺は弟のつもりだぜ」
まぁ最近は同じ家に住んでいるにも関わらず、ちょっとした会話すらもないけどな。
「ひっ......そ、そう」
おい、そしてお前もかよ。その使い古された面白みも何もないリアクション。
俺の超絶悩殺スマイルがそんなにキモイというのかよ? おぉ?
確かに俺の目つきは悪い。とてつもなく悪い......らしい。
よく道端でヤンキーとかに何もしていないのに『何ガン飛ばしてやがんだ!この野郎!!!』と絡まれていたぐらいには悪いみたいだ。
でもこれは俺が悪いんではなくて周りの奴等が悪いんだ。
まちがいない。うん。
俺は何も悪くない。
「ふふ、本当に兄弟で何でこんなにも違うんだろうね」
「ほんとそれ。神様って残酷ねー」
あ? って、お前らかよ
「あぁ? うるせぇよ。お前等のせいでもあるんだからな」
本当に。全部が全部ではないけれども。お前等の......
「え? 私たちのせい? ん~全く思い当たる節がないよー」
「アンタはそうやってすぐ人のせいにする。だから達也と違ってモテないのよ。わかる?」
「くっ......」
本当にこの双子の女たちは.......
昔から俺を都合の良いようにコキ使うだけ使いやがって。
少なくても始まりはお前等だ。
お前等に違いない。
「何でしかもお前等と同じクラスに......。普通、双子って同じクラスにならないだろ........」
糞がっ。
でも、あれはそう。
かなり時間は溯るが5歳ぐらいの頃か ―――――
あー、思いだしてきたー。
「わたし、達也くんとけっこんする。すき!達也くん!」
「だめ!わたしが達也くんとけっこんするの!ね!そうでしょ達也くん!」
「ねぇ、達也くんにふさわしいのはわたしよね。修二くん!」
「ちがうよね。わたしよね! 修二くんはわたしを応援してくれるよね!」
ふっ、幼い子供というのは残酷。
感情に実な素直な生き物だ。
同じ双子同士ということもあり親が仲良くなってよく遊んでいた記憶があるが
そう。あの頃の俺のつぶらな瞳には、兄である達也を取り合う初恋の美少女たちの姿がいつもの様に映っていた。
そしてそれは変わらず今もだ......。
二人とも、隙あらばそれぞれ達也の件で俺に絡んでくる。
それもさすが双子というべきか。
二人とも同じ様な質問や相談事を。
面倒くさい。面倒くさすぎる。同じ内容なのに労力二人分。
ふっ、まぁ他にも容姿端麗、学業優秀、爽やか完璧超人の達也と双子であることを理由に散々な目にあって来たっけ。
とりあえず、俺は幼いころから双子ということもあってか。どうしても兄と比べられてしまうことにより、格差社会というものをまじまじと嫌というほど味わってきた。
そりゃ、ひねくれてこんな目にもなるさ。
元々は達也よりも爽やかな目つきをしていたのに。おそらくものすごく爽やかな......。
そんな気がする。うん。そんな気が......
ま、あいつはあいつで変わっちまったけどな。
それに、双子は双子でもこいつ等と違って俺達兄弟が似ていないのは当たり前。
だって俺達は
―——血がつながっていないんだから―――
比べられたところでそれは違うさ。
当たり前だろ?
ま、もう慣れたけどな。
「ねぇ、このクラスに星城くんの双子の弟がいるって聞いたんだけど――――」
で、またか.......。
本当に嫌になるぜ。
本当にな。
けっ