表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冗談じゃねぇーよッッ!!  作者: 宮野明紀
5/5

嵐の様な女の子。

この学校の生徒として通い

ドキドキしながら校門をくぐって1時間…。


変な理事長に無茶振な

暗殺計画を投げかけられて3時間…。


化け猫として自己紹介し、色んな魔族達の女の子に囲まれ、弄られて4時間…。



謎の魔界授業を受け

口を大きく開け唖然として5時間…。



意味の分からない魔界単語がズラ〜っと並んでいる黒板の文字に吐き気がして6時間…。



更に!謎だらけの魔界の歴史についての授業を受け、衝撃を感じて7時間…。



そして…腹ごしらえをしていた隙に

何故か正体がバレて8時間が経った。



私、鈴島日向は…。


入学して数時間…。

早くも危機的状況に遭遇している。




…どうしょう…身体と顔が動かない…。



「は…ははっ…!!

も、もぉ〜!何言ってるんだよッ!!

私は正真正銘の化け猫だって!!」


「あらっ?嘘は感心しませんわぁ。

この私が見抜けない筈がないですもの…。


…貴方は、魔物じゃない…。」



貴方は、人間でしょ??



「…ッ!!」



やばいやばいッ!!どうしょうッ!?!

バレるの早過ぎだってッ!!!


透視ッ?!透視能力ですかぁ?!?

もしかして皆出来るのッ?!?!


ってかマジどうしょうッ?!


もしかしてこのまま四天王とか言う謎の最強軍団の元に引き摺られ、身包みを剥がされ、更に暗殺計画の事もバレてしまうのだとしたらッ!……私は……。



イヤだぁあああッッッ!!!

まだ死にたくないぃいいいいッ!

まだ16年間しか生きてないよぉお〜!?



いや、落ち着け日向よ…。


こういう時こそ冷静になれッ!!

ほらぁ、おばあちゃんも言ってただろっ??

今こそ冷静に対応すべき時なのだッ!!鈴島日向ッッ!


でも…何を言い訳に…?



「フフッ。

そんなに焦らなくても大丈夫ですわ。

私は誰にも言う気は無いですし…。

見ただけで見破れるのは、私だけですから。」



「うへぇッ?!マジでッ!?!

秘密にしてくれるのッ?!?」



大パニックで1人オロオロしている日向を座らせて優しい笑みを浮かべた。



「まぁ。人間が魔物の振りをするのは

この学校では割と普通にいますしね?」


「へぇッ?!そうなのか?

いやぁ〜本当よかったぁ〜」



何だか可笑しな子だけど…

話のわかる子で良かったぁッ!!



「所で貴方…見かけになった事がありませんけど…。」



「あっ、今日編入して来た鈴島日向です。」


「あっ!貴方が噂の転入生ですわね?

話は伺っておりますわ。


私は霧島愛夢。

この学校の生徒会を務めております。

因みに貴方と同じく一年ですわ。」



「そうかッ!!愛夢かぁ〜!

うんッ!よろしくなっ!!

なぁ!!本当に秘密にしてくれんのかッ?」



「ッ…えっ?あ、えぇ…。」



「よっしゃぁあぁあッッ!!!!

神は私を見放さなかった…ッッ!!

ありがとう神よぉッ!!私は生きますッ!!


いやぁ〜マジありがとなぁ!愛夢ッ!!

この恩はタダでは返さないからなっ!!」



安心して、思わず笑みを浮かべた。


それを見ていた少女が、目をキラキラと輝かせ、頬を赤く染めた。



そんな愛夢の事など知らず日向は

お椀を持ち立ち上がる。



「いやぁ〜マジ助かるわぁー!

んじゃあッ!おかわりしてくっからッ!

また後でなッ!!」


「あっ、お待ち下さい。」


「グッヘエッ?!」


走る勢いで歩き出すも

背後から首元を引っ張られ後ろに戻された。

そしてそのまま首元に抱き着かれた。



「んちょッ…?!

何だッ?!どうしたっ?!」



「ねぇ…日向さん。

私のパートナーになりません?」


「はっ??パートナー??」



「大丈夫…。

私は優しいから…酷い扱いはしませんよ?」



「はいぃいいいいッ?!?

へっ?ちょっ?!やめっ!愛夢ッ?!」



グイッと顔を近付け、日向に顔を近付け

ゆっくりじわじわと唇を近付けた。



ちょおぉおおおお?!?!?

何故に女の子とキスせにゃならんのッ?!


やっぱこの子可笑しいよッ!?

うわぁやられるー!もういいッ!!!

分かったッ!!

秘密を守れるなら女子とでもキスしてやろうじゃないかッ!!!



日向は潔く覚悟して目を閉じた。

だが…思い浮かべていた感触は

いつまで経っても来なかった。


「あれ?」


気になって顔を上げ目を開いてみると

そこには可愛い顔は無くて…

あるのは誰か分からない人の背中だった。



「お〜!危なかったッスね〜?!

愛夢は、男は嫌いだけど

女の子には目が無いから気をつけないとなぁ〜?

喰われちゃうッスよ?」



二カッ!っと太陽の様な笑みを浮かべる

いかにも爽やか好青年。って感じの、

茶髪に黄金ね目をした…これまた美形な少年がいた。



うわぁ〜犬耳って…まさか狼男?


そんなベタな…。



「あっ…ありがとうございます…。」



「いやッ!構わねぇーッスよ!

困った時はお互い様ッス!!」



…っと言った爽やか少年は、実に爽やかに笑いかけ私の頭を撫でた。


そんな少年の背後に恐ろしい影が…ッ



「うふふっ…?あらぁ…。

私を投げ飛ばしたのは貴方でしたの?

……駄目犬。」



「へ…へっ?!あ…愛夢様ッ…?!」



爽やか少年は、額に汗をかいて苦笑いを浮かべて少し後ろに退いた。



「何故引き剥がしてるんですかッ!?

後少しで契約出来ましたのにッ!!!」



「えぇッ?!あ、いや、そのッ!!

その子嫌がってたし

助けて欲しそうだったし…

つい身体が動いたって言うかぁ…。」



「…ッチ…。

…勝手な事してんじゃないわよ。駄目犬。」




ちょッ?!愛夢さんッ?!

キャラがすげぇ崩壊しちゃってるんだけどッ?!



さっきまでの天使の様な笑みは何処へ??




愛夢は相当不機嫌そうな顔で少年を睨み付け、まるでブリザードの様に冷たい声で囁いている。


日向はそんな愛夢の変わり様が恐ろしくて何も言葉に出来なかった。




「大体ね?狼なんて犬も同然の生き物が…

何故この私よりも位が上ですのよッ!?!」



「えぇ〜?!そんなの知らないっスよッ!?


それより、会長が呼んでるッスよ?」



「……はぁ、分かった行きますわ。

凪…。後で覚えてなさい…。」



「えっ?!そんなぁッ?!?」



その言葉に青ざめた少年を放置し

愛夢は日向に近付いた。



「日向さん。

また今度ゆっくりお話しましょうね?」


「あっ…あぁ…。」



また天使の様な可愛らしい笑みを浮かべて両手を握る愛夢に苦笑いで返すと、愛夢は小さく頭を下げた後、早々に去って行った。




何だろう…この嵐が去った様な脱力感は…。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