ある男とある……少女?7
「まあ必死だったからよくわかんないよぉ、仕方ないねぇ」
首を傾げて頷くシュリア。
その勢いでストレートの黒髪が流れるように落ちる。
「仕方ねえことあるか、試合始まったらどうすんだよ」
殴られた頬を擦りながら呟くように愚痴った瞬間、シュリアが俺の肩退けて突き飛ばす。
「……っぶねえなぁ!
なにするん……」
そこまで言ってやっと俺も周りを見渡すことができた。
先程まで俺が居た場所にはナイフが数本刺さっていたのだ。
「こんなとこでデートとかナメ腐ったことしてくれんじゃねぇの?」
声のした方に体を向けると、ストレートで金色の長髪を掻き上げる細マッチョな男。
「黒髪の嬢ちゃんかわいいじゃん、寄越せよ灰髪」
続いて声を出した奴は、背が低いのと碧眼の隻眼が特徴だった。
「バカ、俺ら今それどころじゃねえだろうが。
悪いねぇいつもだったらこんなことしないんだけどさぁ……君らみたいな子、ここじゃカモなんだよ。
運が悪かったと思ってくれ……」
続いて口を開いたのは、肌が黒く大柄で丸刈りの男。
大柄、とは言ったもののこの世界の住人は身長が高い。
一番小柄な隻眼の碧眼ですら、俺と同じくらいの背。
俺180はあるぞ?
冗談だろこれ。
まあ俺自体憧れてた人の影響でわざと背を曲げてるっつうのもあるがな。
「きゃー、ゆーさくん助けてー!」
その豊満な体を押し付けて俺に訴えるシュリア。
冗談じゃねえぞ、俺の出る幕ねえだろうが。
「態々俺がやる意味がねえだろうが……」
「なっ、そこはシュリアたんの好感度を上げるために颯爽と敵を叩きのめすところでしょ!」
そんなことをほざいていたせいか、待ち惚けを食らっているチンピラ3人集も堪忍袋の緒を切らさす寸前のようだった。
「て、てめ!
調子のってんじゃねえぞ!」
啖呵を切り、ナイフを振り上げて襲いかかってくる金髪ストレート。
「まぁ、俺がやる意味はねえんだが……」
大振りだが鋭く早いその刃は、俺を刺そうとその勢いを増す。
「この程度だと所詮……」
更に勢いを増した刃と余裕を崩さない俺。
肩を深く切り裂きそうになるその瞬間、俺はにやりと笑ってやった。
「レベル上げにもならな……いってえええええ!!」
いやね、強キャラ感をだそうとね……
隣に目を配せれば、かっこつけた俺に見とれていたシュリアたんがジト目というか白目を剥いている。
いちゃい。
「もう仕方ないなぁゆーさくんはぁ、でもこういうのあれだね。
ナイチンゲール症候群だね!」
「病患者かよ俺は……
……応急処置を必要とするタイプの病患者だった……」
切り裂かれて血が滝のように流れている肩を一瞥してため息をつく。
いたい。
「傷、治してあげるから見せてよ」
そういってその腕を捲り上げるシュリア。
【ヤドリギ】で洗ってもらった筈だが、相変わらず奴隷が着るような薄汚さのある茶色い服の袖が上がると、美しく白い柔肌が姿を表す。
「ああ、悪いなぁ。
でもこういうのを二度手間って言うんじゃないのか?」
彼女の手が俺の患部に触れられるその瞬間。
「いちゃこらしてられる状況じゃねえってのが見てわかんねえのか!」
怒鳴り上げながら器用に指先でナイフを一回転させた後、軸足を踏み込んでなにも持っていない方の手を思い切り後ろに引きシュリアのがら空きになった胴体に向かって刺突を走らせる金髪ストレート。
「邪魔だって」
視界の端にいれることもせずに顎に向かって蹴りを繰り出して一瞬で昏倒。
適当だし不恰好で雑な蹴りだったが、洗練されたものというのはやはり美しい。
それだけで彼女の技術の高さが伺える。
「なっ!
嘘だろ、転帰者を一瞬で……」
転帰者……そいえばあったなそんな設定。
「あ、あぁ……でも後には引けないさ」
「……わかってるよ」
大柄な男と隻眼の碧眼は自分達を鼓舞して、各々ナイフを持って斬り掛かってきた。
シュリアは俺の前に立ってそれを迎え撃つ。
大柄な男がナイフを持っていない方の手でコンパクトなジャブを仕掛ける。
それに反応して避けたシュリアは、男の体に戻ろうとする拳をとてつもない早さで捕らえて右足をかける。
そのまま鉄棒でもするかのようにぐるりと回って関節を決めた。
「ぐっ!」
150センチ程度の小柄な大木とはいえ、全体重がかかってしまっている。
大柄な男も仰向けにひっくり返されてしまうような勢いだ。
「やらせるわけねえだろうが!」
シュリアの背後に回って隙を狙い飛び出して来たのは隻眼系碧眼。
右手に握ったナイフを叩きつけるように刺そうと振り下げる、恐らく痛みで機動力を奪う算段だろう。
でも……
「必要ねえとは思うけど折角背中向けてくれてんだからなぁ……」
俺のことが眼中にない様子、むかつく。
折角なので股間を思い切り蹴りあげてやる。
何で俺はすぐ余計なことばっか書くのかなぁ()
話が進まないっちゅうねんて




