_5__知ってた。
初投稿につき至らない点もあることと思います。
感想・ご指摘・アドバイスなどお待ちしております。
腹を満たした後、俺とシレンは、悪魔達に出会った森を直進していた。
森の中でも団体の悪魔達に数回出くわしたが、シレンの癇に障った為に瞬殺された。
悪魔達の装備を剥ぎ取りたかったが、シレンの攻撃を逃れた装備は皆無だった。
「ボス、これからどうします?」
シレンが悪魔達を消し飛ばしてからというもの、俺の口調は様変わりしている。
この脳筋に目的なんてあるのか疑わしかったが念のため聞いてみる。
「あ?ショボ筋が何言ってんだ!!ショボいこと聞いてくんじゃねぇ!!」
「・・・すいやせんボス、少し気になったもので、へへへ」
「ったく頭までショボいんだからよぉ」
くぁ!イライラするわこの脳筋!!
「俺様の筋肉を見れば、これからどうするかなんて分かるだろうが!」
・・・・知らんがな。
「すいやせんボス、分からねぇです」
一々、トークに筋肉を持ち込むなよな。
「そんなショボい筋肉してっからだろ!」
真顔で言うな。
「しゃあねぇなぁ。この森を抜けるとよぅ、雑魚の根城があるっつうんで、そこ行くぞ」
「雑魚ってぇと、ちょくちょくボスに絡んできた悪魔達のことですかい?その根城?って何でまたボスが行くんです??」
「それは俺様の筋肉に聞くんだな」
はあ?
「ど、どうやってお聞きしたら良いのでしょうか?」
「オメェはホント、言うこと成すこと全部ショボいな!オイ!!」
お前の図体を物差しにすな!俺の言ってることはまともだ!!
「・・・すいやせん、ボス・・・」
俺、何回謝ってんだろ・・・泣けてきた。
「雑魚どもが俺様を狙ってるって言うからよぉ、ムカつくんで根城ごとシメんだよ!」
最初からそう言ってくれ。
「さ、流石ボスでさぁ!」
悪魔達、終わったな。
「ーっと、ボス、そろそろ森を抜けますぜ。」
遠くに平野が見えた。あと少しで森を抜けそうだ。
「待てショボ筋!ここで飯食うぞ!」
また食うのかよ。アフリカゾウかお前は。菜食主義だしな。
「了解でさぁボス」
俺は道中で採取した木の実を、時空間魔法”ディメンションホール”から取り出しシレンに献上した。
「おせぇんだよ!さっさと寄越せ!ショボ筋!!」
シレンは怒鳴り散らしながら、俺から木の実を毟り取った。
「す、すいやせん、ボス」
俺はもたついていない。シレンは何時もあんな感じだ。
INTが1しか無いのだから。
ホントはこんな馬鹿に従っている場合じゃない。
一刻も早くネタ王国を建国したい。
しかし、どう考えたってシレンから逃げ出すことは不可能だ。
シレンの雑務を担う召使が増えて、俺が必要無くなったら逃げるチャンスはあるかもしれない。
そこまで気長に待つしか無いか・・・・。
そうこう考えていると、俺達は食事を終え、森を突き抜けた。
そこは枯れた平野だった。所々、地面がむき出しになっており、萎れた草はほとんど枯れていた。
森付近は緑だが、森から離れるにつれ徐々に荒れていた。
そして、枯れた平野の先に巨大な黒い穴があった。その周りを何匹かの黒い生き物が飛んでるのが見える。
「あの黒い渦、あれが根城でしょうな!悪魔達の言っていたことが本当ならですが」
「んなことは筋肉で分かんだよ!!とっとと行くぞショボ筋オラぁ!!」
黒い渦に向かう途中、大勢の悪魔達が向かって来たが、シレンが片手で殲滅した。
黒い渦まで半分ほど距離を縮めた頃、ありえないモノが接近して来た。
黒光りした硬質なボディ、ボディを囲む銀色の管、その下には何セットもの車輪。
蒸気機関車がシュポシュポ音を立てながら。線路も無い枯れた平野を走っていた。
「ええええええええええええええええええ!!?」
うっそおおおおん!!??
