表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/34

第六話:まだまだ続く厄介ごと

祝! ユニーク1000人突破!! これからもがんばっていきますのでどうぞよろしくお願いします。

私は望んでこの家に、



アドリビティウム家に来たわけではありませんでした。



貴族の間ではよくあること、当たり前のこと。



私はそう思ってあきらめました。



私が彼、ルキフェル君のことを知ったのは、



ようやく心の整理がついたそんな時でした。



最初は彼に会おうなんて思いませんでした。



魔力の低い貴族など存在が許されるはずがない。



だから、酷い扱いを受けるのはしょうがない。



そんなふうに考えていました。



すぐにブレアが生まれて忙しくなり、



ルキフェル君のことはいつの間にか忘れていました。



数年後、ブレアを探して屋敷内を歩いていた私は偶然その様子を目にしました。



ルキフェル君がブレアに一方的に魔法で痛めつけられているところを。



ブレアがいなくなるとルキフェル君は泣き出しました。



なぜこんな目に遭うのか?



なぜ誰も助けてくれないのか?



彼はそんなことを言いながらずっと泣いていました。



その時私は思ったのです。



彼も私と同じ、いや私以上に貴族という存在に苦しめられているのだと。



私はブレアにそのことを注意して止めさせようとしました。



でも、いくら注意してもブレアがルキフェル君を痛めつけられるのを止めさせることはできませんでした。



当主様に訴えても放っておけと言われるだけでした。



私自身が何かしようかとも思いましたが、



彼を見捨てるどころか見向きもしなかった私がどんな顔で会いに行けばいいかわかりませんでした。



結局、私はルキフェル君に何もしてあげられませんでした。



恨まれてもしょうがない、そう思っていました。



けれど、もし許してくれるなら……















ぶっ飛んだ当主を確認してみると完全に気絶しているようだ。


「フゥ」


ようやく終わった、あの当主を倒したのだ。


けど、あまりこう沸き上がるもんはないな、虚しいって感じだ。


物語の中で魔王を倒したとかなら世の中が平和になり、国から報酬とかもでるかもしれない。


でも、僕は当主を倒しただけ。


これからの僕の待遇が良くなるわけでもないし、アドリビティウム家の一員になれるわけでもない。


むしろ待遇は悪くなるかな、早く出ていかない復活した当主に殺されかねんし。


「キャャャャア!!」


ブレアの初めて聞く悲鳴に考えるのをやめてブレアの方を見ると、


…………使用人に凶器を突き付けられて捕まっていた。


「いや、何捕まってんだよ。魔法は?」


「しょ、しょうがないじゃない」


当主が殺られたじゃなくて、やられた光景にショックを受けているうちに捕まったんだろうが、情けないな。


「………まだまだだな」


「黙ってろ!! お前ら!」


ブレアに呆れながらそう言うと、使用人に怒鳴られた。つーか、コイツも何やってんだ?


