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【家族の気持ち】

ユウナがはじめてギルドに行った日の夜。

「ねぇ、大丈夫だった?」


子どもたちがやっと寝静まった。とは言え、授乳の時間はすぐに来るだろう。しかも2人だ。覚悟は出来ていたが、疲労はたまる。


「ああ。ありがたいことに受け入れてもらったよ。ギルド長もみんなも。まぁ、ギルド長以外の本心はどうか分からんが。」


幸が薄いと言われているヤードはいつも以上に存在自体を薄くしてため息を吐いた。


本当は、もっとユウナに時間をかける予定だった。


この街に配属されたヤードと恋に落ち、家庭を持ち、子供に恵まれた。一番上のルルドは2度目の受験で文官になった。2番目のリドルは、冒険者ギルドを通して、いい冒険者の付き人をさせてもらっている。もちろん2人ともなかなか会えず心配ではあるが、たまに来る便りで無事を知らせてくれるだけ、親孝行だ。

マナは学校で良い成績を収めているし、何件か嫁に欲しいという打診も受けている。まだ成人前に選択肢がある分とても恵まれているだろう。

そして、ユウナだ。


「ほんとは、あたしが、もっとしっかり。」


ユウナはいい子だ。言えばすぐ理解する。小さいころから、周りを見て、自分に何を求められているか分かるような仕草があった。長男の勉強も、次男のやんちゃも小さいながら何でも付き合って遊んでいた。小さい頃はそれでいいと思っていた。だいたい5、6歳から、手伝いをはじめる。それまでは自由に。そんな風習があるから。

そして、いざ、家事を本格的にと思った時に、双子の妊娠がわかった。

子供をさずかるのは、おめでたいことだし、ありがたいことだ。子は大切にしなくてはならない。

ただ、あたしの余裕がなくなってしまった。予想以上のつわりに、生死をさまよう出産。産んだあとの育児。ヤードはもちろん、マナも、ご近所さんも、もちろんユウナも手伝ってくれた。

けど、産後の感情の起伏が安定できなかった。余裕が持てなかった。そして、ユウナが家事が苦手なことに気づくのが遅れた。

ユウナは気が利く。だが、失敗する。そばにいて、一緒に、1つずつ出来ればよかった。けど、出来なかった。

このまま一緒にいては、駄目になる。だから、ヤードにすがった。それしかないと思ったのだ。この決断には後悔はない。


「⋯家事だけですべてが決まるわけではない。」

「それは、男性と貴族の話よ!」

つい声を荒げてしまう。そう、手に職をつければ何とかなるは、男と金持ちだけ。女に生まれたからには、求められるのは家の事。そんな世の中なのだ。


ユウナにはあたしにない才能があるのはわかる。誇らしい。でもそれではこの世の中は生きていけないのだ。


「ふぇー。」

大きな声に驚いたのか、お腹が空いたのか、ライが泣きだした。ロイも泣き始めるのだろう。

ヤードと急いでかけつけ抱き上げ、ライに乳をあげる。


まだ間に合う。もう少しで体も落ち着くはずだ。

少しでもあの子が生きやすいように。幸せになるように。親がしてあげれることを。あたしができることを。


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