何、何、何!?どゆこと!?
俺はあまりにも驚き過ぎて完全に呆けてしまった。
機関車だってこの世界では普通かもしれないし、線路が無くったって魔法とかで走る理屈は想像出来た。
そんなことでは驚かない。
でも、蒸気機関車のフロントに巨大な俺の顔が付いていたのだから驚くだろ。
マジかよ?モノ(機関車)に転生したってこと??もう何でもアリだな。
シレンはというと、肉食獣みたいに蒸気機関車を睨んでいた。
蒸気機関車は俺達から少し離れた場所に停車した。
すると第二車両の扉が開き、吐き出される様にして白いドレスを着た金髪の女性が投げ出された。
投げ出された勢いで、プラチナを散りばめた青白いヒールが片方脱げ、長い金髪が乱れていた。
「い、痛っ、、ちょっとさぁ!!乱暴に放り出さないでくれる!?」
女性は蒸気機関車に向かって怒り出した。
「って、ここどこぉ!?聖シュライン公国じゃないじゃない!!寄り道しないで早く聖シュライン公国に連れて行って頂戴!!」
女性は怒りながら姿を整え、立ち上がった。
「ご乗車ありがとうございますぅ~。聖シュライン公国ぅ~、聖シュライン公国ぅでございます。お忘れ物無い様、ご注意下さい」
女性の訴えを無視し、蒸気機関車がニンマリした顔でアナウンスした。
「どこが!!!あの重厚な防壁も、聳え立つ荘厳な神殿も無いじゃない!!ここどこなわけ!?」
激怒する女性をガン無視して蒸気機関車は第二車両のドアを閉めた。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!このまま捨てて行く気!?」
異世界で初めてちゃんとした人間に会えたが、俺の顔をした機関車に騙されていた。
取り合えず女性のステータスを神眼で確認してみる。
|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
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| エミルア 27歳 女 人族 【聖女】
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| レベル |§| 22
|
| STR |§| 31
| AGI |§| 28
| INT |§| 50
|
| HP |§| 662 / 662
| MP |§| 300 / 920
| ATK |§| 80
| DEF |§| 20
| MATK |§| 207
| MDEF |§| 74
| MS |§| 260
|
| スキル |§| 光魔法(LV4)
| |§| 治癒魔法(LV4)
| |§| 武技(LV3)
| |§| 盾技(LV3)
| |§| 狙撃(LV2)
| |§| 信仰(LV5)
| |§| 料理(LV5)
|
| ユニークスキル |§| 慈愛精神
|
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|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
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| 慈愛精神
|
| 治癒魔法・光魔法・信仰のMPコスト減。
| 治癒魔法・光魔法・信仰の効果増。
| 治癒魔法・光魔法・信仰の必要経験値減。
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|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
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| |§|捕獲条件
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| 無し
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|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
よかった!普通だ。
これ見ると俺は平均値より高いステータスだったみたいだな。
俺は1レベルだが、22レベルのエミルアさんよりステータスが高い。
エミルアさんのステータスを眺めていると、蒸気機関車が動き出し、俺達の前で停車した。
「お客様、お望みの場所へとお連れいたします。次の停車駅をお教え下さい。」
いやいや、怪しすぎだっつーの。
アレでしょ?滅茶苦茶な場所に連れてかれて降ろされるんでしょ?
エミルアさんが言ってたことから推測するに完璧罠だな。
誰が乗るかっ!
