ある男とある……少女?3
予約投稿ぜんぶ消えてたあげくそれに気付かない馬鹿こと俺です。
罵ってください。
……足音?
ドタバタと階段を降りるような音が俺の神経を刺激する。
誰か来たのだろうか?
まだまだ寝ていたいのにも関わらず、意識を無理矢理覚醒させようとするその騒音に俺は眉を顰める。
朝か?
昨日の夜、シュリアとやらが行った後、俺は暇過ぎて暫くの間筋トレに勤しんでいたが、そんなことしてたら服がベタベタになってしまうことに気付いた。
ここは牢の中、もちろん風呂なんざない。
俺は肌にこびりつく布からくる嫌悪感を耐えながら夜を越さなければいけなくなってしまったのだが、意外とこれがキツいもので、諦めて着ていた洋服をそこらに脱ぎ捨てて寝た。
石畳は身体の熱を奪ってくれる。
ひんやりとした感覚を肌で感じてそのまま眠りに落ちた。
ような気がする。
「おっきろぉお!!」
うっせえ。
起き上がって見上げた先には昨日のシュリアとかいう黒髪美少女。
昨日日替わりで転生者が監視役になるとか言ってなかっただろうか。
胡座をかきながら髪の毛を弄ると降ってきた白い粉。
……紛れもなくフケじゃねえか。
お風呂に入りたいよぉ。
そこまで思考を巡らせた後、俺は彼女の異変に気付いた。
あれ?この子何故に硬直状態?
つかこいつの真顔初めて見たかもしれない。
……あぁ、成る程。
……俺今パンイチでした。
「服……着ろよな」
「いやお前誰だよキャラ崩壊著しいな、つか今日もお前が来んのかよ」
ガキ臭い茶色のイージーパンツに似た履物を履き直し、汚れて少しファンタジーっぽくなってた白い無地のTシャツっぽいのの上に紺色で薄手のだぼだぼパーカーを羽織りながら、彼女に尋ねた。
生意気妖刀が手錠切ってくれたのはありがてえな。
棄てないであげようかな?
「……君、結構不思議だからなんとなく一緒に居たくなった」
語尾の伸びたへらへらとした喋り方をしていない、それなのにどこか煮え切らないような言い方をする彼女。
それでいて言葉は曖昧で何を伝えたいのか見当もつかない。
「まあいいやぁ、とりあえず私がこれから担当だからよろしくねぇ」
だがそれも一瞬で、いつもの表情に戻った彼女はまたへらへらと笑いだす。
なんとも要領の得ない話をする……
だけどまあとりあえず飯だ。
「はぁん?まあいいや、つか俺の飯は?」
「食べちゃった!」
肩幅に足を開いて右手でピースサインを作る彼女に殺意が湧いた。
……死ぬぞ?いや俺が。
「ていうかさぁ、私まだ君の名前聞いてないんだけどぉ?」
そういえば話していなかった。
「志乃 優沙だよ、ファミリーネームの方が志乃」
「へえ、ゆーさ君って言うんだ!」
「その若干バカっぽい呼び方嫌なんだけど……」
彼女は聞こえていないのか将又只無視しているだけなのか、こっちには目をもくれずに呟く。
「ゆーさくん、ゆーさくん、ゆーさくん!うん、覚えたぁ!」
セリフだけ見れば小学生である。
「じゃあ私そろそろ他のみんなと一緒に周辺の地理確かめてくるよぉ!美味しいもんいっぱい食べてくる!」
「……羨ましい限りだよほんと」
「女の子に乱暴しようとするから悪いんですぅ!」
「だってなぁ……あんな身勝手なこと言われたらねぇ……」
「君以外みんな優しいから!
あっ、もう結構時間たった気がする!じゃあ行ってくるね!ばいばい!」
そう言い残し、彼女は上の階へと続く階段を忙しなく駆け上がっていった。
「……ったく。
朝から喧しい」
俺はそうぼやいて二度寝しようと身体を倒した。