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ここで…毒餌…!

それから女子生徒達の間でゆっくりと特別なお茶会は広まっていった。そもそもクレハ嬢は公爵令嬢で王子の婚約者だからね、皆のリーダー的存在。そんな彼女から招待されるなんて、名誉なもんです。


招待制という価値の高さに、誰もがクラブを夢見るようになる。そして一度来た者は何度も通う。クレハ嬢が誘ったのは身分が高い者ばかりで、選ばれた人だけが行ける特別な場所だという印象を与える。


ここで…毒餌…!


「エルマ男爵令嬢をご招待したいのだけれど、いいかしら?とても素晴らしい詩を書く逸材なのよ」

「もちろん、フォリスマー公爵令嬢の紹介なら喜んで!」


人前で堂々とこう宣言してやることで、身分に関係なく優れた人は招待するという印象を作った。これで上位貴族だけの遊びで、下位貴族には関係ないという固定概念をぶっ壊す…!


「きっと特別なお茶会を気に入りますわ」

「ふふ…エヴァンよりリカルドのほうがいいかしら。優しくて読書が趣味の大人しい方です」


ちなみにエルマ男爵令嬢の婚約者は、特待生に関係なくプレイボーイ。昔から女好きだ。プライドが高くて男友達はゼロという可哀想な奴なので、おそらく自分の女が他所に行くなど許せないだろう。


ひひひ…今回の餌に丁度いい。いきがって強がって謝れないまま全てを失うがいい。女は自分のものだと思い上がったまま捨てられて、鳶に油揚げをさらわれるのだ。


・・・


「まったくステラは恐ろしいことを考える」

「なんだいセインくん。私が嫌いかね?」

「好きだが」


セインは私の企みに気付いて溜息をついていた。


「公爵令嬢のお墨付きなんて、とんでもない付加価値だ。男爵はプレイボーイ気取りに嫁に出すのを渋るはず。婚約解消するだろうな…みっともない男がキャンキャン鳴くだろうが」


男爵からすれば公爵家と結びつく絶好の機会だからね、公爵家が紹介した男なんていた日には喜んで乗り換えますとも。


プレイボーイの実家からすれば真珠入りの貝をそれと知りながら手放さなくてはならない痛手だ。引き留めたくとも、プレイボーイの女遊びを持ち出されたら引かざるを得ない。やーいやーい!息子を止めなかった代償だーい!


「おほほ、負け犬の鳴き声ほど癒されるものは無くってよ。そして前例が一つできれば、当然周りも動き出す。男爵令嬢でも特別なお茶会に行ける事実!婚約者を奪われる恐怖!荒れるわ〜!」


婚約者に悩む令嬢達は、現状を打破するために動き出すだろう。そして令息達は自分は何かしていないか己を振り返る。動かない人達?それは知らない。泣いてるだけの奴を助けるほど暇じゃないもん。ボランティアじゃねぇんだぞ。


「あのクラブは一度の料金が高いが…高位貴族と話せる機会だとすれば痛い出費でもないのか」

「ドレスを新調しなくていいから合計金額的には夜会よりも良心的なのじゃ。借金のある家はむしろ支援してもらえる機会になるね」


何故わざわざこんな事をするのかって?そんなの下位貴族が上位貴族に見初められシンデレラストーリーを一般化するためさ!特待生だけだ特別という空気を壊すためだね。


私は高笑いをする。この計画の穴はセインがしっかり埋めてくれるので安心だ。

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