第3Q ローマ皇帝軍
「アーサー王だけで考えると短いわね。」
「物語に登場しているキャラクターの外伝ばかりです。」
「アーサー、よっぽど人気が無かったんだな。」
またアーサー王に同情する渋子たち。
「生まれもお父さんが犯した女が産んだ子らしい。」
「なんて可愛そうなんだ!?」
ウルウルと同情の涙を流す渋子。
「そういえば、私もお金持ちに養子に出された哀れな子だ。」
「私なんかは出生は秘密です。誰も私の生まれまで興味はないでしょう。」
「なんだかソウちゃんもシバちゃんも可哀そうに思えてきたわ。」
生まれだけでアーサー王と共感するソウちゃんとシバちゃん。
「はあ!? 私はお姉ちゃんはいるけど、お父さんとお母さんがいるのかどうか知らない!?」
自分の家族は姉だけかもしれないと、渋子は痛恨の出来事に気づいてしまう。
「そこでどう? アーサー王を私たちの仲間に加える?」
「それは断る。」
「私も。」
渋子の提案を断るソウちゃんとシバちゃん。
「どうしてよ?」
「私の活躍の場が減る。」
「キャラクターを増やし過ぎると会話が回りません。」
「あんたたちバッサリね。」
「これでも悪役出身なので。」
ということで新入りのメンバーは加えないことに決めた。
「アーサー王は誰も知らない若者として育ち、お父さんのペンドラゴンが死んで誰がブリテン(今のイギリス)の王になるのかという時に、岩に刺さった剣を引き抜いた者が王になるゲームで、貴族も騎士も剣を抜くことが出来なかったのに、アーサー王だけが剣を引き抜くことが出来たらしいの。」
「血のなせる技なのかもしれませんな。」
「そうね。機動戦士マンダムユニコーンを動かしたのも、血でしたからね。」
「血の封印というやつですね。本当に小説の新しい創作ネタには困りませんね。」
「ちなみに岩に刺さった剣はエクスカリバーじゃないわよ。エクスカリバーは湖の精霊から貰うんだって。」
「魔剣アーサーとか、新しい武器ができそうですね。」
全く知らない他人だったが、今では渋子たちはアーサー王のことを良く知っていて親しみを覚える。
「こらー! 私の出番はまだか!? 私はローマ帝王であるぞ!?」
第3クエスト。ローマ皇帝率いるローマ帝国軍を殲滅せよ。
「失せろ! 今、忙しい! ポイッ。」
ドカーン! 渋子は不機嫌にアトミックボムをローマ帝国軍に投げ込み、一撃で大爆発を起こし一掃した。
「そうか、アーサー王の物語って、昼ドラの世界だったのね。まさか!? 渋子と日向お姉ちゃんは腹違いの姉妹なのでは!?」
衝撃の展開を予想する渋子の去った後にはキノコ雲しか残らない。
つづく。