一体何なんだコイツは。そう思い、神眼で確認する。
|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
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| サトウ レンポ 132歳 性別無し シュシュポポ族 【暴走機関車】
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| レベル |§| 418
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| STR |§| 3900
| AGI |§| 9575010
| INT |§| 1
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| HP |§| 81900/ 81900
| MP |§| 1 / 1
| ATK |§| 3100
| DEF |§| 10000000
| MATK |§| 1
| MDEF |§| 10000000
| MS |§| 112000
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| スキル |§| 防御(LV☆☆☆)
| |§| 機械化(LV☆☆☆)
| |§| 逃走術(LV☆☆☆)
| |§| 料理(LV5)
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| ユニークスキル |§| 永久機関
| |§| 情報吸収
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|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
|
| 永久機関
|
| スキル所持者の持つ拠点空間を絶対法則で支配する。
| このスキルの効果は全てのスキルより優先される。
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| |§|━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━|§|
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| 情報吸収
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| 如何なる情報でも意味を理解可能
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|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
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| |§|捕獲条件
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| 2回乗車する
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|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
YABEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!
またツッコミどころが多いの来たな。
レンポって、レンの悪口みたいに聞こえるな。
シュシュポポ族だと!?そんなん居てたまるか!
お前もINTが1なのかよ!!!
防御高すぎだろ。何から守るんだよ。
つーかレベル高いけど何と戦ってんの?客じゃねーだろうな。
移動速度早すぎ!何を目指してんだお前は。
≪スキル≫無茶苦茶だな。絶対法則で支配とか。
テイム条件はそこまで難しくないか。
レンポに驚いていると、今の状況を打開する名案を閃いた。
この蒸気機関車には大きさから言ってシレンは乗れそうに無い。
コイツに乗れば、逃げ出せるんじゃね?
「どこか遠い所へお願いします!」
この世界の地名を全く知らなかったので(聖シュライン公国はさっき知ったが。)アバウトにお願いした。
いけるよね?お願い頼む!あの脳筋から俺を解放してくれ!!
「畏まりました。次の停車駅は~、セタニティ王国ぅ~、セタニティ王国です。お間違いない様ご乗車下さい。」
レンポがアナウンスすると第二車両のドアが開いた。
「セタニティ王国!聖シュライン公国の隣国じゃない、私も乗る!」
そう言ってエミルアさんはレンポに飛び乗った。
俺も続いて乗ろうとした。が、流石のシレンもこの展開を理解し始めた。
「おい!ショボ筋!!どこ行く気だ!!戻れコラ!!!お前は俺様の食料調達係だろうが!!」
シレンが気付いたので俺は魔法で足止めした。
”タイムロック”と念じ、数秒間シレンを硬直させる。
その隙にレンポに飛び乗った。
「発車致しまーす。ドアにご注意下さい。」
ドアが閉まり、レンポが動き出した。
そこでシレンに放った”タイムロック”の効果が消え、シレンが怒鳴り散らしながらレンポに襲い掛かった。
が、シレンの拳は何も出来なかった。
拳が機体に届く前に何かに弾かれていた。
これが永久機関の効果か。有能すぎるだろ。
干渉できないとか念じていれば良いわけだ。
シレンは悪魔達を倒したことによりレベルが爆上がりしている。
今のシレンの攻撃を防いだという事実に、俺はマジでビックリした。
レンポは加速していき、遂にシレンを振り切った。
「ひゃっほーーーっう!!!!」
やったぜ!!マジでやった!!これでやっと脳筋とおさらばできる!!!
「くたばれ馬鹿野郎!!!!」
窓を開け、もう点になりつつあるシレン目掛けて言い放った。
俺は超スッキリした。
ったく、ようやく建国への1歩を踏み出せるな。
安心して俺は座席に座り、自由を手に入れた余韻に浸っていた。
しばらくするとレンポの口からアナウンスが聞こえてきた。
「ご乗車ありがとうございます。セタニティ王国ぅ~、セタニティ王国ぅです。お忘れ物ございません様お気を付けください。」
レンポが停車し、俺と女性は車内の天井から突然生えたロボットアームみたいなモノに放り出された。
そこには6メートル超えの巨漢、シレンが立ってた。元の場所に戻って来ただけだった。
うん、知ってた。
俺の頭の中はショートした。
こんな文字の羅列に目を通して下さった皆様、感謝でございます!
ありがとうございました!!
評価を頂けると嬉しいです(ボソッ
小まめに水分補給をしましょう☆