_3__大冒険の予感
初投稿につき至らない点もあることと思います。
感想・ご指摘・アドバイスなどお待ちしております。
意識が戻ると俺は草原に立っていた。
地平線には山々が見え、山の麓を深緑の森が囲っていた。
壮大な青空の下、心地良いそよ風が俺の顔を撫でている。
周囲に魔物の姿も見えないし、俺が安全地帯に居ることは理解出来る。
だが、俺の隣に居る人物が理解出来ない。
6メールの筋肉お化けが俺を見下ろしていたのだ。
はち切れんばかりの隆起した筋肉は肥大し過ぎて6メートルはあろう巨体のボディバランスを滅茶苦茶にしており、縦にも横にもデカかった。
もはや筋肉お化けと呼ぶ他無いこの男は筋肉を自慢する為なのか短パン一丁だった。
「なっ!っにっ!!??」
筋肉にではない。俺より遥かに高い場所にある筋肉お化けの顔を見て俺は絶句した。
巨体の割に顔は俺と同じ大きさだった。いや、そんなことはどうでも良いが、前世の俺と同じ顔だったのだ。
「うおおおおおおおいぃ!!!どーゆーこと!!???」
転生神と名乗る老人は俺の複製をお供に付けると言い、俺のリクエスト通りに魔法系の≪スキル≫をボーナスで授けたと言っていたのだ。
確定ではないが、見た目が物語っている。
「どこが魔法使いだ!!!!脳筋やんけ!!!!」
まあ騙されたね。転生神の老人は本来俺が貰うはずだった≪スキル≫を遊びで俺の複製100体に分け与えてこの世界に解き放った前科がある。
信用して細かいことを確認しなかった俺はバカだったが、悪いのはジジイだ。
あのジジイはどうせ今の状況も笑いながら見ているのだろうと思うととてもイライラした。
いつか絶対あのジジイをボコボコにしてやると心を燃やしていると、《転生の間》から一言も喋らなかった俺の複製が口を開いた。
「煩いぞ俺のショボ筋」
ほよ?
待て待て待て待て待て待て待て待てちょっと待て
「は?・・・えっ?・・あっ、ええ!??」
あまりの爆弾発言に俺は全身から血の気が引き、パニック気味になった。
こいつぁマジでヤバイ、『俺の』って何だよどういう意味??
・・・・・
ジジイからこの世界に解き放った俺の複製達を捕獲してくれと《転生の間》で頼まれたんだ。
転生者がギフトとして貰えるはずだった≪スキル≫を俺の複製達が持っているからだ。
俺の複製達を捕獲&使役することで本来俺が貰えた≪スキル≫を取り返したことにしてくれとお願いされた。
だから詫びにジジイから《絶対捕獲》という≪スキル≫を貰い、1人余ってた俺の複製を旅のお供に付けてくれた。
そういう話だったはずだ。
「おいショボ筋!何やってんだとっとと飯持って来い!!お前は食料係だ!!行け!!」
状況は最悪だ。
もっと低い声を予想していたが、6メートルの巨漢からは前世の俺と全く同じ声質が聞こえてきた。
うるせえな!!命令すな!!俺の顔で言われると何か余計に腹立つわ!!
マジ最悪だこれ、ヤバっ。オリジナルがコピーの下僕とか洒落なんないでしょ。引くわ。
ってか第二の人生始まって速攻、不幸だな!おいっ!!
