第3Q 渋子一人
「アーちゃんが言った。必ず日向お姉ちゃんの元に帰れって。それがアーちゃんの死を無駄にしない唯一の方法だ。生きている私がアーちゃんの分まで頑張らなくっちゃ。」
いつまでも悲しんではいられない。渋子は中身はもぬけの殻ではあるが一歩一歩前に進むことをアーちゃんに誓った。
「おまえが渋子か?」
「何者!?」
傷心の渋子の元に男が現れる。
「俺は全知全能なる神、ニート様の手下のニーヤだ。ニート様の命令だ。渋子、おまえには死んでもらう。」
「ニートの手先ね! 今の私は機嫌が悪いんだからね! 覚悟しなさいよ!」
渋子とニーヤの激い戦いが始まる。
「はあ!?」
その時、渋子が何かに気がついた。
「そういえば、私のジョブって、なんなんだろう!?」
自分のジョブが決まっていないことに今更気がついた。今までの渋子は仲間に助けてもらったり、他力本願な所が多かった。ということで渋子のジョブというものは決まっていなかったのだ。
「私のジョブは・・・・・・人間。カワイイ妹。天才ゲーマーではダメかな?」
現状の自分として渋子は普通に自分のジョブを言ってみた。
「でも、やっぱり、私、主人公なんで、パラディン、ロード、ナイト辺りが私のジョブだと思うんだけどな。アハッ!」
ちょっと欲張りな渋子。
「何をゴチャゴチャ言っている! 死ねえ! ニート流星拳!」
ニーヤは飛ぶ拳の攻撃で渋子を襲う。
「キャアアアアアアー!?」
渋子、絶体絶命のピンチ。
「あれ? 死んでない? ・・・・・・ああ!? ソウチャン!?」
「生きてるか? 渋子。」
渋子の窮地に、ソウちゃんが現れた。
「来てくれたの! ソウちゃん!」
「ああ。私たちは仲間だからな。他の連中も、この世界のどこかに来ているはずだ。」
「本当! やったー! やっぱり友達って大切よね! 困った時に助けてくれるもの! アハッ!」
渋子は仲間たちが自分を助けに来てくれたことを心から喜んだ。
「こいつの相手は私に任せろ。おまえは早くログアウトを探しに行け。」
「分かった。ありがとう。ソウちゃん。終わったら、何かお礼するからね。」
「日向さんの電話番号を教えてくれ。SNSでもいいぞ。」
「そっちかい!?」
ニートの手下の相手はソウちゃんに任せて先に進もうとする渋子。
「おっと、そう簡単に俺が先に行かせると思うか?」
渋子の行く手をニーヤが塞ぐ。
「おまえの相手は私だ。渋子最強の仲間ソウちゃんがおまえの相手をしてやる。」
ニーヤとソウちゃんの戦いが始まる。
つづく。




