第三十二話:対策会議………のはず
…………………ルキフェル、早く帰ってこないかな〜。
あっ!? 聞いてます聞いてますよミアさん!
ハイ…ハイ、ごめんなさい。
う〜〜〜、なんで私がお説教されてるの…。
何かしてるのはルキフェルなのに……。
というか扉の修理くらい最後までやっていって欲しかったよ。
…だからミアさん、ルキフェルがどこに行ったかは知らないんです。
それにルキフェルなら大抵の相手なら大丈夫ですよ。
え…心配なものは心配?
う〜ん、でもルキフェルですよ。
はぁ、そうですか……。
ミアさんよりルキフェルのほうが強いのに……変なの。
いえいえ、なんでもないです!
あっ、ほら誰か来たみたいですよ。
ふ〜〜、助かったよ〜〜。
アレ? でもいったい誰が…ってもしかして!?
ミアさんストップ! ストップ! ちょっと待ってぇ〜〜!!
さてと、あの三人は縛ったうえで結界張ってきたし、酒場の偵察もした。そろそろ帰りますかね。
しかし、みんな逃げようとしたりしないんかね? 家の中に籠ってる人ばっかだし。
まぁ、パニック状態よりマシか………でも外に出てる俺が目立つんだよな〜。
…………右よし! 左よし! ゴー!!
念のために物陰に隠れながら少しずつ進んでいく。
教会の近所には酒場も金持ちの家もないから、賊たちも来ないと思うが見つかったらアウトだしな。
慎重に小動物のように、周りに気を配る。…ヤバイ感じはなしか、けどこっちに来る可能性もある。早く対策を立てないと。
塀や屋根の上を走ってショートカットをしていくと、教会が見えてきた。
「到着っと! 」
さて、ミアさんに事情話して避難してもらうのが一番かな? ルートとどこに避難するかが問題か…。
そんなことを考えながら扉に手をかけ…。
「ル・キ・フェ・ル〜!!!」
バンッ!!
「ガバッブッ!?」
…ようとしたところで開いた扉に顔面を強打された。
「で、なんで俺が怒られるんだ」
「ルキフェルが悪いから」
いやルキア、もっと具体的なことが聞きたいんだけど。
「ルキフェル……何をしていたのか、お話ししてくださいね」
ミアさん、今から洗いざらい話すんでその笑顔は勘弁してください。
「あの程度防げんとは…。やはり修行が足りんな」
師範、たしかに師範なら余裕で防げるでしょうが、あの扉の勢いを魔法なしで止めるのは俺にはまだ無理です。
「えっと………大丈夫、ですよね」
フォルティアさん、たしかにこの程度修行で日常茶飯事ですが、心配くらいしてください。
「コホン。とりあえず師範たちがいるってことは手紙は読んでくれたんですよね?」
「ああ、これだろう」
そう言いながら師範は手紙を取り出した。
「しかし正式な弟子でないとはいえ、このような手紙で師を呼び出すのは感心せんぞ」
「すいません、火急の用事があったので」
たしかに礼儀には欠ける行動だったと思い、素直に頭を下げる。
「……あのお父様、他にもっと気にすべきところがあったと思うのですが……」
そう言ってフォルティアさんも何かを取り出した。それは片方が細く尖っている棒だった。
「ルキフェル君。その手紙がこの棒に結ばれて、家に飛んできたんだけど…」
「ああ、手が離せなかったんで投げ槍みたいに教会から投げたんです」
最初は誰かに届けてもらおうとしたが、頼める人がいなかったんだよね〜。
ちなみに普通の投げ方だとコントロールが不安だったんで、教会の屋根の上からさらにジャンプし、そこから投げ下ろした。
「なんでそんな危険な方法を使ったんですか!?」
「へっ?」
いや、たしかに木とはいえ先が尖っているものを投げつけられたら危ないだろう。
「でも矢文ってものがあるって聞いたことがあったので、そのノリで…」
あれよりは安全だったと思う。所詮少し手を加えた木の棒だし。
「貴方という子は……」
「ルキフェル、矢文って決闘するときに使うものじゃなかったけ?」
ルキア、よく知ってるな〜。そしてミアさんはごめんなさい。
「まあ、そういう使われ方もあるけど、今回みたいにただの手紙を送るのにも使うぞ」
船同士で手紙をやりとりするときとかには便利だし。
「話が逸れてます! ルキフェル君、この棒がもし人に当たったりしたらとか考えなかったんですか!?」
「あー、いや…」
もちろんそれは考えた。だからこそ、目標から外れないように投げたのだ。
そこら辺の通行人にでも当たったら、殺人事件になる可能性もある。でも……。
「師範とフォルティアさんなら大丈夫かな〜〜、なんて…」
俺は気まずくなって目を逸らす。
「…………ルキフェル君」
「…………ハイ」
「お話しましょうか。主に私のことをどう思っているのかについて…」
いや、その、いちおう緊急時なんでまたの機会にしていただけませんか?
「(無理だと思うよ)」
「(ルキア、ならフォロー入れてくれ…!)」
このままじゃ、本題に入れない!
「別にいいだろう、フォルティア」
「でもお父様!!」
師範ナイス!
「ようはそれだけ坊主に信頼されてるってことだ。実際お前、見事に避けたじゃないか」
あー、フォルティアさんそれで怒ってたのね。でも避けたってことは…。
「やっぱり大じょ…」
ギロッ!
「すいませんでした。次からは柱とかを狙います」
こわっ! 何で俺の周りの女の人はこんなに怖いんだよ。
「ほら坊主も反省してるし、勘弁してやんな」
「反省してるところズレてない?」
ルキア、収まりそうなんだからまぜっかえすな!!
「と、とにかく話を戻して…今の状況について説明します」
「…………私だって女の子なのに」
……フォルティアさんには後でしっかり弁解しとこう。
読んでくださった方ありがとうございます。
そして更新が遅れ誠に申し訳ありません。
時間があいたせいでキャラ設定などをど忘れしてしまい、かなり時間がかかってしまいました。
それにまだまだ多忙な日々が続くため、次回の更新はいつになるかわかりません。
しかし、中途半端なところで終わらせるのはアレなので、一区切りつくまでは必ず書き上げようと思っています。
ではまた次回ノシ