ある男と少女たち3
「んっううう!!」
声にならない声を上げて身悶える隻眼系碧眼。
痛そう、俺まで股間を押さえてしまう。
「……えげつないことするねぇ」
半笑いで言ったのは、大柄な男を絞め落とし終わった様子のシュリア。
男は白目を向いて泡を吹いている。
「その状態でそれを言うかね?」
「まあ細かいことは気にするな童貞!」
癪に触る台詞と共に差し出された拳。
意図を理解した俺は、それに自分の拳を合わせてやる。
「いえーい」
ぺち、と小さな音を立てた瞬間にシュリアは自慢の黒髪を靡かせてくしゃっと破顔させる。
なんか小動物的な可愛さがあるよね。
「じゃ、ちゃっちゃと闘技場戻るか」
「うん!」
そうして俺達は、3人の生きた屍が転がる路地裏に足音を残して去る。
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そんなこんながあった後、俺達はやっとこさ闘技場裏口まで辿り着いた。
もうどうあがいても俺達方向音痴組じゃ変なとこに行く予感しかしなかったので、恥を忍んで道行く人に場所を訪ねたのだ。
シュリアが。
毎度のことながら人通りの少ない裏口周辺だったが、俺達はそこを抜けて関係者以外立ち入り禁止の貴賓席への階段へと歩を進める。
長いこと足を動かして、薄暗く狭い階段を登りきると太陽の光が段々と目に入ってきた。
どうやら今貴賓席にいるのは、メイラ、レイス、甲冑少女、王女様、の女子勢だけなようだ。
明らかに試合が見れない角度で備え付けられているソファーに座って優雅に談笑している。
しかし……ソファーに座って菓子食って駄弁ってるだけなのに妙に絵になるというかなんというか……
なんだろう……?
意味もなく無性に腹が立ってきた。
あ、そうだ。
いいことを思い付いた。
ソファーは幸い俺がいる裏口側に背を向けるよう設置されている。
例のアレをやろう。
決心した俺は彼女らのソファーへと足音を立てずに近づいて、俺を置いてきやがったシャルルとついでのメイラの肩をつんつん。
そして人差し指をスタンバイする。
「誰です……んにゅ」
「なん……んっ」
むにゅ、っと柔らかくてすべすべで少しひんやりとした感触が両の人差し指を包む。
「お前ら頬っぺぷにぷにだな、定期的に触らせろよ」
「やめてください穢らわしい!」
「いきなり触らないで!」
二人はそれぞれの反応を見せた。
因みに酷い方がメイラでまだマシな方がシャルルだ。
「酷えなぁ、置いてけぼりにしといてさぁ……」
俺が肩を竦めてみせると、甲冑を顔だけはだけたシャルルが大きく主張した。
「あ、あれは!
私が遅い時間まで起こしちゃったんだから申し訳ないって思って……だからエルザちゃんを責めないで!」
「お前を責めてんだよ」
「いてっ」
軽くチョップをかますと、銀のガントレットで覆われた小さな手でおでこを押さえて睨んでくるシャルル。
身長差からか、自然に上目遣いになっている。
「おいシュリア、お前もなんか言ってやれよ……」
と、後ろをトテチテくっついてきていた筈のシュリアに目をくばせる。
「レイスちゃん、いいよぉ……もっと左」
「はいはい、わかったよ」
足をマッサージしてもらってる……
ああ気持ち良さそう……
メイラとかそういうの上手そうだな。
「チラッ」
「嫌ですよ」
「しゅん」
「擬音を口に出すな!」




