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うす青い強弱の交差点  作者: 結城 義仁
3/22

03 青春とは、友との出会いと苦い経験の出発点

  『 この時の「藤原」との出会いが、これからの人生に

    強い影響を与えるとは、この時には思いもしなかった。』


それは2年生になって、青山と街中をブラブラしてた日。

いい気候だったので、いつもより遠くまで来てしまった。


あまり人がいない、車も通らない商店街の裏道。


「おい、おまえら、ちょっとまてや……」振り向くと、いかにも不良っぽ

い高校生が5~6人広場にたむろしていた。


自転車を止めた瞬間、殴りかかってきた。最初の、いっぱつめは、なんと

かよけた。 2はつめは、不覚にもほっぺたをかすめた。


修行が足りないのか、空手の練習のようには動けない。

恥ずかしい。もっともっと、精神力を鍛えなければ……。


予想もしなかった攻撃に、びびった自分が、なさけなかった。

この時は、平気な顔はしていたつもりだが、全く殴り返せない。


「今まで初めてじゃ、わしのパンチを避けたのは」「おまえ、やるじゃな

いか、ちょっと、わしの家にこいや」と、話し掛けてきた。


一瞬、頭の中が空白になったような。付いていって、もっと変な野郎達が。

悪い想像をしながらついて行くと。


「ここが、わしの家じゃ」と、借家らしき一室に。、見渡すと、他にだれ

もいる様子がない、一人住まいの殺風景な部屋だ。


俺の予想に反して「おい、ジュースでも買うてこいや」と後輩に命令し買

いに生かせた。


何となく、こいつは思ったよりも、まともな奴だなと安堵した。


奴の名前は、藤原 雄二。


出合った時、面構えを見て先輩だと思った。

予想は外れて藤原は俺と同年齢で、一度受験に失敗し現在は1年生だ。


「去年は失敗したので、今年はレベルの低い市外の高校を受験したんだ」。

藤原は寂しそうに真実を隠さず打ち明けてくれた。


スマフォを使う現代人には理解できないだろう。

この時代は連絡を取るにも、一般の家には、まだまだ電話は普及していな

かった。


何度も青山と一緒に藤原の家を訪ねても、殆ど留守がちで会う事は難しか

った。


しかし、街中をチャリンコでぶらぶらしていると、何となく知り合いにな

った悪ガキどもに高い確率で出くわした。


やつらの情報網で「藤原」の居場所は、なんとか突き止められた。


その後、付き合いも長くなってわかった。藤原の知り合いは、思った像以上

に多く、その者達が何故か藤原の要求に良く従う。


中学時代は相当むちゃをやっていたなと、すぐに理解できた。


藤原が外で同級生や下級生に、「おい、久しぶり、何してるんや?」と

声をかけると、何故か黙って小遣い銭を差し出した。「これしか持っていま

せん」と言って一目散に逃げ出した……。


こんな場面には再々出くわしたので、その後は驚かなくなった。


その後、藤原が退学になるまで親しく付き合うことになった。



     その当時は、こんな出来事も当たり前に

             感じていた自分に、今は驚いている。




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