第7Q 命の輝き
「ソウちゃん!? ソウちゃんがいないよ!? どうしよう!? ジャーちゃん!? 私を先に行かせるために、ソウちゃんが!? ソウちゃんが!?」
またも仲間を失った渋子。彼女の精神は崩壊どころか、パニックになり抑えが聞かなくなってきた。
「ソウちゃんの奴、命をかけて大好きな渋子を守ったのだよ。」
「え?」
「私たちは、たかがAIの性格でゲームのキャラクターデーターとしての能力で成立している、一個人キャラクターでしかない。それでも私たちは渋子や日向と出会い、人間の心というものが芽生えたのだろう。」
「人間の心?」
「そうだ。AIであっても、人間の様に温かくて優しい心だ。心の無かった私たちに渋子が命を吹き込んでくれたのだ。指示通りだけに動くロボットではなく、人間の様な心を持った個性のある人間に渋子がしてくれたのだ。ありがとう。」
「どういたしまして。私こそ、いつも助けてくれてありがとう。」
人間と、渋子と触れ合うことで個性を持ったAIキャラクターのジャーは渋子にお礼を言い感謝する心を持ち合わせている。
「なんだか不思議ね?」
「そうだな。不思議だな。」
「ワッハッハー!」
渋子とジャーは人間とAIだが分かり合えた様な気がして笑いあう。
「見つけたぞ! クソ人間ども! キチガイめ! 俺のログアウトを返せ!」
「なんだ!? あの化け物は!?」
そこに見たこともない巨大な黒い巨大ロボットが現れる。
「俺の名前は、ニート! 引きこもりが進化した者だ! 親のすねをかじりながら生きている者だ! 俺のログアウトを返せ! 俺のコレクションだぞ!」
現れたのはログアウトを奪ったラスボスのニートが現れた。
「あなたが!? ニート!?」
「不気味な感じだ!? なんだ!? あの化け物は!?」
渋子もジャーも巨大な黒い塊のニートの姿に驚愕する。
「人間の朽ち果てた姿。後は死ぬだけ。それがニート。税金も納めず、結婚もせず、子孫も残さず、絶望して自分や他人を傷つけるだけの存在。それがニート。」
「まさに抜け殻だな。私たちAIの方が人間らしい。」
二人はニートを考察しているが、不気味で気持ち悪い。
「もう、おしゃべりはいいか? なんせ俺はニート。誰とも話さないんで、他人が話しているのを見ると殺したくなるんだ。ニッニッニート!」
ニートの戦慄のステージが始まる。
つづく。




