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Endless summer  作者: 育深
始まり 
7/58

ある……少女?ととある国 2

私はこの気まずい中で1人口を開かなければいけないというのか……

私の左斜め前に座っていた先程の金髪くんがこちらに期待したような目を寄せる。

私はそれに超キュートな笑顔でもって返してやる。

ほら赤面した。

まだまだ青いな金髪よ。


「えっとですねぇ、私はシュリアって言います!

出身はエルフの里のラーメスってとこなんだけどぉ、みんな私の世界のことなんて知らないはずだからぁ、まぁ言っても分かりませんよね。

魔術とか剣術とか使えるけどぉ、素手でも結構戦えるよ!」


力瘤を見せようとして右腕を捲った。

……正面に座ってる爺さんの目がいやらしい。

女の子はこういうのに敏感なのだ。


そして自己紹介が終了する。


序列3位は銀髪の長身美人吸血鬼、

序列5位がよぼよぼのおじいちゃん、私の正面に座ってえっちぃ目線を送ってきた人だ。

序列6位が赤髪ポニテの14歳くらいの美少女、

序列10位が小じわの気になるお年頃のおばさん、背が何故かとても低い。

序列11位が件の金髪くんだ。


……そうなのだ。

私は殆ど話を聞いていなかった。

これから出てくるであろう食事に胸を躍らせていたらいつの間にやら時間が経っていた。

それこそ名前どころか序列と顔すら一致しないほどに。

でもこれは仕方がないのだ。

実際こんなお互い素性も分からない上にロリからおじいちゃんおばあちゃんまで居る中で合コンやったって楽しくない。


金髪くんの名前がスルト・T・ガッシュというところだけ覚えている。


私偉い。






というか金髪くん一々城の内装に驚いててうざったい。


「お待たせしました」


両開きの扉を開けて、給仕の女性たちが数人入ってくる。


「お食事をお持ち致しました」


彼女らは長机に私達の食事を慣れた手つきで並べる。

並べ終えた彼女らは、一歩後ろに下がって王様に向かって丁寧なお辞儀をした後、ごゆっくり、と一言述べて去っていく。


彼女らの背中を見送った後、私は目の前に置かれた料理に目を輝かせた。


……これはやばい、例え話とかでなく涎が出てきそうになる。

まず目に入ってくるのは緑色っぽいパスタ。芳ばしい香りを漂わせて食欲を唆る。

中心に置かれた大きな鳥の肉みたいなものは胡椒っぽいのが振りかけられていて、添えられた赤い果実は祖国のものを彷彿とさせた。

彩り鮮やかなサラダには、白っぽいソースがかけられていた。

それが何なのかは全く分からないが、一目見て美味いと断言できる。

特に私の目を惹いたのはその3皿だったが、他にもよりどりみどりの食材が長机を占領している。


「すごい美味しそうです!!

で、でもこれって食べ方とか決まってたりするんですか?」


金髪くんもといスルトくんが困惑した表情で王様に問いかける。


「いやいや、皆別の世界から来ているんだ。

それぞれ色々とあるだろうし、食べ方は気にしなくて大丈夫だよ」


王様は柔和な笑みを見せて答えた。


「はい!」


スルトくんは一応返事をしてはいたが、目線は豪華な食事の方に釘付けであった。


十数分は異様なほど皆黙々と食べ続けていた。王様にいくら気にしないでいいと言われたからといって、この料理を目の前にして食べながら喋るとかは畏れ多くて誰もできないとみる。

かく言う自分もその人ではあるのだが。


ああでもさっき連行されて言った灰色っぽい髪の青年ならそんなこと気にもしないだろうか?


皆がそろそろ自分の分の食事を食べ終えるくらいの頃に、王様がやっと口を開いた。


「……さて、ここからが本題なんだが、君達は私たちに協力してくれるのか?」


王様は率直に聞いてくる。

私達のことを諸君と呼ぶのはもうやめたみたいで、最初より若干ラフな口調で話し始めていた。


「俺やるわ、暇だし」


そう言ったのは……誰だっけこの人?

確かサルさん、そう!サルさんだ!

序列は確か12位!

全然聞いてなかったけど思い出せた!私めっちゃ偉い!


サルさんは、茶髪で厳つい顔立ちの筋骨隆々の男の人。

耳がでかい。

その風貌とは裏腹に結構軽い感じの人らしい。


「どっちでもいいわよ」


それは主婦が夫に言われて困るセリフトップ20に入るやつだよ、赤髪ポニテちゃん……

なににツンデレてんのかしら……


「ぼ、僕もやります!!あんなこと聞いてほっとくなんて出来ませんよ!」


スルトくんですね、分かります。

君はやると思ってたよ。


「あらぁ、その子がやるなら私も協力するわぁ」


そう言ったのはおじさんであった。

一見すればただのダンディなおじさんなんだが、今の発言を鑑みるにこの人確実にそっちのタイプの人間だ。

スルトくんは戦慄している。


……口調が被ってるので即急に対応を要請したい所存です。


その後私たちはみんなやるみたいな雰囲気になっていった。


……発言しない人もいたのだが同調圧力に呑まれてやるってことになっている。

銀髪ちゃんオロオロしてる。

ギャップが可愛い。


そんなわけで私達は今後の予定に関して説明を受けた。


私は眠気に打ち勝って頑張って聞いた。









さっきから私偉すぎないだろうか?

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