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3.ある理論物理学者の選択の結末

 2つの選択

 生と死の間の選択


「助かったよ。確かに君の言うとおりだ。こんな計算ミスをするなんて……」

「気にすることはない。ミスは誰にでもある。問題はミスをしたことではない。間違いを正す方法を見つけることだけだ」

「ははは。貴方にはいつも助けられる。ありがとう。手伝ってくれて。感謝する」

 私は月の研究所に勤めることにした。

 友人の元で私の理論を封印し、彼の研究を手伝い、進める道を選んだ。


 私の名は残らないだろう。栄誉は全て彼のモノだ。


 研究者としての……科学者としての私は「死んだ」。今あるのは科学を進める技術者としての私だ。


「ああ。そうそう。朗報がある」

「なんだ? 鉱石『ラプラス』の発見者が研究予算を増やしてくれたのか?」

「ははは。あの人は何時でも気前が良い。違う話だ。朗報は……学会からだ」

「なんだ? 勿体振らずに言ってくれ」

「物質属名は『ハミルトニウム』に決定した。それぞれの物質名は『クォーターニウム』、『オクタニウム』、『セドニウム』。そして『ラプラス』は鉱石名として決定された。どうだ? 朗報だろう? 君の名が物質属名として残るのだから」

「私の名が? 君の名は……付けなかったのか?」

「ははは。そんなコトをしたら虚数次元数学を構築した偉大なる数学者ハミルトンに恨まれる。もっとも? 学会の連中が考慮したのも君ではなく、数学者ハミルトンだろうけどね。悪くはないだろう? ま、偉人と同じ名だという幸運に感謝しといてくれ。君の御先祖さん達に。じゃ……」


 立ち去る友人を見送り、私は窓の外を見た。


 闇に浮かぶ地球。


 その地球に住む全ての人々が祝福してくれている。

 そんな感覚に浸っていた。


「……待ってろ。ラプラス。君の足元に……きっと辿り着いてみせる」


 友人は空間跳躍の実験理由を何にするか悩んでいた。

 空間跳躍だけでは予算が厳しいらしい。何か意義のある別の実験装置を跳躍させる理由が必要らしい。

 だが……そんなのは決まっている。

 『光と重力の到達距離の確認』

 『暗黙の了解』としていた事項を『明確なる確認事項』へと変える。


 それこそが……科学者としての私が甦る時だ。



 読んで頂いてありがとうございます。

 「ラプラスの魔女」としてのまとめの作となります。


 キャラは「101人の瑠璃」の中から1人使ってます。

 トンデモな物質名は、元々は「アコライト・ソフィア」の杖の材質として考えていたモノです。

 さらにトンデモな性質についてはミクシィの中で書いている小説で設定したモノです。

 全体としてはミクシィで公開している「硬度10」シリーズに近くなってしまいました。


 なお、「ハミルトン」は実在する数学者、「ハミルトニアン」は数学上、物理学上の用語として実在します。

 詳しくは……「四元数」で検索してみて下さい。



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