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―――The first story「告白」―――


ある日の放課後、

俺、紗倉(さくら)彼方(かなた)は学校の屋上に呼び出されていた。

そのきっかけは今日の朝、下駄箱にあった一通の手紙だった。

差出人は不明、そこには


[紗倉君へ

今日の放課後、話したいことがあります。

一人で屋上まで来てください。待ってます。]


とだけ書いてあった。

その字はとても丁寧で綺麗だった。

こ、これってもしかして………ラブレター?

と一瞬思ったが、「好きです。」などと書いていないし、

今までにラブレターなどもらったことがない。

きっと何か相談があるのだろう。

そんなことを考えながら授業を受け、ついに放課後になった。


いつも一緒に帰っている寮のルームメイトで、俺の親友の不知火(しらぬい)緋流(ひりゅう)には上手く誤魔化して先に帰ってもらった。

屋上に繋がっている階段の前まで来て気が付いた。

凄い緊張してる。

告白かもしれない。

そう思うと緊張してしまう。

こんなことじゃダメだ。

いつまで経っても俺は変われない。

あの頃の俺に戻ってしまうじゃないか。

そう自分に言い聞かせ屋上のドアを開いた。

そこには誰もいなかった。

早く着き過ぎたかな。

まだ授業が終わってから15分しか経ってない。

さっきまであった緊張は緩んでいった。

しょうがない。本でも読んで待つかな。

俺は本をカバンから出して、時間を潰すことにした……


それからどのくらい時間が経っただろう。

太陽は沈みかけ綺麗な夕日を作り上げていた。

ガチャ………

とドアの開く音がした。

ドアのところには夕月(ゆうづき)飛鳥(あすか)さんがいた。

夕月さんは俺のクラスメイト。

それと同時に俺の好きな人でもある。

またあの緊張が蘇ってきた。

夕月さんは顔を赤らめて下を向きながら近づいてくる。

腰まで伸びたポニーテールが風で揺れていた。

俺の目の前で止まった。

ふんわりとシャンプーのいい匂いがするほど近くまで来ていた。

それから少し時間が経ち、もじもじしていた夕月さんが上目遣いをしてこう言った

「………好き………なの。」


「私、不知火君のこと好きなの。」

「………」

「それで、紗倉君に色々と教えてほしくて。」

えっと、つまり、夕月さんは緋流のことが好きで、それを協力してほしいということ?

