ある……少女?と城下町3
今、私達は既に街の中に入っている。
シャルルっていう騎手の人も一緒に来ている上、他にも何名の騎士が護衛として居るので私達はそれなりの大所帯になった。
騎士はキャリッジの外で馬に乗ってました。
気付きませんでした。
そのせいか、街中を歩いていると目立つようで、歩を進めれば好奇の目が絶え間なく降り注ぐ。
それだけでなく歓声を上げられることもある。
「救世主様!!救世主様がお見えになってる!」
「エルザ姫殿下も居るぞ!?」
……この会話街の門潜ってから7回は聞いた。
「賑わってますね!」
スルトくんがお姫様に話しかける。
「そうですね。
ここは王城に1番近い都市ですから、その恩恵を受けられています。
……でもここから遠い農村や地方都市はそう上手くいっていません。
スラムが多数あったり、人身売買の横行や、汚職、賄賂などが絶えないんです。
謎の化け物にへの対応に国力を大幅に削がれている所為で国はそこまで手を回せていない状況が続いています」
目を伏せて彼女がそう呟くと、スルトくんがそれを見かねて笑顔で言い切る。
「安心してください!僕達がきっとなんとかしてみせます!一国のお姫様がそんな辛そうな顔してちゃダメですよ!」
……あんな臭い台詞をよくもまぁ人前で吐けるよほんと。
「あ、ありがとうございます。
でもスルト様……」
「えっ、なに?」
「恥ずかしいです……」
耳まで赤くしながら彼女が視線を落とすと、彼は私達がとても生暖かい視線で見守っていることに気付き、慌てまくる。
ただでさえ暑さ感じるのになのにこいつら凄い暑苦しい……
だがまぁ考えても見て欲しい。
私はつい一昨日までヒキニートやってたぼっちだ。
こんなん見せられたらこう思うに決まっている。
さあみなさんご一緒に!
りゃじゅぅヴぁくはっしろ
……誰もやってくれる人は居なかった。
みんな暖かい目で見守ってるだけ……
こいつら非童貞と非処女しかおらんのか。
みんな私の敵だ。
……失礼、ついつい処女膜に思考を乗っ取られてしまった。
sideシュリアの処女膜とか笑うに笑えない。
「じゃ、じゃあ行きましょうか!」
羞恥から立ち直った様子のスルトくんがそう仕切り直すと、一同はまた歩き出す。
歩きながらお姫様はこの街や世界の諸々の説明を始めた。
「この世界での通貨の単位ですが、基本的には硬貨が使われています。
種類は小銅貨、銅貨、大銅貨、銀貨、金貨、白金貨、魔法銀貨があります。
小銅貨10枚で銅貨1枚分、
銅貨10枚で大銅貨1枚分、
大銅貨10枚で銀貨1枚分、
銀貨10枚で金貨1枚分、
金貨10枚で白金貨1枚分、
白金貨10枚で魔法銀貨1枚分、
の価値があり、銅貨5枚で黒パン一個買えるくらいですね。
地域によって値段は変わりますが……
救世主様方の給金は月に魔法銀貨1枚ですね。
お望みとあらば受け取り時の両替も対応致します」
へぇ……
私は聞き流しながら後ろを付いて歩いている。
そんな聞いとかなくても意外となんとかなるものなのだ。
見知らぬ土地は歩いているだけで新鮮で楽しいもの。
彼女は歩きながら私達に街の説明をし続けるが、私はそれを聞いたり聞かなかったりしながらブラブラと適当について回る。
するとそんな私に天罰が下ったのか、とんでもない緊急事態が発生してしまう。
やべぇ……あいつらどこ行った。