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協力的で有難いですなあ

数ヶ月経った。特待生の逆ハーレムはぴったりくっつく者と、離れる者で二極化し始めた。離れる者はそもそもモブとして扱っていたのか、特待生は追いかける様子を見せない。


「逆に離れてほしくない人には顕著だね、婚約者とのデートがあると聞くと回避させようとしてくる」

「それでは離れたくとも離れられなくて困っている者がいるのでは?」

「そこを調整するのは計画がもう一段階進んだ後になっちゃうかな。申し訳ないけど我慢してもらうしかない。根回しするから許してちょーよ!」

 

レティシア嬢とその婚約者には「いきなり離れたら怪しまれると思うから徐々にフェードアウトするように」と伝えた。三日に一回、二日に一回と休みを増やして完全に消え去る計画だ。


その際に「逆ハーレムから逃げたいのに逃げられない人がいたらセインに連絡をするように伝えて」というミッションも与えてある。セインに連絡してきたら、それを元に「おたくの息子さん、王子のパワハラに困ってるみたいよ」と各家に伝えるのだ。


「少なくとも、あの子達の地位が脅かされる可能性は最小限に留められる。特待生と一線超えなければね」

「生々しいな…」

「超えちゃったら知りましぇーん。あとは計画の進み具合によるね」


セインが目を細めて静かに尋ねた。


「ステラ、本当に計画は上手くいくのか?」


我が婚約者セインの言葉に私は肩をすくめた。


「一番良い結果が出せる案はむりやり狙わないよ。第二、第三の案ならば確実にいけるから、余裕があればプランBにシフトするってだけだね」

「ステラが言うのであれば信じよう」


セインのこういうとこ大好きだわ。まいらぶ…。


第二、第三の案でも私の目的は果たされるからいいんだけどね…お金は関係ないが。


・・・


そんな話をしてから数日後だった。王子がクレハ嬢に声をかけたのは。私とセインはたまたま現場を目撃したので、隠れて様子を見る。


「クレハ、その、彼女を除け者にするのは止めてくれないか。お茶会に呼ばれなくて悲しんでいる」

「まあ…殿下は面白い冗談を口になさるのね。私、お茶会に招待するほど特待生の方と親しくありませんわ。それとも殿下はこの学園に在籍する全ての生徒とお茶会をしたことがあるのでしょうか?」


王子は口をつぐむ。全ての生徒とお茶会なんてするはずもない。上げ膳据え膳王子がお茶会を主催できるはずもない。だって彼は招かれる側の人間だからね。


王子は「しかし…」と歯切れ悪く抵抗しようとしていた。無駄な足掻きをする。身分に関係なく交流を持つべきならば特待生以外とお茶会をしろというクレハ嬢の主張を打破できないのにね。


「お話はそれだけですか?」

「クレハは、その」


次の言葉を探して目をウロウロさせる王子。クレハ嬢は暫くしてから溜息をついた。


「エヴァン様とお話ししたほうが有意義だわ」


そう、ぽつりと呟いてから去っていく。彼女のその態度に王子はショックを受けて固まっていた。


「うぷぷ…クレハ嬢も協力的で有難いですなあ」

「これでどう転ぶかな」


王子が危機感をもって特待生を遠ざけ、クレハ嬢と交流するなら第二の結果に落ち着く。その後のことは王族の問題だ、流石にそこまで面倒は見れん。


クレハ嬢の煽りによって王子が特待生に入れ込むようになれば第三の結果になるかな。逆ハーレムにいる者達に現状をきちんと把握させ、謝罪行脚に付きあってやる。うちにはセイン君という切り札があるので、謝罪行脚は効果的だからね。


「もう少しで仕上げか?気合を入れるか」

「そちも悪よのう」

「いえいえステラ殿には負けまする」


建物の陰から様子を見ていた私達はにやりと笑う。一番の結果を残せるかはまだ解らないが、二番くらいは確実に残せると確信しながら。

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