今後
「新たなゲームのストーリーを考えよう!」
「おお!」
渋野姉妹は次回作を考え始めた。
「今回の作品は多くのことを学ぶことが出来たわ。まずキャラクターの作りは、出生の秘密、生まれた環境。親がお金持ちであるか、貧乏であるか。または愛人の子供か、義理の母か。それだけでもたくさん遊べるわ。」
日向はキャラクターの作りや性格を形成するためには、そこまで突き詰めた方が面白い作品になると感じた。
「でも、そこまでこだわる必要があるかしら?」
「どういうこと?」
「日本のドラマや映画は、ストーリーよりも芸能界のしがらみで、芸能事務所が売り出したい人を前面に出して商売する方法だから、そこまでの濃いストーリーは求められてない。その証拠に、日常のスローライフや中身のないストーリーばかりでも、人気タレントのアップシーンが多いだけで視聴率や興行収入が上がっているもの。」
「確かに。そういえばそうね。」
日本という国は変わった国で、外国は正義が勝つという作品が多いが、平和主義の日本だけは日々の日常ののほほんとした作品でも、事務所や会社が売り出してくれれば、それが世に出て売れるのだ。一部のお金持ちが買い上げたり、出版元の自作自演というのは言うまでもない。
「有名作家の作品は、面白くなくてもアニメ化、実写化される。それも前作のヒットからの最低限のファンがいると見越してだ。」
「確かに本当のファンが多い人はスポンサーが辞めさせてくれないから、ダラダラ長く続いている作品もあるし、過去の栄光にしがみついている人は、新作を書いては潰れの連続ですからね。」
これが原作者や作家さんの悲しい現実である。売れている時は編集者が頭を下げてくれるが、一度失敗してしまえば、落ちぶれる現実が待っている。
「一作だけで長く続けていく方が実写化、アニメ化しやすいし、結局は成功した、成功する者になれるということね。」
「そうなると、壮大なストーリーの打ち出しが必要ね。「俺は海賊王になる!」「何でも願い事が叶う7つのボールを集める!」「不幸な事件をまき散らす少年探偵!」この辺がロングセラーのストーリーものよ。」
「そうか!? 分かった! 真実にたどり着いたわ!」
「どういうこと?」
その時、渋子が何かに気づいた。
「ダラダラ延命作戦をしているヒット作を続けるために、ストーリーとは関係ないアナザーストーリーや日常が描かれるようになったんだわ! そこから「ささえさん」とか「アンバンマン」とか「忍たま袋乱太郎」とかの日常モノの毎回同じテンプレート型の作品が誕生したんだわ!」
「そうか。そう考えると壮大なストーリーを考えなくても、日常モノって、壮大なストーリーなんだわ。」
「その通り! アハッ!」
渋子は良い所に気がついた。逆に考えれば日常も壮大なストーリーなのだ。
「渋子! 偉い! アハッ!」
「お姉ちゃんも偉い! アハッ!」
「アハッ! アハッ! アハッ!」
「アハッ! アハッ! アハッ!」
渋野姉妹は今日もアハ会話を楽しむのであった。
つづく。




