_2__チート寄越せってんだ!!
初投稿につき至らない点もあることと思います。
感想・ご指摘・アドバイスなどお待ちしております。
俺は漫画や映画などで登場人物のそっくりさんとかクローンなんかが出てくる作品を目にしたことがあるが、その時は友達感覚で捉えていた。
実際に自分が経験するとそんな軽い感覚では済まなかった。
俺は完全にドン引きした。
ち〇グリ返しでアへ顔ダブルピースをしているからでは無い。
俺と瓜二つの人間がいるということが、この世のバグみたいに思えて気持ち悪かったのだ。
頭が酔っているような感覚になり嫌な感じがした。
老人は俺が引いてるのを見て笑っていた。
「うぉほほほほ!!暗い顔じゃのう?うぉほほっ!傑作じゃと思うとったのじゃがのう」
まあ、こんな格好で人が死んでたら笑うわな。
「本人が見ると笑えないですけどね。」
「おお、そうじゃな。すまんかった、当人にはキツかったかの?ほほほ!」
そう言いつつ、老人は愉快に笑い続けていた。
絶対俺が引くのを分かってて見せているのだろうということに内心イラっと来ていたが、転生のことがあるのでグッと我慢した。
「キツいですよ。俺そっくりな人が再現してるんですもん、リアルすぎでしょ」
「それでこの人誰なんですか?あなたは何なのですか??」
サブカルチャーの知識から考えらることとして、俺にそっくりな人は一時的に見せている幻覚魔法とか、ホログラフ的なものだと思う。
老人は恐らく転生管理人的な人物かな。
「こりゃ説明が遅れたのう、まずわしのことから話そうかのぅ」
老人は俺がずっと気になっていたことを説明してくれた。
「わしは転生神じゃよ。特殊な条件が揃った者を選定し、その者の住む世界と別なる世界へ転生させる役割をしておるのじゃ」
ふむ、転生神か、神だったんだなこの老人。性格悪そうだけど。
「お主は選ばれたのじゃよ。わしがお主を転生させるべく選んだというわけじゃな」
ふむふむ、不幸中の幸いってか。
「死ぬ瞬間にわしがお主の魂をこの《転生の間》へと転移させたのじゃ。今のお主は魂を視覚化させたものでありまだ肉体は無い。」
ほう、魂ね。これでもう俺はファンタジー丸出しの痛い子だな。
「それでこの者じゃがな、お主の魂を拾って目覚めるまで待っておったのじゃが暇での、お主の寝顔を見ておったらあの死に様をまた見たくなってしまって複製を生んで再現させてたんじゃよ」
は?複製?俺の??
「ざっと100人程じゃな、大勢であのような恰好をさせるのは圧巻じゃったのう」
俺で遊ぶな!と心の中では叫んでいたが、まだ口には出さなかった。落ち着くんだ。
ってか100人は多すぎだろ。
「今は1人しか見当たらないですね、出したり消したりしていたのだとすると複製とは幻覚か魔法のようなものでしょうか?」
俺のサブカルチャー知識によると転生の際に異世界での暮らしをバックアックするために何らかの能力を貰えると考えられた。
能力に繋がりそうな話はキッチリ抑えておきたかった。
「ハズレじゃ。魔法などではなく転生神専用スキルの1つに《解魂弄》というものがあってお主の魂を複製したんじゃよ。」
ん?魂???
「今1人しか居ないのはのぅ、他の者はノリで転生させてしまったからなのじゃ。」
へ?転生???じゃあ俺の|複製《コピーって生きている本物の人間ってこと??
ノリで転生さすな!
「ちょ、ちょっと待ってください!どんなノリだったのかは兎も角、もしかして複製した俺の転生先って俺がこれから転生する世界だったりするんじゃ!?」
「その通りじゃ。」
いや、ドヤ顔で言うなよ。
俺が100人居る世界とか気持ち悪っ!!
「お主の死に様を再現させた後にボードゲームで遊んでおっての、盛り上がってしまったので勝ったら者から転生させてやると言ってしまったんじゃ。ずっと目覚めなかったお主が悪いのじゃ。」
おいおいおい。俺のせいにすな。ずいぶん身勝手な爺さんだな。
「はぁ~、もう、分かりました。転生して出会っても見て見ぬフリをします。」
まあ、無視すれば良いだけの話だからね。
「そうするがええの。1人だけはお主が目覚めた時に死に様を再現させる必要があったから残しておいたのじゃが。」
要らんサプライズをすな。
「そりゃどうも。」
俺は自然とジト目になっていた。
「っと長話が過ぎたようじゃな。よし、これからお主も転生してもらうとするかの」
老人は逃げるように俺から視線を外しながら話題を変えた。
「転生者にはギフトが授与されるルールになっておる。≪スキル≫と呼ばれる特殊技能、個人のステータスに影響される≪職業≫がギフトの内容じゃ」
来ました。スキル!職業!!ステータス!!!
となるとこれから行く異世界はゲームをイメージすれば間違い無いさそう。
「ほれ、この中から好きな≪スキル≫を選ぶんじゃ。表示された≪スキル≫はお主の可能性を示しておる故に幾つでも選べるのじゃ。選んだ≪スキル≫から自動で≪職業≫が割り振られるからまずは≪スキル≫を選ぶのじゃ。」
好きなだけ選べるの?マジで??チート最高!!
