ラストQ 盛り上がりの作り方
「今度こそ、今度こそ、ラスボスへのストーリー展開を考えるんだ!」
姉の日向は気合十分であった。一人だけ。
「超能力やサイキックって、魔法、科学、スキルと同じなのね。」
一つ新展開の超能力少女を学んだ渋子であった。
「で、盛り上がりは物語の起伏かな? 毎回同じテンプレート型のドラマは、マンネリで面白くないし、新しいキャラクターを登場させたり、新しい展開にして盛り上がるようにしなくっちゃ。アハッ!」
少しずつだが渋子は物語の作り方を学んできた。そして姉を助けたいと前向きに取り込んできた姿勢が結果を出し始める。
「例えるなら、山に行ったら、川に行く。トイレに行ったら、ふろに入る。歯を磨いたら暖かい布団で寝るのような、スリリングな流れる展開が必要だわ。」
本当の所、渋子は姉の開発中の、このデス・ゲームに飽きてしまっていた。だって毎回ゲストが違うだけで、物語の展開は毎回、同じなのだから飽きるのも当然である。
「ギャップか・・・・・・。」
渋子は少しだけ間を取って考えた。
「そうね。エロいスナイパー。エロい勇者。エロい騎士。エロいお姫様。エロいヒロイン。エロいん。ムムムーッ!? 私の頭はエロい話ししか想像できんのかい!?」
新ためて渋子は考え直す。
「もっとオーソドックスな所で、セーラー服と機関車とかね。」
初心に戻った渋子は何かに気がついた。
「あ、そっか! そのままでいいんだ! アハッ! 女子高生とサイキック。セーラー服と超能力。もっとまろやかに言えば、魔法少女からの、サイキック少女とか、超能力少女かな? ニュータイプとサイキックって同じよね。分かりにくく言えば、ニュータイプ少女(巨大ロボは出ません!)の方が面白そうだわ。」
順調に次回作のタイトルが決まりつつある。
「まとめると、こんな感じで新しいことを考えると、展開が面白くなるということよ! アハッ!」
また渋子は新しい引き出しを手に入れた。
「ワクワク・ドキドキの探求心や喜怒哀楽。人間の心の変化や、自己の利益を考えてしまう。それが人間なのよね。」
物語に盛り上がりが生まれるのは、人の感情だ。心が揺れ動くから、物語が進み始める。それが正しいのか、間違っているのかは別として。
「次は私がどうして超能力少女なるのかを考えましょう。」
一人納得する渋子。
「だからラスボスの展開を考えましょうよ~。」
姉の日向は置いてきぼりだった。
つづく。




