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Endless summer  作者: 育深
闘技場編
26/58

ある男と甲冑少女

なんて考えていると、目の前に甲冑のシルエットが立ちはだかった。


「失礼します、序列1位様。

折り入って頼まなければいけないことが1つ」


この人俺をぶっ飛ばしたっつう甲冑少女か。


ちょっと睨みすぎだよ君。


身長は150あるかないかくらいの小柄な体型。

小動物みたいに愛くるしい大きな瞳と小さくて通った鼻、顔面偏差値は相当高いが、その愛くるしいはずの瞳で俺の双眸を射抜くように見てくるので、如何にもこうにもなぁ……


態々、頼まなければいけないなんて言うところを見ると敵意剥き出しだし。

それを隠す気もない、と来たもんだ。


「あぁ、はい?なんでしょ?」


正直これ以上ことを荒だてたくないのが本音。

割りかし遜った態度を意識する。


シュリアあたりに聞かれれば、どの口が言うかと罵られるかも知れんがな。


「王国民は序列1位様の姿を今まで見て居なかった為に貴方に対して不信感を募らせています。

故に、そのイメージを払拭する必要があります」


……不信感募らせられてんのは王族だろうが。

ガキでも分かるぞそんなこと。


「この条件を呑んでくださるのであれば、貴方は拘置所から出てもらっても構いません。

ある程度王城外で行動することも許可致します。

少なくない謝礼も用意したいと思っています」


こいつ……条件呑まなきゃ拘置所にずっと入れとくつもりなのかよ……シャレになんねえぞ。

王城外での行動をある程度認める、なんて高圧的な態度も気に食わねえ……


少し苛立ちを露わにすると、彼女は続けてこう言い放つ。


「人生4回分くらいは遊んで暮らせるくらいの」


よし乗った。


だがそれを悟られてはいけない……まだまだ金額を釣り上げなければ。


「はぁ……さいですか、でその条件ってのは?」


刹那、彼女が別方向に一瞬だけ目を向けた。


視線の先にはお姫様。

成る程……お姫様が俺に言うのが怖いから代理でこいつが、ってことか。


今気付いたが、俺と甲冑少女が話し始めたことに他の人達は興味津々っぽいな。


さっきまで結構煩かった話し声も、今では全く聞こえてこない。


「闘技場で、ある程度の成績を残してもらいます」


え?


「えっ」



……さっきシュリアの所為でチビったとこまだ乾いてねえなぁ。


って違う。

ついつい現実逃避に走ってしまった。

まあ無理だろ。

死んでまうわ。


「俺が強いとでもお思いで?」


そう控えめに聞けば、彼女は人差し指を俺に向け、毅然とした態度で述べる。


「この前、闘技場で貴方以外の11人の救世主様の力を確かめさせてもらいました。

それは見事なものでしたよ。

天を穿ち、大地を割り、音を超え、森羅万象を操る。

とても人間とは思えなかった。


その中でさえ序列1位に立った貴方には、何か隠している力がある。

彼ら彼女らを超える圧倒的なまでの。


だから貴方にそれがないとは思えない。

本当は隠しているのではないですか?」


そんなことはない。

隠す力がどこにもない。

これは事実なのである。

故に俺は戸惑いながらも当たり障りのない返事をしようとする。


「いや、力を失っちゃった……のかな?あはは」


そんな煮え切らない様子の俺を見て何を思ったのか、彼女はため息を一つ零すと、諭す様な、感情を吐露した様な口調で言う。


「この金額を貴方に渡すかどうかで、大臣や王様達の間でも相当揉めていた様なんです。

渡したらロクなことにならない、なんて意見もありました。

しかし、私たちは国民の不安を少しでも和らげなければいけない。


貴方に世界を救うのに協力しろ、なんてことはもう言いません。


ですがどうか、この決断に至るまでの苦悩、王女様含めた国のトップとしての意思は汲み取ってください。

烏滸がましいなんてことは分かっています。

それでも、国民に果たさなければならない責務がある。

召喚した王族には責任と義務がのしかかる。


所詮護衛の私の口から言えることなんてほとんどありません。


ですが、これは私の個人的な頼みでもあるんです。

どうか、いま一度だけでいいです。

私達に力を貸して下さい」


途中から機械仕掛けの様だった口調は感情的なものへと変貌を遂げる。

それに加えて、最後には頭まで下げてきた。


周りの人間は感動と尊敬の念の篭る瞳で彼女に視線を送っていた。


はぁ……


「あんた、名前は?」


いきなり関係ないことを聞かれた為か、少し意表を突かれた様子の彼女は戸惑い気味に答える。


「あ、えっと、シャルルですけど」


はぁぁぁ……

仕方ねえですねぇ。


「出血大サービスだよお嬢ちゃん」


と俺が言い放つと、お姫様が立ち上がってシャルルに抱きつこうとするわ、猿は何故か泣きだすわ、シュリアは寝るわで大惨事だった。


数秒遅れて俺がシャルルにだけ聞こえる様な声で言う。


「……あんたの計算高さに免じて、な。

しかしよくもまぁこんな断りずらい状況に持ち込んだもんだよ……

別に断ってもよかったんだぜ?

一生感謝しとけよ?」


彼女は俺の小声にぎくっと肩を震わせた後、バレてたんですか、と言わんばかりに目を泳がせた。



さて、俺が弱いのは事実なんだけどカッコつけて適当なこと言っちゃったんだが……








誰か助けて

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