ヴゥンというゲームの効果音みたいな音と共に、俺の前に厚さなんてあるのか疑わしい液晶パネルみたいなものが出現した。
「おおぅ」
俺の口から、宝を目前にした盗賊みたいな声が漏れた。
どんな≪スキル≫が欲しいかは粗方決まっていた。
俺には夢があった。
普段生活している中で通勤や通学、食事に就寝など規則に従って行動する人々を見て無性にアホな法律を作りたくなることがある。
そしてこう思った、俺が国のトップになったらネタ法律を制定しまくってやると。
例えば、ガニ股歩行を強要してみたり━━━━━━━━━━━━
例えば、挨拶するときはドヤ顔を強制したり━━━━━━━━━━━━
そう、俺の夢はネタ王国を建国することだった。
当然、≪スキル≫は建国する際に使える便利なものが欲しかった。
自分の欲望を胸に抱き、期待と興奮の眼差しで≪スキル≫を探すが、浮いているスキル画面には何の≪スキル≫も表示されていなかったのだった。
「あの、すいません、≪スキル≫が見当たりませんが?」
「・・・・・」
爺さんがハッとした顔で固まっていた。
嫌な予感がした。まさかな?
「もしもし?どうかされましたか?」
「うぉほほ!!忘れておったのじゃがお主の複製達に授けてしもうたのじゃった!すまんが無くなってしもうた」
「はあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!??」
なにしてくれてんのこのジジイ!!!
お前が俺で遊んでたせいで俺の第二の人生が!!夢が!!!
「落ち着くんじゃ、ギフトは無くなってしもうたが今回はわしのせいなので特別にわしから≪スキル≫をやろう」
その話を聞き、般若の形相で怒り散らしていたおれの表情が和らいだ。
「どんな≪スキル≫か言え」
もはや俺の口調は穏やかではない。
「《絶対捕獲》という。魔物などを使役する≪スキル≫じゃな。普通の《テイム》じゃと魔物以外は使役出来んのじゃが、特別仕様にしておって何でも使役可能じゃ。条件さえ満たせばの。」
魔物使いかよ!と思い、違う≪スキル≫にチェンジしてもらおうと思ったが、何でも使役できると聞いて心が躍った。
ってか転生する先の世界では魔物がいるらしい。ということはRPG寄りの世界なのね。
「わしには一度転生してしまった者をリセットしたり出来ないのじゃ。そこで提案なのじゃが、この《絶対捕獲》を使い、お主の複製達を使役してみてはどうかの?使役しても≪スキル≫自体はお主の複製達のものじゃが、代行してくれるのじゃから似たようなもんじゃろ。」
面倒くせ!!!建国前にずいぶん寄り道しなきゃならなくね???
「もう少し≪スキル≫を貰えないのか?《絶対捕獲》だけでは戦闘面で不安だぞ」
「むむむっ、そうじゃな、今回はわしが悪いのじゃからもう少し支援しようかの。そこに1人残っているお主の複製に特別な≪スキル≫を授けてやるからお主と共に転生させよう。お主の手助けになるはずじゃ。」
「いや、俺に追加≪スキル≫を下さいよ。もうコピー人間は要らないです。」
何でまた俺のコピーを転生させるのさ???
「それは無理じゃ。ボーナス≪スキル≫は1個体に1つまでじゃ。これはルールじゃからわしにも出来ん」
そ、そんなぁ・・・・・
俺のコピーと共に行動するってのがな。気持ち悪いな。
異世界の住人には双子とは言っておけば誤魔化せるのかもしれないが、俺の気持ちは誤魔化せない。
「心配するな、お主の複製全てを使役出来ればお主に特別な贈り物をやろう」
うん、面倒くさいから絶対そこまでやんない。だから要らない。
「それでお主は戦闘系の≪スキル≫を欲しておったようじゃが、お主の複製にはどうやって戦って貰おうかの?」
なるほどそこは選べるんだな?気持ちを切り替えて、戦闘について考えを巡らす。
何が最強とかは使って見ないと分からんし、転生神に聞いても分からないと思う。なら・・・
「やっぱ魔法使いかな。ファンタジーって感じがして雰囲気が良い。剣とか体技とかは前世の世界でも一応あったが魔法は無い。」
通勤してる時、魔法で空を飛べたらなんてずっと思ってたしね。
「では《純魔練成》を授けよう。これは魔法を練り上げ、魔法を発動する際に効果を高めるられるのじゃ。さらに新たな魔法を作ることもできるの。」
「おお!結構マシな≪スキル≫だな。」
イメージとしては、俺のコピーが後衛、俺が使役する魔物が前衛、俺が傍観とういう感じだ。
俺は一々戦ったりしない。建国したいだけ。
「うむ、気に入ってくれた様じゃの。それではお主の職が【魔物マスター】、お主の複製が【魔法使い】と自動で割り振られるはずじゃ。」
「わしに出来るのはここまでじゃ。それじゃ、第二の人生を謳歌してくるのじゃ」
そう爺さんが言うと、俺と俺の複製の床に読めない複雑な文字が円形状に現れ、青白く光り出した。
青白い光に包まれると徐々に俺の体が光の粒子になり、再び俺の意識が飛んだ。
こんな文字の羅列に目を通して下さった皆様、感謝でございます!
ありがとうございました!!
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