表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/12

第10話:勇者、神殿で検定される

王都・大神殿。

白い塔と石畳の階段の前で、リクはパン粉だらけの服装のまま立ち尽くしていた。


リク:「……やっぱ帰っていいかな」

ミナが胸を張る。

ミナ:「ダメです!神殿さんが呼んでるんですから!」

隣で神殿騎士団長セラフィナが冷たい声で告げた。

セラフィナ:「静かに。ここより先は神域。ふざけた態度は許されません」


リクは小声でぼやく。

リク:「黒髪ポニテ怖い……目も緑で鋭いし……」

セラフィナ:「聞こえています」

リク:「すみませんでした!!」



石造りの廊下を抜け、巨大な丸天井の部屋に通された。

床には淡く光る魔法陣、水晶柱、祈る神官たちの列。


セラフィナが中央に立つ。

セラフィナ:「これより、魔力検定を行います」


リク:「……魔力検定ってなに?」

ミナ:「私も気になります!」

セラフィナはわずかに眉を動かし、淡々と説明した。


セラフィナ:「魔力検定とは――

人が魔法を扱えるかどうか、その適性と数値を測定するための神殿の公式儀式です。


内容は三つに分かれます。


1. 魔力量測定

 体内に流れる魔力マナの総量を測る。多ければ多いほど高度な魔法が扱える。



2. 属性・術式適性の検査

 火・水・風・土・雷・光・闇など、どの属性に魔力が共鳴しやすいかを判定する。

 同時に魔法陣の構築など、術式処理能力があるかも測る。



3. 精霊干渉値の算出

 精霊と契約・交信する可能性を測る項目。

 普通の人間は精霊との干渉値はほぼゼロ。

 精霊使い・巫女・伝承の賢者など、一部だけが高い数値を示す。




合格すれば、魔法士の資格が与えられ、神殿・王都・騎士団で魔法を正式に使えるようになる。

……以上です」



リク:「へえ……意外とちゃんとしてるんだな」

ミナ:「私、これ受けたことありません!」

セラフィナ:「あなたは不法に魔法を使っています」

ミナ:「す、すみません!」


神官がリクを促した。

神官:「勇者リク殿。水晶柱に手を置き、意識を集中してください。怒っていても構いません」

リク:「怒り前提なんだねもう……」


リクが手を置く――

魔法陣が淡く光り、水晶の中に数字が浮かんだ。


> 【魔力量:非常に低い】

【術式適性:ゼロ】

【属性:該当なし】




神官たちがざわつき始めたそのとき――


> 【精霊干渉値:測定不能(上限突破)】

【※警告:器の形が人間規格から逸脱】




パンッ!


水晶の横に、おっさん精霊たちが出現。


髭、煙草、肩にタオル、木製ジョッキ。完全に休憩所。


『おーい勇者!呼んだか!?』

『昼寝してたのに、飯か?火使うか?』

『まずは契約だろ?酒とつまみ用意しろよ?』


リク:「なんで精霊全員おっさんなんだよ!!」


ミナ:「……勇者様、誰と話しているんですか?」

リク:「誰って、この目の前に居る小さなおっさんだけど!?」

ミナ:「勇者様、小さなおじさんが見えるのは子供の頃だけですよ」

ミナは目を潤ませて哀れそうにリクの方に手を置いた。


リク:「え、みんなこのおっさん達見えないの?」


神官:「まさか、そなた精霊が見えるのか!?いや、そんなまさか……」


セラフィナ:「今まで精霊が見えた人間など1人も存在しない。巫女や精霊使いだってどんなに優秀でも声が聞こえるまでのはず……他の結果は神殿の歴史で、最悪の適性結果だし到底信じるなどできません」


その時、ノアが柱の影から静かに姿を現した。

銀の髪が光に揺れ、灰青の瞳だけがすべてを見透かすように。


『――勇者リク。あなたの魔法は、

 術式による魔法ではありません。

 精霊との交渉による魔法。』


リク:「交渉ってつまり……お願い?」

『お願い。時に説得。時に取引。時に土下座です』

「俺だけ魔法が社会人スキル求められてる!!」


ノアは続けた。


『神はこれを試練と呼ぶでしょう。

 あなたに問うのです。――何を救いたいのか、と』


リクは苦笑しながら呟いた。

「まずはパン屋の窯かな……」


そして。

パンと神と精霊と――勇者の物語は、次の段階へ進み始める。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