第3Q 足利義昭
「アハッ!」
毎回、渋子の笑い声から始めてみよう。アハッ!
「長い! 長すぎるよ! ノブちゃんの伝記! やっと本能寺の変の手前まで来たんだよ!? 読み疲れて、まったく話を進ませることが出来ないよ!?」
織田信長の伝記を読んでいた渋子の目は真っ赤に充血していた。
「私、悪くないもん。」
開き直るノブちゃん。
「ガクッ。」
渋子は膝から崩れ去る。
「困ったものね。うつけ者のノブちゃんに、自虐的な寝取られ夫のアーちゃん。まだソウちゃん、シバちゃんの方がマシだわ。とほほ~ん。」
うなだれる渋子であった。
その頃、ソウちゃん、シバちゃんは。
「街作りといっても、簡単ではないか。奴隷みたいな農民に田畑を耕す様に命令をするだけでいいんだからな。ワッハッハー!」
余裕で容赦なく村人を働かせる血も涙もないソウちゃん。
「そうですね。クエストに行って、戦うばかりがゲームじゃありません。街が発展すれば、きれいな女もたくさんやって来て、我々はSランクの立場を利用して、酒池肉林の宴ですな! ワッハッハー!」
頭の中は女のことばかりなシバちゃん。だって男だからセクハラ、パワハラは仕方がない。
「こら! おまえたち! もっと働け! 私たちが富を得るために、安い賃金で働き続けるがいい! ワッハッハー!」
渋子のいない渋子の街で、ソウちゃんとシバちゃんは昔の悪い癖が出ていた。
「クソッ!? 俺たちは奴隷か!? 渋子様がいてくれたら、あんな悪徳代官、簡単に懲らしめてくれるのに!?」
「神様! 仏様! 渋子様!」
村人から渋子は創世神として、この乱世に救世主だと崇められていた。
「なんだ?」
農民の土を耕す鍬が地面の中で何かに、カキーンっと当たった。
「ガオー!」
地面の中から全身ゴールドの鎧をまとった巨大ボスが現れた。
「ゲゲゲーッ!? あれは殿の姉上の大好きな巨大ボス!?」
「撤去したって言ったじゃないか!? 地面に隠しているなんて、日向は嘘つきだ!?」
黄金の光を放つ巨大ボス。ほぼ太陽の様に輝く姿は、ほぼ太陽神の天照大神か、大魔神。
「守り神だ! 渋子様の使いに違いない!」
「渋子様は我々、弱き者を見捨てなさんだ!」
「ありがとうございます! 渋子様!」
村人は渋子のことを崇め祀った。
「あれは!? 封印されていた伝説の武器!? バスターランチャー!?」
渋子の巨大ロボは兵器にエネルギーを集中させる。
「あんなものを食らっては一溜りもない!? 逃げろ!?」
「置いてかないで!?」
必死のパッチで、ソウちゃんとシバちゃんは安全地帯の渋子の家に逃げ込んだ。
「ガオー!」
渋子の村の守り神がバスターランチャーの引き金を引いた。凄まじエネルギーの粒子が渋子の家を目掛けて飛んでいく。
「麻呂は足利幕府15代目将軍! あし・・・・・・。」
第3クエスト、足利義昭を倒せ。
「尺がない。ポイッ。」
渋子はアトミックボムを投げた。
「ギャアアアアアアー!?」
足利義昭を倒した。
「あの二人、ちゃんと街を作っているかしら?」
渋子は町のことは何も知らなかった。
つづく。




