道具屋、三国の秘薬
「ということは、このゲームSランク装備を持っていれば神だし、Aまで育成はできるけどというのがミソね。」
「欲しい物があれば課金する。それが人間という生き物です。」
「他人より自分の方を良く見せたいという欲があるからな。猿から抜けられない人間は猿ということだ。」
「SとAの性能の差はプラス30から50くらいね。後は装備に特殊能力をつけるかね。」
「装備が輝いている時は、攻撃力2倍とかですね。」
真剣にSランク装備の特殊能力を考える日向たち。
「ねえねえ! 早く道具を考えましょうよ!」
駄々をこねる渋子。なぜなら早く街作りが終われば、また自分が話の中心に戻れるからだ。
「それでは道具屋のランク分けを考えましょう。」
「まずDランクが薬草。」
「Cが毒消し草。」
「Bが麻痺を治す薬。」
「Aが手榴弾。」
「Sがエリクサーかしら?」
「これは、ちょっとおかしいです。薬草も毒消し草も麻痺治療薬もDランクです。」
「そう考えると現在の道具屋に、あんまり価値がないのね。」
「Sは虹の雫とか、太陽の紋章とか、ゲームクリアに必要なアイテムじゃないかしら。全て非売品。」
「賢者の石はSランクでもおかしくないですよ。」
「じゃあ、エリクサーはどうするんだ!? おそらく最高の回復アイテムだぞ!?」
「やめたらいいんじゃない?」
その時、部外者の渋子が客観的な意見を素直に口にした。
「そうしよう! やめよう!」
「さすが殿! 素晴らしい意見です!」
ソウちゃんとシバちゃんも渋子の意見に賛同した。
「おお! 我が妹よ! 可愛いだけじゃなくて、頭も賢いなんて! なんて素敵な妹なのかしら!」
「そ、そう? 私くらいの天才になると良いアイデアも浮かぶのよ! ワッハッハー!」
今まで蚊帳の外だった渋子は褒められたことによって上機嫌になった。
「ということで、道具はランク無しで行きましょう。」
「おお!」
だがゲームクリアのために必要なのがSランク。やはり貴重なアイテム、エリクサーや賢者の石はAランク。それ以下はB、C,Dどれも同じ扱いである。
「それなら武器と防具もランクDを失くすのはどうでしょう? ランクが多すぎて間延びしているのでは?」
「う~ん、そこは難しい所ね。武器とかのランクは幅広くしておかないと、武器の強化や覚醒が直ぐに終わっちゃうのよね。」
「現代のゲームというのは面倒臭いのだな。我々の時代は相手を殺すか降伏させてば、それで終わりなのに。」
現在のネットゲームを疲れるとこき下ろす三国志時代のソウちゃん。
「やったー! 渋子! 偉い! キャッハッハー!」
褒められた渋子は未だ上機嫌であった。
つづく。




