ある男と甲冑少女4
「冗談言ってるのはお前だよ」
「っ!」
対抗するように声色を変えて言ってみると、甲冑少女は俺の真面目な声なんて初めて聞いたからか。
怒りよりも困惑よりも驚愕が勝っているようだった。
「今、救世主として召喚された12人は全員曲がりなりにもあいつに従ってる。
それって普通にすげえことだと思わねえか?
悔しいけどな……
転生とかしたせいで外見の割に年食ってるから仕方ねえのかは分からんけどもさ……
さっきから聞いてりゃ心配しすぎだよ、お前は王女様のおかあちゃんか?
友達なんだろ、俺だったらそんなお節介なダチは嫌だぞ……
というか第一……」
俺はそこで一旦区切って彼女の顔色を伺う
甲冑少女はそんなことを捲し立てた俺を意外に思ってでもいるのだろうか?
俺が話始めたくらいからポカンとしてしまっている。
しかし、話を区切ったことによって現実に戻ってきたようだ。
「第一……なんですか?」
「俺に煽られて血管浮かしてるようなクソガキが小難しいこと考えてんじゃねーよバーカ。
お姫様の方がよっぽど精神年齢上だわな」
そう、俺が真面目に話を聞いてやるだけで終わるわけがない。
こいつに受けた仕打ちは忘れないのだ。
うわ……かっこいい、惚れそう。
「なっ!」
俺の小バカにしたような暴言を受けて、先刻とは違う意味で顔を赤くする甲冑少女。
やべ、またぎゃーぎゃー言われる……ちゃっちゃと逃げよ。
しかし……
「ぷっ……あははは」
彼女の反応は俺の予想とは大きく異なるものであった。
「な、なんだよ……いきなり」
「ユウサさんってなんだかんだエルザ様への好感度高かったんですね、意外です。
まだ勝手に呼び出したこと怒ってるのかと思った」
……なんかこいつが笑ったところ初めて見たような気がするんだけど。
どんだけヘイト溜めてたんだ俺は……
それといきなりの名前呼びは非リア殺しだから今後一切やるんじゃない……
まあ名字と名前間違えてるだけだろうけど……
「もう俺は金さえ貰えるんだったらどうでもよくなったからな、明日は死んでも勝つから見とけよ。
んでもってさっさとこんなとっからはおさらばだ」
「はい!楽しみにしてますよ」
……やっぱりどうも調子が狂う
徐に時計を見れば、既に酉の刻も終わりを告げようとしていた。
「結構な時間引き留めちゃってすみません、代わりに明日は多少寝坊してきても許してあげますよ」
今日のだって俺のせいじゃないんだが、そんなことを思いながら俺はずっと気になっていたことを尋ねる。
「……なんでこんなこと俺なんかに相談したの?」
「どうして……ですかね?
なんか話しちゃったんですよね、結果後悔はしてないからいいんですけどね」
上機嫌に笑う甲冑少女は、聴覚に支障をきたすレベルのでかいミミクソが取れたときにような清々しさに満ちていた。
……この例えのせいで台無しとか知らないです。




