渋子の街、日向様に愛をこめて
「アハッ!」
ついに渋野姉妹の都市対抗戦が始まった。
「日向お姉ちゃん! 絶対に負けないからね!」
妹の渋子の街は最果ての辺境の村から進化した新規の都市である。
「やれるもんなら、やってみなさい!」
姉の日向はゲーム・プログラマーの特権で、最強の都市、王都に陣取っている。
「それでは試合開始です!」
審判の合図で都市対抗戦が開始する。
「日向様のために、この命をかけて、勝利を掴んできます!」
「ソウちゃん、がんばって。」
ソウちゃんは命がけの覚悟で渋子の街に攻め込む。
「日向様、勝った暁には私とデートしてください!」
「いいわよ。シバちゃん。」
「やったー! 必ず勝って戻ります!」
シバちゃんは勝って日向とデートする気だ。
「渋子の情はあるが、私の愛があるのは日向様だ!」
「アーちゃん、がんばれ。」
アーちゃんは聖剣エクスカリバーを振り回して、渋子の街に突撃する。
「天下布武は日向様に捧げます!」
「ノブちゃん、ファイトー。」
ノブちゃんは種子島をもって戦地へ赴く。
「栄光を! 日向様に!」
「ジャーちゃん、カッコイイ。」
ジャーちゃんは白兵戦を渋子に仕掛ける。
「日向様、お花をどうぞ。」
「まあ、ありがとう。パルちゃん。」
「これも騎士の務めでございます。この命は日向様に捧げます。」
「パルンちゃん、期待してるわよ。」
パルちゃんも渋子を倒すために出撃した。
「全く男って生き物は困ったものだ。それにしても、怖い!? 男を戦場に送り出す私の美貌が怖い!? アハッ!」
日向は、ただの天才ゲーム・プログラマーの腐女子である。ちょっと見た目がきれいなだけなのだ。
「そうか! 私って、きれいだったんだわ! アハッ! 良いことに気が付いちゃった! アハッ! 戦いは任せておいて、王都の街並みを歩いて、どれだけナンパされるか、試してみよう! アハッ!」
ウキウキ、ワクワクしながら日向は化粧やオシャレをして街に繰り出した。
「渋子の首を討て!」
「手柄を立てて、日向様とデートだ!」
「戦ってみたいな。渋子と。」
「鳴かぬなら、鳴かせてみせようホトトギス!」
「見える! 私にも渋子が見えるぞ!」
「どうやって勝利を盗み出すかだ?」
ソウちゃんたちは、日向が街にお出かけをしたことを知らない。
つづく。




