第5Q ガラハッド
「聖杯って? なに?」
渋子はアーサー王の伝記を読んでいて、新しい題材に出くわした。
「願い事が叶うらしいですよ。」
「始まりは病の治療のために、十字架に吊るされたキリストの血を入れたコップが聖杯らしいな。」
聖杯という物の概要を勉強する渋子たち。
「その聖杯を見つけたのが浮気騎士のランスロットの息子、ガラハッドだって。」
「なんと!? 不倫男の息子が奇跡の聖杯を見つけるとは!? 世も末だな!?」
「色々な他の作品で、ガーラットとかいう名前が多いけど、ガラハッドから連想して創造していたのね。謎が解けたわ。」
また少し賢くなった渋子であった。
「気の性かな? 私の設定が小さいまる子ちゃんみたいになってきたような!?」
「気の性である。ソウちゃん、心の俳句。」
「ズバリ! そうでしょう! シバちゃん改めシバ男です。」
悪乗りし過ぎの渋子たちである。
「これだけ深堀の作り方ができると、新しい新作が書けそうね。」
「それは妙案です。殿の姉上は天才ゲーム・プログラマー。殿は天才シナリオライターになるのが良いでしょう。」
「それはいい。渋子殿なら、きっとできるぞ。」
「姉妹揃って天才か・・・・・・それも悪くないわね。アハッ!」
天才を妄想して上機嫌のニヤニヤした渋子。自分が成功している姿を想像することは罪ではない。
「まずは主人公の出生の秘密ね。」
やはり主人公の人間性を確立させるためには、どうしたら、そんな性格になったのか? という生まれからの時間の経過が大切だとアーサー王は教えてくれた。
「愛を知らない男がいいわ! 世紀末覇者みたいで! カッコイイ! アハッ!」
「私は女好きだから愛を知っているぞ。」
「私も息子に司馬師と司馬昭と優秀な息子がいます。」
ソウちゃんとシバちゃんは権力を笠に着て、女子にモテモテであった。
「実は異母兄弟で愛し合う! 山口と三浦の昔のドラマね。」
「こういうのはどうです? 日本人と中国人のハーフとか。」
「人間とドラゴンの子供とかもいいですね。」
渋子は出生の秘密だけでもたくさんの種類があることに気づく。
「おい! 雑魚共! 俺様はランスロットの息子! ガラハッド様だぞ!」
第5クエスト、ガラハッドを殲滅せよ。
「今忙しいんだよ! ポイッ。」
渋子はうるさいガラハッドにアトミックボムを投げつけた。
「ギャアアアアアアー!?」
渋子はガラハッドを倒した。
「実はお母さんが隣のおじいちゃんと浮気して、お父さんの子として育てられたのが私!? そしてお母さんと爺の関係は今も続いている!?」
空想が妄想を呼ぶ嵐の出生の秘密が出来る。
つづく。




