第2Q 今川義元
「アハッ!」
今回も渋子の笑顔から始まる。世界は渋子のことをスマイル・シンデレラと呼ぶ。
「それにしても、出生の秘密だの、継母だの、昼ドラマみたいな物語ばかりね。」
「元々、人間は殺人人種ですからね。ドロドロしたストーリーが大好きですよ。」
「原始人や狩猟民族のDNAが現代人にも引き継がれているのね。」
こうなってくると物語を作る時は、主人公の悲劇の生まれから考えなければいけない。
「メインストーリーがあって、それとは別に、その物語の主人公の仲間の物語のエピソードを作る。するとメインストーリーに厚みも出るし、仲間のファンも生まれて、メインストーリーは大人気になるということね。」
プチでもいい、わんぱくに育ってほしい。
「ということは、メインストーリーが渋子としたら、ソウちゃん、シバちゃん、アーちゃん、ノブちゃんたちのエピソードが大切ね。まあ、それが大切なのが分かっているから、今もノブちゃんクエストをやっているんだけどね。」
渋子は天才ゲーム・プログラマーの姉の日向が作ったゲームの流れは間違っていないとフォローする。
「生命。それは愛の結晶。それが人間でも魔物でもロボットであっても。」
「命とは何もない所からは生まれない。例え、それが無や闇であっても。必ず、それを生み出したものがいるはずだ。」
「そうか。私が生まれた理由は、同族争いをするために生まれたんじゃないんだ!? 私が生まれてきたことにも必ず理由があるはずだ! 天下布武だ!」
この時、ノブちゃんが天下統一を志したらしい。戦国覇者ノブちゃんの始まりである。
「それにしても、私とノブちゃんとアーちゃんじゃキャラクターボリュームに欠けるのはなぜ!?」
「どうせ妻をランスロットに寝取られた野郎ですから。ダメな私。」
「え? なんか言った? これから桶狭間に行くんで、準備が忙しいんだ。」
「こいつらじゃ、盛り上がらん!」
主役クラスのSランクは自己中心的な奴が多かったため、渋子はついていけなかった。
「我こそは駿府の大富豪! 今川義元であるぞ! 道を開けよ!」
第2クエスト、今川義元を殲滅せよ。
「うざい! 日常会話ができる相棒が欲しいな。ポイッ。」
お馴染みのアトミックボムを渋子は今川義元に投げつけた。
「ギャアアアアアアー!?」
今川義元は粉々に吹き飛んで渋子に倒された。
「ソウちゃんとシバちゃんは真面目に街を作っているかしら?」
いつもの様に渋子の去った後にはキノコ雲しか残らない。
つづく。




