2話-異世界到着
眩しさに目を開けている事が出来なかった俺はギュッと目を閉じていた。瞼の裏で感じる光が急になくなり、周りからはザワザワと話し声、トタトタと歩く音、様々な音が聞こえ出した。
目を開けて辺りを確認する。
俺はちゃんと異世界に来ているようだった。夢じゃなかった。なぜなら正面にはさっきまで会って話していた女神の像を囲むように池が作られており、周りには西洋風の建物が建ち並んでいた。歩いている人達を見て見たが着ている服も日本のそれではない。
世界がまるで変わっている。
「にゃにゃ!ここはどこにゃ!」
異世界の街並みを見て感動しているとすぐ近くで声がした。
声がした方を見てみるとププがいた。
「ププ!ちゃんと来れてたんやな!」
「さっきまで一緒に寝てたはずにゃ!ご主人!」
「異世界や!」
ププはポカンとしていた。
俺もポカンとした、言葉分かるんや!
俺はとりあえず近くのベンチに腰掛けてププに事情を説明した。
「ご主人と一緒ならどこでもいいにゃ」と言って納得してくれた。
ベンチに座って膝にププを乗せて日向ぼっこをしながら異世界の風景を堪能する。
いつも自分の部屋から眺めていたつまらない風景とは違いドキドキするような、ワクワクするような感じがする。
ひとしきり堪能して、自分の姿などを確認する。
服装は何故か制服、持ち物は特に無かったが首からドックタグがぶら下がっていた。
なんやこれ、と思いながら触って見ていると文字が書かれていた。
【タチバナハヤト ランクD
称号-無し
所持ゴールド-0
特殊魔法-異空間収納
固有魔法-猫かぶり】
ふむ、後回しにしとこ。
とりあえず、セオリーでいくと冒険者ギルド的なと所に行けばいいんやろ。
「よっしゃ、そろそろ行こか」
「はいにゃ」
ププは膝からピョンと降りた。
街を適当にブラブラと歩いていると大きな看板に冒険者ギルドと書かれている建物を見つけた。
ププを抱き抱え、ドアを開けて中に入る、中にはプロレスラーのように鍛えられた肉体のおっさんからローブに身を包んだ少しヒョロっとした人、鎧を着てガチャガチャ音を鳴らして歩いている人、ちょっとセクシーな服を着ている人、いろんな人がいる。
受け付けを見つけて話しかける。
「ごめんなさい、ここで冒険者になれたりするんですか?」
「冒険者になるには育成学校を卒業して冒険者の称号を得る必要があります。その後この冒険者ギルドで契約して頂く形になります」
「なるほどな、その育成学校はどこにあるんですか?」
受け付けのお姉さんから場所を聞き育成学校に向かう事にした。
ちょうど2時間後に入学試験があるようだった。試験と言っても最低限戦闘が出来るかどうか判断するために、試験に受けにきた人同士での模擬試合をするらしい。
さすが女神、こっちの世界に来るタイミングバッチリやな。
俺は育成学校に向かいながら異空間収納の魔法を使って見た。
不思議やな、黒いモヤモヤが出てきたと思ったら頭の中に何も入っていないってのが認識出来た。何か入れたら入ってる物が頭ん中で認識出来る感じかな。
異空間収納の魔法を使った時にププがビクッとしてたのはかわいかった。
そんな事をしていると受け付けのお姉さんが教えてくれた育成学校についた。
正面玄関から見て学校の大きさに驚く。正面にはでっかいドームがあり、そのドームを囲うように建物が並んでいる。
ププと一緒に驚いていると年配の優しそうな守衛さんに話しかけられた。
「入学希望者かい?」
「あ、はい。そうですそうです。どこ行ったらいいですかね?」
「目の前の戦闘訓練場で試験を行うから、そこで待機してれば時間になれば試験官の人がくるよ」
「ご主人は強いにゃ?」
「いや、わからんねん。女神は身体強化やってくれてるみたいやけど」
「こりゃ、驚いた。人の言葉を話せる猫がいるとは。君たちなら試験合格出来る気がするよ」
たぶん、女神がププに人の言葉が話せるようにしてくれたんやな。
「ありがとう」
「行ってくるにゃ」