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姉妹愛! 異世界デス・ゲーム  作者: 渋谷かな
98/101

EX ニート・クエスト

「ぷはあ!? ここは!? 私の家!?」

 渋子はゲームの世界から、自分の家に戻ってきた。

「ははは・・・・・・やっと、やっと、戻って来れたんだ。私。」

 無事に現代社会に戻って来れた渋子は感極まって涙を流す。今までの平凡な日常とゲームの世界での過酷な体験が渋子の脳みそや体の中で一つになり、恐ろしいくらいの震えを感じる。

「そうだ! お姉ちゃん!」

 渋子は日向を探しにリビングに行く。

「zzz~。zzz~。zzz~。ガガガガガガ~。」

 姉の日向はパソコンに向かいあいながら、いびきをかいて寝落ちしていた。

「お姉ちゃんー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「はい!? 締め切り遅れてすいません!? 許してください!? ごめんなさい!? ごめんなさい!?」

 渋子の号砲に寝ていた日向が寝ぼけながら目を覚ました。

「あら? 渋子?」

 日向はゲームの世界にダイブした妹の姿が目の前にあるので驚いた。

「う・・・・・・う・・・・・・お姉ちゃん!」

 渋子は感極まり涙を流しながら姉の胸に飛びつく。

「うええええええーん!?」

 怖かったのだろう。心細かったのだろう。何も他のことを考えられずに渋子は日向に泣きじゃくった。

「おかえり。渋子。」

「ただいま。お姉ちゃん。」

 妹は姉がいる喜びを、姉は妹がいる喜びを噛み締めて安らいでいる渋野姉妹。

「アハッ! アハッ! アハッ!」

「アハッ! アハッ! アハッ!」

 渋野姉妹名物、アハ会話である。これでコミュニケーションが取れるのも姉妹の友情である。

「ということで、私の仲間たちを復元して頂戴。お姉ちゃん。アハッ!」

「いいわよ。それぐらい、天才ゲーム・プログラマーの私に任せなさい! アハッ!」

「やったー! さすが、お姉ちゃん! アハッ!」

 妹の頼みを聞いて、ゲームのバックアップデータから渋子の仲間たちをよみがえらせようとする日向。

「しまった!? バックアップ取るのを忘れてた!?」

「ええー!?」

 そう、この物語の設定上、姉の日向は天才ゲーム・プログラマーであるが、カワイイうっかりさんなのだ。ゲームのバックアップを取らないことなど普通によくある。 

「どうしてバックアップを取ってないのよ!? お姉ちゃんのバカー!」

「ごめんなさいー!?」

 姉に襲い掛かる妹。

「はあっ!? もう私はソウちゃんたちには二度と会えないんじゃ!?」

 引っ越しをして仲の良い友達を失った様に、渋子は不安に怯える。

 つづく。

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