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ある……少女とある男3
今にも死にそうな彼は、小声で呟いた。
「……飯」
恒例行事だ。
ちゃんとやらなきゃ。
「食べちゃっ」
「は?」
怒気を帯びた声で言われてしまった。
少々からかいすぎたようだ……
渋々夕食を差し出す。
ガツガツという擬音が聞こえてきそうな食べっぷりを見せる彼。
流石に丸一日ほど飯抜きは効いたのか、数分で食べ終わってしまった。
直後、ふぅと一息ついて仕切り直しとばかりに真面目な顔をしてこう尋ねてくる。
「なんだにやにやと気持ち悪い、なんかあったのか?」
そう怪訝そうな顔をして聞いてくる彼。
そんなに顔に出てたのか?
まだ私は昼の余韻に浸っていた。
また会いたいなぁ……セーラ。
「いやぁそれは乙女の秘密というやつだよぉ」
別に誤魔化すようなことでもないし、はぐらかしたことに深い意味はない。
「ふーん」
彼もそれを感じ取ったのかそれ以上問い詰めてくるようなことはせずに、牢の中には金属製の食器がコツンコツンと響き渡っていた。
なんか間違えてすっごい短くなっちゃった……
まあいいや()