06 広域の不良グループ(田神会)誕生と終結
ある日、同じ電車通学している「青木」が、「藤原」からの連絡
を伝えに家に来た。
次の土曜日の午後2時に、以前から話のあった「田神会」の結成会
を、市の図書館の2階でするので、来るようにとの伝言だった。
何で図書館なのか、不思議には思ったが、とりあえず行ってみると
図書館の中には、知り合い以外、誰一人いない?。
仲間に話を聞いてみると、来たときには10人程度人がいたが、メン
バーが五~六名集まった時。 雰囲気でわかるのか、誰も居なくなった
そうだ。
青木と二人で、1時過ぎに着くと田上先輩と藤原が既に座っていた。
「ご苦労さん、今日はよろしく」「こっちに座ってくれ…」と藤原が。
俺は事前に「藤原」から聞いて、参加メンバーの名前や役員の構成
は周知していた。
総勢13名が2時前には集合した。藤原が「これから、会を始め
ます。」
「勝手ながら、私が司会進行の約を勤めます。宜しいでしょうか」
全員無言で拍手。
「最初に会の名前を「田神会」と致しますが、宜しいでしょうか?」
全員無言で拍手。
「田神会の目的は、会員同士の抗争を禁じ、困ったことがあれば、
助け合う」「これでいかがでしょう」全員無言で拍手。
「次に役員を発表します。会長は「田上」、副会長は「山川」、幹事
は、各学校の責任者の古畑(工業高校)白石(川東高校)鶴牧(川
西高校)」「これでいかがでしょう」「異議なし」全員無言で拍手。
「他にご意見は、ありませんか…」「ないようでしたら、書名捺
印(血判)お願いします。
全員書名捺印(血判)が終わると、「田上会長、ご挨拶お願いいた
します」と司会者が。
「皆さん、本日は、ご苦労様です……」
「田神会」を結成し、総勢13名で、これまでのような仲間同士の
争いを無くす事が出来れば、と思い立ち上げました。これからも
ご協力よろしくお願いします
「尚、中心的役割をしてくれた、藤原君ありがとう」拍手と握手で
結成式は終了。
この後、会員同士の争いは全く起きなかった。
『 暴行事件等で仲間が次々と退学に 』
「田神会」は、自然消滅に。
三年生も終盤にかかってきた頃、ほんの短期間の間に「田神会」の
仲間に問題が発生。
「おい、副会長の山川さんが、市外の高校と揉め、テェーンで相手
を殴って大怪我をさせたそうだ」 この事件は、学校にばれてしまい、
即座に退学に。
鶴牧(川西高校)先輩も、校内で喧嘩になり、これまでの罪状もあ
って退学に。
同じく川東高校の1年生の2人が、校内で金銭要求の恐喝を数回して
いたとして、退学に。
数ヵ月後にも、市外の高校へ通っていた、藤原と青山が共謀して、
市外の学校を押さえるため、目だった連中を次々に呼び出し暴行を
加え数人が怪我をした事が親にバレた、当然のように学校に通報さ
れ、2人とも即刻、退学に。
その後、仲間達の人生が、このらの事件を
きっかけで、徐々に悪い方向に動き出した。
副会長の山川先輩は、貸し金業に。
青山は再度受験に挑戦したが、不合格で社会人に。
藤原は、きっぱり学生と縁を切って、鉄工所に就職。その後は、藤原
らしく私達、学生の前には全く姿は見せなかった。
川東高校の1年生の一人はヤクザに、もう一人は、東京でテキヤにな
ったと噂話で聞いた。
この時代の多くの先輩、同級生、後輩達は、
周りの環境が悪かったのか、
ちょっとでも油断すると悪い道に
引き込まれたり、引き込まれそうになったり、
苦しい激動の時代だったのかもしてませんな。
『 終末は簡単に訪れる 』
多くの者達の消息も途絶えてしまった。