「ハハ……、偉そうにしてたくせにこんなガキにやられるとはな。ざまあねえな! ハハハ!!」


使用人はよく見ると昨日はいなかったが僕をいたぶりに来たことがある奴だった。仮に使用人Eとしよう、めんどいし。


「動くなよ! コイツがどうなってもいいのか!!」


周りの使用人はどうするか戸惑っているのが大多数だった。メイドさんには止めてください、とか言っているいい人っぽいのもいるな。


使用人Eは凶器、つーかナイフをブレアに突き付けたまま周りを脅している。というか、僕に思いっきりガンつけたな。


「おい、てめえ! いつまで偉そうにしてんだ!!」


普通に立ってるだけだけど……


「俺らにサンドバックにされてるくせに生意気なんだよ!!」


くだらない言いがかりだな……


使用人たちの中で使用人ABCが青い顔で使用人Eになにか伝えようとしている。


使用人Eには全く伝わってないが。


「お前らもコイツにやられるような奴を恐がる必要ねぇだろ!!」


「そうだ! 落ちこぼれにやられる奴なんか恐がることねぇよ!!」


「今までの借りを返してやる!!」


使用人Eの呼びかけに血の気の多そうな使用人たちが答えた。若い男はほとんどだな、ああ使用人ABCは後ろの方で震えてるな。


「な、何する気よ!!」


ブレアは貴族としての自負からか必死に平静に振る舞おうとしているようだが、声が震えっぱなしだ。


「うるせぇ!! 貴族だからって威張りやがって!!」


「キャア!!」


使用人Eのナイフが首に当たり、ブレアはまた悲鳴を上げた。


いいかげんうんざりしてきたな〜〜。


僕がすぐ動けるように構えると使用人Eが文句をつけてきた。


「なんだよ? 逆らう気か。魔力もほとんど使っちまったくせに」


確かにもう中級は使えんな。コンバットフォームももって数分って感じだし。


「俺たちは貴族にずっと苦しめられてたんだ。だから俺たちには復讐する権利があんだ!! 当主がやられたこんなチャンスを逃す手はないしな!!」


「要するに僕が当主を倒したのに便乗しようってわけだろ……」


小物だな〜〜〜。


「喧しい!! お前もコイツを傷物にされたくなきゃ大人しくしてろ!! 」


いや、正直痛めつけられてた恨み以外の感情はもってなから別にって感じだが。


「そうだ。当然なんだ。俺たちの気持ちを今度はコイツラに味あわせてやる!!」


使用人Eがまた訳のわからない理屈を言っているが無視してブレアをどうするか考える。


まぁ、わざわざ見捨てることないか。


「ハハハハハハガヒュ!!?」


ドンッ!!


隙だらけの使用人Eを殴りつけてブレアから引き離しそのままコンボを繋げる。


ガッ!! バギ!! ドガッ!!!


体ごと蹴りあげ、顔面を殴り付けてから踵落としで地面に叩き付けた。


「な、なにが……」


意識を失わないように加減はした。言いたい事があるんだよな。


「アンタさ、さっきから復讐する権利がどうとか当然だとか言ってるけど…」


符を使用人Eの上にのせてからブレアの近くに行く。



また人質にされたらめんどくさいし。


「アンタは何かしてきたのか?」


「……なにをだ?」


いや、何って……。


「努力をだ。貴族と正面から戦うな!」


「バカが…。貴族に勝てるわけ……」


「僕は勝ったぞ。魔力は平民とたいして変わらないし、体だってまだ子どもだけどな」


使用人たちを睨み付けながら続ける。


「僕は毎日努力してきた。魔法関連の本を読んだり、体術の訓練をしたり、符を作ったりな」


そう、あの日からずっとだ。勝つための方法をずっと考えてきた。そのためにずっと自分を鍛えてきた。


「アンタは何もしてない。ただ自分より強い奴にやられたことを自分より弱い奴にやってただけだ」


ただ自分のちっぽけなプライドのために僕を痛めつけていただけ。


「なのに当主が戦えないとなったら急に強気になりやがって」


相手が自分より弱くないと逆らうことすらしない。


そんな奴らに……


「ふざけるなよ!!! お前らも貴族もどんなに立派なこと言おうが同じだ。」


そうだ、結局弱い者を踏みつけてるだけの奴らに。僕は……


「臆病者ども!! かかってこいよ!! ただし……」


叫びながら符に意識を集中させる。イメージは雷。


「サンダー!」


ビガァァ!


「ギャァァァア!!」


使用人Eにのせた符が発動して魔法が使用人Eを襲った。


「お前たちなんかに僕は負けない!! 容赦もしない!! 覚悟があるなら相手をしてやる!!」


僕は両手いっぱいに符を持って使用人たちを見据え、堂々とそう宣言した。


使用人たちは使用人Eの様子を見てかなりびびっているらしく、威勢がよかった奴らも後ろに下がっていった。


これなら戦わなくてすみそうだ。符があってもさすがにもう疲れてたんだよね。


「そこまでです」


その時、知らない声が聞こえた。


大声というわけでもないのにしっかりと聞こえたその声の方を向くと、ドレスを着た綺麗な女性がいた。


ひょっとしなくても……


「お母様!?」


ブレアがそう呼ぶ人間は一人だけだ。


つまり、あの人が当主の妻、ブレアの母親。


一難去ってまた一難。


まだまだ厄介ごとは続くようだ。


読んでくださった方どうもありがとうございます。構成に悩んだため投稿が遅くなってしまいました。実はこの後の展開も迷ってますが。みなさんの感想・意見お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