ふぅ、悪態をついている場合じゃ無いな。なんとか・・・・
まずは自己分析からだな。勿論、面接の自己アピールを考える時とは違う。
ジジイの言ってたことから推測するとこの世界はRPGゲームみたいな感じなはず。ステータスっぽいモノがあるはずだ。
自分の持ち物にはステータス確認に繋がりそうなアイテムは見当たらなかった。
《転生の間》では白いローブだったが、今は落ち着いた赤茶色のフード付きローブを着ていた。
開いたローブの下には薄い茶色のチュニックが見え、灰色のズボンらしきモノを身に着けており、黒色のブーツを履いていた。
地味だなと思ったが、この恰好がこの世界では普通なのかな。目の前の脳筋は除く。
武器だろうか、腰に巻かれたベルトには鞭があるのが確認出来た。
鞭が武器ということは俺の職はジジイの言う通り【魔物マスター】だろうな。
手持ちの物ではステータスを確認出来そうに無かったので、俺は考え方を変えて、頭の中で念じることにした。
ステータス・・・ステータスっと。
念じると、目の前に厚さなんてモノがあるのか疑わしい文字の書かれたパネルが浮かび上がった。
|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
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| サトウ レン 25歳 男 人族 【魔物マスター】
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| レベル |§| 1
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| STR |§| 125
| AGI |§| 187
| INT |§| 101
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| HP |§| 2743 / 2743
| MP |§| 1909 / 1909
| ATK |§| 370
| DEF |§| 137
| MATK |§| 412
| MDEF |§| 152
| MS |§| 600
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| スキル |§| 火魔法(LV1)
| |§| 水魔法(LV1)
| |§| 風魔法(LV1)
| |§| 土魔法(LV1)
| |§| 雷魔法(LV1)
| |§| 光魔法(LV1)
| |§| 闇魔法(LV1)
| |§| 治癒魔法(LV1)
| |§| 時空間魔法(LV1)
| |§| 武技(LV1)
| |§| 盾技(LV1)
| |§| 格闘(LV1)
| |§| 狙撃(LV1)
| |§| 料理(LV1)
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| ユニークスキル |§| 絶対捕獲
| |§| 神眼
| |§| 情報吸収
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|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
俺、魔法使えるんかーい。魔物マスターとは一体。
ちゃんと《絶対捕獲》があることを確認して安心した。
どうやらこの世界で生き抜く為に必要そうな≪スキル≫を貰えているらしいな。
全部レベル1だが、最初はこんなもんだろうと納得した。
初期ステータスの数字についてはこの世界の平均を知らないから何とも言えない。
「行けっつってんだろ!!ショボ筋!オラぁ!!頭の中までショボいのかぁ!!」
脳筋が喚いたが、無視した。
ホントは怒鳴り返したいが、脳筋と戦闘になった場合に勝てるか不明なので今は無視するしかない。
なんとかならないかと願いつつ、取り合えずスキル詳細を確認する。
|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
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| 絶対捕獲
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| 全ての生命・精神を従えることが可能。
| 個体ごとの捕獲条件を満たすことで使役出来る。
| 使役した対象を任意の場所に召喚可能。
| 使役数に上限は無い。
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| |§|━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━|§|
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| 神眼
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| 目に映る全ての情報を得られる。
| この能力を欺くことは不可能。
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| |§|━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━|§|
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| 情報吸収
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| 如何なる情報でも意味を理解可能
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|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
神眼、こいつは有能だな。
神眼で脳筋を見てみるか。考えるのはその後だな。
俺は神眼と念じつつ脳筋を見た。
すると脳筋のステータスが見れた。
|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
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| サトウ シレン 25歳 男 ジャンボ族 【格闘家】
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| レベル |§| 1
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| STR |§| 459000
| AGI |§| 382600
| INT |§| 1
|
| HP |§| 4895000 / 4895000
| MP |§| 1 / 1
| ATK |§| 1318000
| DEF |§| 550100
| MATK |§| 1
| MDEF |§| 1
| MS |§| 3920
|
| スキル |§| 武技(LV1)
| |§| 盾技(LV1)
| |§| 格闘(LV☆☆☆)
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| ユニークスキル |§| 彼方ノ猛力
| |§| 情報吸収
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|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
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| 彼方ノ猛力
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| 同じ対象に攻撃を当てる度に与えるダメージが倍になる
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| |§|━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━|§|
|
| 情報吸収
|
| 如何なる情報でも意味を理解可能
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|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
なんじゃこりゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!
ツッコミ所がありすぎて困るな。
名前微妙に違うし。ジャンボ族って何さ!?
ステータス高過ぎ!LV1のキャラが持って良い数値じゃない。
俺のコピーにしてはアホな物言いだなと思っていたが、賢さを表すINTが1しかないので納得だな。
≪スキル≫強すぎだろ。攻撃する度に倍は無しだろ。だったらステータス下げろ!
物理全振りはやり過ぎじゃないのか。魔法防御のMDEFが1しかない。
問題は脳筋のHPが高すぎることだな。俺がもしすんなり魔法を使えたとして、LV1の魔法撃ってどれだけ削れるか・・・・・・
うん、無理。
フィジカルを表すAGIが高すぎて不意打ちの1発で仕留めきれなかったらこっちが瞬殺される。
おまけに移動速度を表すMSが俺より断然高い。魔法が当たるのかさえ分からん。
ん?俺のステータスでは見かけなかった項目があった。
|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
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| |§|捕獲条件
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| 決闘に勝利する
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|ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ ШЖШ
・・・・・こりゃ詰んだな。
寝ている隙とか、不意打ちで考えていたが、正々堂々と勝負するんじゃ100%勝てない。
「はいっ!すいましぇん!!行って参りまーーっす!!」
こうして俺の第二の人生はパシリでスタートした。
こんな文字の羅列に目を通して下さった皆様、感謝でございます!
ありがとうございました!!
評価を頂けると嬉しいです(ボソッ
前傾姿勢にならないよう、小マメに休憩しましょう☆