第1Q 織田信行
「ここはどこ?」
渋子は戦国時代にやってきた。
「死ねえ!」
知らない足軽が渋子を殺そうと刀を振り上げて襲い掛かってくる。
「ウワアアアアアー!? 殺される!?」
不意を突かれた渋子は、自分に天使の輪と背中に白い羽ができ天国に行く姿を想像した。
「ギャアアアアアアー!?」
しかし、次の瞬間アーサー王が聖剣エクスカリバーで足軽を斬り殺した。
「大丈夫か? 渋子。」
「ありがとう。アーちゃん。やっぱりあなたを連れてきて正解だったわ。」
アーちゃんと渋子に友情が芽生え始めようとしていた。
「ここは・・・・・・戦場なのね!」
どこかの軍勢が、刀や槍で争って戦っている。
「ここは尾張だ。今、織田家同士で、誰が尾張を支配するかと内輪でもめているのだ!?」
尾張が信長に統一される前の話から、信長クエストの第1クエストが始まった。
「よく作り込んでいる!? 今川家との桶狭間の戦いから始めないのがお姉ちゃんらしいわ!?」
ある意味、渋子は天才ゲーム・プログラマーの姉の日向のことを尊敬している。
「クシュン!? もう、誰かが天才ゲーム・プログラマーの私のことを噂しているな? 私って、愛されてる! アハッ!」
日向はお家でお留守番。妹の渋子に言われた通り、赤い炊飯器のジャーのクエストのプログラミングを確認している。
「くらえ! 聖剣エクスカリバー・スラッシュー!!!!!!!」
アーちゃんが実力の見せつける。
「ギャアアアアアアー!?」
ほとんどの戦場の人間が聖なる光に包まれて天に召された。
「すごい!? なんという破壊力だ!?」
初めて聖剣エクスカリバーの破壊力を見たアーちゃんは、この時、強い武器が必要だと悟って、ポルトガルから来た鉄砲に興味を持ったそうな。
「この頃のノブちゃんのステータスって低かったのね。野望と運だけで生き抜いてきたのね。殺されないように、バカなうつけ者を演じ生きるのも大変だっただろうに。」
渋子はノブちゃんの出生の秘密から、家族間での血で血を争う権力争いに同情する。
「物語を面白くするのは、ドロドロの人間関係なのね?」
昼ドラの様なSランクたちのエピソードに渋子は頭を悩ませる。
「死ね! 織田信長! 俺は弟の信行だぞ! 尾張は俺のものだ!」
第1クエスト、信長の弟の織田信行を殲滅せよ。
「邪魔! 人がノスタルジックな気分なのに。ポイッ。」
イライラした渋子は信行にアトミックボムを投げつけた。
「ギャアアアアアアー!?」
織田信行は大爆発で闇に葬られた。
「苦難が起こり、それを何とかして乗り越える。不幸の連鎖が物語というのなら、悲しいね。」
不幸を呼ぶ、不幸を作る、それがストーリー作家なのだと、真実に触れてしまった渋子。
つづく。




