ある男とある……少女?5
「あ、そういえば今日、私たちの中のサルって人が闘技場の人に喧嘩売っちゃってさ、近いうちに出ることになったよ」
俺が食べ終わった途端。思い出したように言う彼女。
「へぇ、初対面で喧嘩売るとか本格的に気狂いだな」
「君だけは言っちゃいけない台詞だと思うよ私は……」
だまらっしゃい。
「つか今日って闘技場で能力を見せ合うんだったけか?お前さんって実際どんくらい強いの?」
彼女は少し口元に手を持ってきて、考えるような仕草を見せた後に口を開く。
「まあ400年近く前の話なんだけど、一応世界最強だったよぉ?
めっちゃでっかい龍ばっかいる巣を数分で壊滅させるくらいには魔法が得意かなぁ……
剣術も結構頑張ったからここにいる兵士を制圧するくらいなら造作も無いんじゃない?
とゆーか多分素手でいけると思う。
長年の引きこもり生活の所為で若干鈍ってるかもだけどね」
お恥ずかしながら、とばかりに頬を掻く彼女。
思った以上に規格外だった……
引き攣った笑いを顔に浮かべながら質問を重ねる。
「他の人はどうだった?」
彼女は小難しい顔をしながら前髪を少し引っ張って、くるくると回す。
……その前髪、お前の頭のネジなのか?
「なんかみんなあんまり本気出さないみたいでさぁ、さっき言ったサルって人は大人気なかったな。
素手で地割れ起こして怒られてたし……
そん中にはどうも私が見たことないような術使う人居てさぁ、まぁ住んでる世界が違うならザラなんだろうけどね」
と思い出すように語ると、思い出したように突然唇に人差し指を当てて首を傾け片目を瞬かせた。
「ちなみに私のぶゆーでんもゆーさ君にしか言ってないからね?」
……違う意味で無理すんなよ。
顔が赤いんだよ、最早見てて暑そうだよ。
こっちまで恥ずかしくなってくるわ……
「……真面目な方の意味でも無理しないで欲しいけど、こういう無理もやめたほうが身の為なんじゃねえか?
そろそろ熱で溶けるぞお前さん……」
「う、うっさいなぁ!よーえんな美女を演出してるの!!」
羞恥に耐えかねたのか、プリプリと怒って文句を言ってくる。
「演出って言っちゃダメなやつだと思うけど?」
それも軽く流すと、彼女は拗ねてしまったようで。
「もう帰る!また明日!」
そう言い残し、怪しく月光に照る黒髪を揺らしながら足早に牢を去ってしまった。
……また明日って、律儀か。
もう長さがぐちゃぐちゃだよ……
まあいっか()




