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うす青い強弱の交差点  作者: 結城 義仁
9/22

09 無謀な大学進学への戦いが始まった


『 大学進学は自分との戦いだ。戦いは勝つしかない 』


以前「田上先輩」が大学進学をすると聞いた時から俺も東京の大学に進学

したいとひそかに思っていた。


しかし、現実を考えると「バカ言ってるんじゃないよ」と返答が返ってく

る。


現実を見ると、費用は、学力は、どうする?。


最初に進学の相談を母にすると。即座に「 冗談でしょう義仁。勉強もせん

と何を言うとんや 」


「 我が家は始めて間もない小さな旅館で、まだまだ稼ぎも少ない」と即座

に叩きのめされた。


賛成どころか、学力も費用も全て否定されてしまった。

俺は笑って「 わかった、冗談じゃ… 」と言うしか出来なかった。


こうなれば、やる気を見せるしか方策がない。

この時、無謀な戦いが始まった。


昼から夜中の2時まで、風呂と飯以外は勉強。朝は普通に起きて学校へ。


次の日から学校から帰った後はテレビも見ず。夜中まで勉強の真似事が始

まった。


苦しい最初の10日間が過ぎた日。

風呂に入り晩飯を食べていたとき。


「 義仁、本気なの 」と母が。「 まーな 」と、そっぽなく返事をした。


すると母が「 しばらく様子を見て、とうちゃんに相談してみるから…… 」


こうなれば、やってしまうしかない。とりあえず勉強材料を集めてみようと

思い。普通高校の先輩から参考書を借りて、とにかく読んでみた。


工業高校なので数学や物理は少し理解できるが、英語はレベルが低くて全

く駄目だ。可能なのは理工系しかない。進む方向は決まった。


担任は機械の実習担当で( 通称:クマさん )気楽に話せる、いわば鉄工

所の良いおっさんだ。


2年生も終わりに近づき、日に日に寒さが増してきた頃。


先生「 お願いに来ました」クマさんは困った顔で「 なんか悪いことで

もしたんか?」と。


いやー違います。お願いに来ました。

「 大学へ行きたいんで授業中は入試の勉強を。午後の授業は受けずに家

に帰って勉強をしたい 」数秒が……。


「 結城、この事は公に認めることは出来ない。先生は聞いてない事にす

る 」いいな。「 ただし、学校の定期試験で欠点は出さんようにしてくれ 」


トラさんのおかげで午前中の授業が終わりしだい、帰っても何の問題も起

きなかった。


その後、参考書や問題集を買い込み授業中に入試勉強をしても、午後から

早退しても注意される事はなかった。


きっとクマさんが根回ししてくれたお陰だ。苦労人のクマさんに感謝。


しかし、毎日続けるのは想像以上に苦しい。まだまだ覚悟がたりないな。


そう思いながら数日が、たちまち過ぎ自分の不安と根性のなさに腹がたち。

もう諦めようかと何度も落ち込んだ。



          くそー負けへんぞ!


1ヶ月以上が過ぎた頃、母が親父と話をしたようで「近くに狭い部屋を借り

たから、明日からそっちに行って勉強しなさい」と、ぽつんと一言。


「 ボロッチイ6畳一間とトイレそれに小さい流し台があるだけだよ 」


    ~ 嬉しかった。頑張ろうと勇気がわいてきた。 ~




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