「うわぁぁぁぁぁあああああ!!」

「紗倉君!大丈夫!?」

要するに俺の恋は儚く砕け散ったのだ。

「うん、多分大丈夫だと思う………」

こんなにも呆気無く終わってしまうなんて思わなかった………

夕日が俺を嘲笑っているように見えた。

「それで、協力してくれる?」

俺の恋は終わったが、俺が好きな夕月さんはまだまだ幸せになれる。それだったら

「うん、もちろんいいよ。」

好きな人に俺の分まで幸せになってもらおう。

「ありがとう。」

夕月さんは笑みを零していた。

俺はそんな笑みを見れるだけで十分だ。

もうそんなのでいいんだ………

「本当に大丈夫?顔が暗いけど………」

そう言いながら夕月さんが心配そうに俺の顔を覗いてきた。

夕月さんの顔が俺のすぐ近くにあった。

顔がだんだんと火照ってきて、顔を背けてしまった。

「大丈夫だから気にしないで。」

俺は応援するって決めたんだからこんなことじゃダメじゃないか。

「そう。でも安心したなぁ。」

「これで相談相手ができた。」

そう言いなら、ポケットから携帯を出して

「メアド交換しよっ!メールで相談するときあるから。」

と言ってきた。俺も

「もちろんいいよ。そっちの方が便利だしね。」

と言いながらポケットから携帯を出した。

赤外線で交換をしているときふと気づいた。

周りがとても静かだった。

神が見守っているかのように。

そしてだんだんと暗くなっていく。

交換し終え、夕月さんも暗くなってきたのに気づいたらしく

「もうそろそろ帰ろっか。」

と言ってドアの方に歩き出した。

俺も頷いて歩いて行った……


男子寮と女子寮は隣同士で、登下校は途中まで一緒だ。

そして今、俺の隣には夕月さんが歩いている。

今までだったらどれだけ嬉しいことか………

帰り道は終始無言だった。

多分その理由は俺が暗い顔をして歩いていたからだろう。

男子寮と女子寮の別れるところで

「じゃあ、後でメールするね。」

と夕月さんは言って、手を振ってきた。

「うん、待ってる。」

俺はそれだけ言って手を振り返した。

そして俺は一人で男子寮へと向かった。

電灯の下で気付いた。

喪失感で頭の中がいっぱいだった。

何を失くしたのかは分からないが、心に大きな穴が開いていた。

そこには何が入っていたのだろうか。

そんなことを考えながら自分の寮に帰って行った……


食堂で夕飯を食べ、自分の部屋に帰った。

部屋に入って、すぐ俺はベットに潜り込んだ。

さっきまで抑えていた感情が喉の奥から出そう。

だが、出すわけにはいかなかった。

「おい、彼方。帰ってきたと思ったらすぐ布団に潜ったりして。何かあったのか?」

そう、この部屋には緋流がいるからだ。

「話しかけないでくれ。」

とだけ俺は言って不貞寝しようとした。

「もしかして、振られたか、すっぽかされたか?」

「………!違う………」

もう五月蝿いから無視しようと思ってたのにそんな場合じゃなかった。

このまま質問攻めにあったらバレる!

「その反応、やっぱりそうだったか。」

「だから違うって。」

「じゃあ、何してたんだ?」

ここは本当のことを半分言えばバレないだろう。

「夕月さんの相談にのってた。」

これでどうだっ!

「ついに彼方も女子の相談にのれるようになったか。成長したな。」

よっしゃあ、誤魔化せたぜ!

と思いながら、ベットの中でガッツポーズをしていた。

その時、携帯が鳴ってメールが来た。

もちろん相手は夕月さんである。


[不知火君にバレてない………よね?

もしバレたら………どうなるか解ってるよね?]


怖えええええぇぇぇぇぇ!!

あそこでバレてたら明日、みんなの顔を見ることはできなかったかも………

また携帯が鳴った。


[ゴメンね。怖かった?

でもバレてたら絶交だけどね。

で、どうなの?]


さっきよりはいいけど、夕月さんと絶交なんて嫌だ。

すぐに俺は返信した。


[べ、別にバレてなんかないよ。

ただ、バレそうになったけど………

まぁ、大丈夫だったよ。]


これじゃあ、バレたけど隠してるみたいじゃないか。

もう一回書こう。

………あっ、間違って送信してしまった。

これは誤解されてしまうかも……


それからしばらくしてメールが来た。


[だったらいいや。

心配し過ぎた………

( ´ー`)フゥー...]


どうやら誤解されずに済んだらしい。

そういえば夕月さんのルームメイトって誰なんだろう?

忘れないうちに訊いておこう。


[そういえば、夕月さんのルームメイトって誰?]


そう訊いて返事を待つ。

前から思ってたんだが、メールって待ち時間多いからあんまり好きじゃなかったんだよな。

でも今日は待っている時間も楽しかった。

そんなことを考えているとメールが来た。


[同じクラスの小鳥遊(たかなし)蒼穹(そら)さんだよ。

こうして長い時間メールしてると私と紗倉君が付き合ってるみたいだね。

あっ、風紀委員の見回り来た。

じゃあ、また明日^^]


風紀委員の見回り?

確か11時からだったよな………ってもう過ぎてる!

こっちにももうすぐ来そうだ。


[小鳥遊さんだったんだ。

こんなに長くメールしたの初めてだったから楽しかったよ。

じゃあ、また明日学校で^^]


