調整です、アハッ!
「お見舞い?」
「はい。そうです。」
「偉いわね。私たちはナースステーションに戻るから何かあったら呼んでね。」
「はい。」
病院少女、女医少女、看護婦少女は去って行った。
「クリアさん、大丈夫ですか?」
「これお見舞いのフラワーとメロンです。」
スライム少女のスリアラとスクランブルスクエア少女のスリアクが、記憶喪失少女クリアの病室にお見舞いにやって来た。
「ありがとう。何もないけど、ゆっくりしていってね。アハッ!」
記憶喪失少女には邪な少女だった頃のボス感やスケバン感はない。とても穏やかな少女に生まれ変わったのだ。
(ねえねえ、この穏やかな少女が本当に邪な少女だったの?)
(そうよね。信じられない。驚いちゃうんだけど?)
スライム少女とスクランブルスクエア少女は記憶喪失少女の現在の姿を見て戸惑った。
(今なら、ヤレル!)
(そうね! 仕返しするなら今よ! 散々、私たちのことをいじめてこき使ってきたのよ! 記憶喪失になったからって、許されると思うなよ!)
あくまでも一歩下のキャラクターとして扱いを受けてきた二人は、弱体化した記憶喪失少女に恨みがあり復讐を模索する。
(へっへっへ! 悪く思うなよ! 恨むんなら、今までの自分の行いを恨め!)
(そうよ! あんたは記憶喪失でも、傷つけられた方は永遠に恨みを忘れないんだから!)
そして逆襲を実行しようと笑顔で記憶喪失少女に近づく二人。
「あ、言うの忘れてたけど、邪なことを考えている人間が近づくと、邪な少女が復活するから、邪なことは考えないでね。アハッ!」
病院少女、女医少女、看護婦少女が忠告する。
「え!?」
「まさか!?」
二人は改めて記憶喪失少女を覗き込む。
「ウワアアアアアー!?」
記憶喪失少女の周囲に邪なオーラが発動していた。
「ねえ、良かったらメロンでも切ってあげようか? アハッ!」
「いえいえ!? 自分たちで切ります! 切らせてください!」
「肩でもおもみしましょうか!? それとも手ですか!? 足ですか!?」
結局、下僕は下僕のままだった。
つづく。




