転生したらオムライス屋たつた軒
作者名は御座利にしようかと思いましたが、責任の所在がわからなくなるのでやめました。
私は、魔物、【コカトリス】である。
大きな怪鳥で、相手を石化させる能力を持つ、モンスター。
だが、人間の冒険者から、呪い……あるいは毒と言い換えてもいいだろう、
そんな攻撃を受け、今は死を待つのみである。
人間は、狡猾で、だが力強い生物だ。
私の能力を奪うために、封印のような生温い方法ではなく、確実に、命を絶ちに来たのだ。
その力は、あっぱれと言うべきだろう。
死を迎える私に、来世などは、あるのだろうか。
◇◇◇◇◇◇
私は、魔物、【コカトリス】である。
死を待っているからだろうか、時間がいやに長く感じる。
だからだろうか、思考が巡る。
巡り続ける。
私は、鳥系の魔物においては、頂点に近い存在である。
ありとあらゆる鳥系の魔物は、私を畏怖し、恐れた。
食物連鎖においても、私は鳥系魔物の頂点であり、彼らやその卵をよく食した。美味であった。
もしもこの世に転生などと言うものがあるのなら、生まれ変わっても、また食べたいと思う。
◇◇◇◇◇◇
私は、魔物、【コカトリス】である。
魔物ではあるが、ある程度格が高い魔物だということで、鳥系の魔物には珍しく、長い名前がある。
私の名前は、【カカリス=レドックス=ブラスター】である。
なぜこんな長い名前になったかと言うと、縄張り争いで、二匹の強力なドラゴンを倒したからである。
大地龍:なんとかドラ=レドックスと、爆炎龍:かんとかドラ=ブラスター。
トリ頭なので細かい部分は忘れてしまった。
彼らは非常に自分の種族に誇りを持っていて、彼らに勝った私に、名前を受け継いでほしいと言ってきた。
というわけで、こんな長い名前になっているのだが、正直なところ、覚えておくのも名乗るのも面倒である。
もしも生まれ変わるなら、もっと覚えやすい、テンポの良い名前が良いものである。
◇◇◇◇◇◇
ああ、段々と眠くなってきた。私の命が終わるときが近づいている。
この思考が、テレパシーになって、どこかの誰かに、あるいは神に届いているのなら。
私の来世は、何になるのか、教えてほしい。
いや、そんなこと、誰にも、わかるわけはないのだけれど――。
◇◇◇転生したらオムライス屋たつた軒◇◇◇
[完]
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