と返信して水を飲んでから寝ようと思って、ベットから出ようとした。

そういえば、緋流やけに静かだな。

布団から顔を出すと部屋の中は真っ暗で、周りが見えにくかった。

床に足を下ろして立つと、ベチャッという音がして、足に何かがくっ付いた。

足を上げて足の裏を見た。

粘着テープだった。

それが分かったと同時に上でプチッという音が聞こえた。

そして大量のスーパーボールが降ってきた。

「痛っ!痛っ!痛っ!痛いってば!!」

こんなことをする奴なんて一人しかいない。

緋流だ。

カタンと板のぶつかる音がした。

「そっちか!」

俺は音の鳴ったキッチンへ行った……


キッチンに行くと、誰もいなかった。

ということは緋流は他の場所か。

ついでに水を飲んでおこう。

蛇口をひねり、コップに水と入れて一気飲みした。

コップを流しに置いて緋流の捜索を続けようと思った次の瞬間。

上から大量の氷水が降ってきた。

「痛いし、寒っ!」

全身に氷水がかかって、一気に体温が下がった。

このままでは風邪をひいてしまう。

「シャワー浴びてこよっと。」

ひとり呟いてタオルを取り、風呂場に向かった……


「温度は40度になってるよな。」

緋流のことだ。

温度を下げておいて、気付かなかったらまた寒い思いをするようにしていると思った。

でも、温度は40度になってる。

そこまでアイツは悪い奴じゃないらしい。

これで安心してシャワーを浴びれる。

そう思い、お湯を出す。

しかし次の瞬間、最悪の光景を見た。

温度の表示のところから何かが剥がれた。

そして、温度は50度になっていた。

それが頭の上から降ってくる。

「もう嫌だ………」

熱いなんてもんじゃなかった。

でも、もういちいちリアクションするのさえ嫌になった。

温度を40度にしてシャワーを浴びた……


風呂場を出て、「緋流のことは明日にしよう………」

と呟いて、すぐにベットで寝た……


朝、俺は目覚ましをセットして、7時には起きられるようにしている。

それから俺と緋流が一日交替で朝飯を作る。

それが、いつもの朝だ。

しかし、今朝は異変があった。

1つ目は頭が痛い。

2つ目は寒気がする。

3つ目は体が重い。

人はこれを風邪をひいたという。

緋流のせいだ。

昨日のトラップで風邪をひいてしまったんだ。

「緋流!」

と怒鳴るように呼んで、二段ベットの上を見た。

そこでは緋流が寝息を立てて、寝ていた。

寝てたって関係ない。(どうせ起こさなくちゃいけないし)布団を取った。

「おいっ、緋流起きろ!話がある。」

「うんっ………?朝っぱらからどうした?」

あいつは知らないふりをするつもりなのか?

「あのトラップのことだよ。」

「………あっ、あれか!どうだった?」

あいつ、本気で忘れてやがった。

緋流は小さい子供の様に目をキラキラさせて訊いてきた。

「どうとかじゃなくて。まずは俺に謝れよ。しかも、風邪引いちまったじゃねーかよ。」

「………ゴメン。」

今度は俯いて、暗い顔をしていた。

「でもクオリティは高かったよ。どうやって作ったの?」

と訊くと、

「待ってました。その言葉。作り方を教えようじゃないか。」

と元に戻った。

「スーパーボールが落ちてくる仕掛けは?」

と俺が訊くと、

「それは、粘着テープについてた紐に針を付けて、粘着テープを上げて、紐が緩むと、針が下にあるスーパーボールの入った風船に当たって、割れるようにして作った。」

と解説を始めた。

その後にも色々と10分以上説明された。要約すると、

「風船に繋がっている紐が風船が割れて、離れると、隣の部屋の時間が経つとボールに入っている氷水が降ってくるトラップに繋がっているんだよ。

もちろん、風呂のやつはシールだけど。」

ということらしい。

「よく、こんなのできたな。あんな短時間で。」

正直、俺にはこんな手の込んだものはできない。

緋流ってこういうのだけは得意だからな。

「( >д<)、;’.・ ィクシッ」

ヤバい。さらに風邪が悪化してきた。

「大丈夫か?」

緋流が心配そうな顔をしてきた。

「大丈夫じゃないし、そもそもこんなことになったのはお前のせいだし!」

「ゴメン、ゴメン。そんなにするつもりじゃなかったんだよ。」

「まぁいいや。今日、学校休むから先生に言っといて。」

俺は自分のベットに潜り込んだ。

しばらくすると、ドアが開く音がして、

「じゃあ、行ってくる。お大事に。」

という声が聞こえた。

「あぁ、いってらっしゃい。」

とだけ言って、眠りについた……


どうも初めまして吹雪です。

少しでも面白いと思ってもらえたなら嬉しいです。

初めて小説を書いたのでアドバイスなどをもらえたら幸いです。

あまり書くのは早くないので待たせてしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。

感想待ってます。

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