4.あるサラリーマンの選択? の結末
私の「機密」が人類の……
……私はまだ、集落にいる。
いや、帰ろうとしたのだが、帰り道に迷ってしまい帰れなかった。
というか、道であった河が蛇行し、枝分かれしていたので、どっちが空港への流れなのかが解らなくなり……ついでに乾期に突入し、枝分かれした河が干上がっもいたので……結果として私は集落に戻るしか手段は無くなってしまったのだが。
そして……私は集落にいた年頃の娘と結婚してしまった。
単純に言って……子供が出来たのだから仕方ない。
ソトリービア国の人々……というか集落中で祝福もしてくれたし。
会社の方からは「営業所長」という肩書きを貰っている。
長老からも「ワタシ達の外交折衝担当として残ってくれ」とも言われているし。
何にしても頼られるというのは良いことだ。
私は退職するまではココにいるつもりだ。
そうそう。私が此処に来るというのを会社の同僚が聞きつけ、頼まれた仕事でも成果を収めることが出来たらしい。
頼まれたのは……簡単な血液診査機械を持っていき、データを送信することだったのだが……なにか変わったデータが得られたらしい。
無線通信で同僚から……
「君の御陰で特許が取れそうだ。医療分野でも新たな進展が得られるという快挙と共にね。退職したら君にも報酬と栄誉が届けられるだろう。それまではソコにいてくれ」
……と、何処か引きつった笑顔で説得されるように言い含められたが……頼まれたって帰るものか。
ココは一年中、裸でも構わないし、可愛い嫁さんと生まれたばかりの子供もいる。
周りも皆親切だ。何より深夜残業がないというのが一番素晴らしい。
朝日と共に起き、夕日と共に眠る。素晴らしきリズムの生活。
つまりだ……私はココから元の世界に行くつもりはない。
……この事を誰かに伝えるべきなような気もするのだが。
まあ、誰でも良いさ。
その誰かが何処かで呆れているような気だけは時々感じてはいる。
それにしても……誰だっけ?
読んで頂いてありがとうございます。
「ラプラスの魔女」としては「外伝」的な作となります。
キャラは「101人の瑠璃」の中から1人使ってます。
トンデモな物質名は、元々は「アコライト・ソフィア」の杖の材質として考えていたモノです。