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第三十話:運ばれたものは? 後編

ハハハ…、あいかわらずルキフェルは理解できないね……。



なんでそこで怒るのかな……別に自分のモノをどうしようとそれはその人の勝手だよね?



というか、ルキフェルのお母さんってなんでそんな豆知識というか、トリビア的なことを知ってるのかな?



やっぱり親子ってこと?



……ルキフェルのお母さんか…やっぱり変わった人なのかな?



ルキフェルがあれだけ変なんだもんね。



初めて会ったときは、私が精霊で、ルキフェルが人間だから変って感じたと思った。



でもルキフェルは、ううん、初めて会ったときのルキフェルは人間の中でも、とっても変だった。




わざわざドラゴンにケンカ売るとかありえないよね、うん。



しかも、一か八かの特攻が失敗して、大怪我して、立つどころか息をするのすらツラいのに、それでも立って……。



私が言えたことじゃないけど、あのときのルキフェルはかなり危うくみえた。



ま、最近のルキフェルはだいぶおとなしいなったみたいだけどね。



最初、ルキフェルは考えるより先になぐるタイプだと思ってた。



でも一緒にいると、なぐる前にいろいろ考えてるのがわかった。…修行してるときは別だけど。



これは成長したっていうのかな?



それとも、ひょっとして、ルキフェルは…。
















「ルキア」


教会への帰り道で背にいる相…いや病人に呼びかける。


「ん? な〜に?」


「体調はどうだ?」


「もうだいぶいいよ。けどまだ戦うのは無理。せめて後数時間はこうしていたいかな?」


「それは休んでいたいってことか? それとも…」


「もちろんルキフェルにおぶられていたいってことだよ」


そう言ってルキアはいっそう強く俺に抱きついてくる。


……ホントにいつからこんなキャラになったんだか。


「あ、それルキフェルのせいだと思うよ」


「なんでだよ?」


「ルキフェルと私は一心同体…ちがうね、二心同体かな? だからルキフェルの影響を受けたんじゃない?」


「俺はそんなキャラじゃないだろ」


どちらかといえば社交性はないし。


「けど、身内にはとことん甘いよね」


………いや、まあ。べ、別に特別扱いしてるわけじゃないんだからなっ!


「………なんでツンデレ風? それにか・な・り・特別扱いしてるじゃん」


ぐ!? 今のナシで! プレイバックしてくれ!!


「意味わかんないから…。ひょっとしてテレてる?」


「…オッホン! さて話を戻すぞ。とりあえずルキアは直接戦闘は無理なんだな」


「逃げた……。でもルキフェルの考えすぎってこともあるんじゃない?」


「それならそれでいいんだよ…。想定するのは常に最悪の状況だ」


「どこの兵士よ…」


「うっかりミスるよりマシだ」


「あ〜、ルキフェルが言うと説得力あるかも」


ぐっ、痛いところをつくな。たしかにミスったせいで今ここにいるわけだが。


あのとき周りをしっかり確認していれば……………いや結局遅かれ早かれこうする予定だったしオーライか。


「バットエンドすれすればっかりだけどね」


「………ホントだな」


俺って実はかなり強運なのか?


ってまた話が逸れてる!


「さて、アイツラにどう対処するか…」


「でも、敵って決まったわけじゃないでしょ? ルキフェルと似た境遇とか、お忍びの旅の途中とか」


「その可能性もある。あくまでも俺の思いつく最悪のパターンだったときの対策だよ」


「あのデタラメな地図も?」


「ああ」


あの二人に渡した地図の示す場所は教会ではなく、例の孤児院だ。


しかもわざと大通りを避けて、迷いやすい裏道だけを地図に示しておいた。


ヘタしたら町の人だって迷うかもな。


「人に聞かれたら一発でバレるのに意味あるの?」


………………おーまいごっと。


「考えてなかったのっ!? だいたいコレは明らかにイタズラレベルだよね?」


「ハッハッハッ…………少し反省するわ」


半分はあのバレバレな演技に付き合わされたのと道具の扱いにムカついた腹いせにやったようなもんだしな〜。


「そんなにイヤだった? むしろ私たちには丁寧過ぎるくらい下手に出てたような…」


「あの手の輩と友好関係は築けないな、少なくとも。笑顔のまま、いきなりズドンってくるタイプだねアレは」


もちろんあのまま大人になってからの話だけど。今はまだそこまで役者じゃないみただったし。


とりあえずあの人種は生理的に受け付けない。お互い様かもしれないけどね。


「まっ、あと二三は手をうっておこう」


「まだやり返したりないの…」


そっちじゃねぇよっ!


「あの二人が貴族の血筋だとしたら同時に相手をするのは無謀だからな」


「……それは考えすぎじゃない? 男の子の方は戦力にはならないでしょ」


甘いな、ルキア。


「あのくらいの年齢でも魔法は使える」


コントロールはつかないかもしれないが、一般人には十分過ぎる戦力になる。


「それに……俺みたいに特殊な資質を持っている可能性もあるしな」


だいたいあんなところにいる時点で、まともな部類である確率は極小だ。


「ルキフェルみたいな資質? それならむしら楽勝じゃないかな」


「ちがう、"特殊な"資質だ。……………あとナチュラルにそんなこと言わないでくれるか」


へこむから。地味に傷つくから。たしかにそうなら身体を鍛えてる俺の圧勝って、自分でも解っちゃうから余計にへこむ。


「ハハハ………。とにかく対策? は任せるね。あと…」


あと?


「ミアさんへの言い訳も」


「ああ、オッケ………いやいやいや、それは二人でかんがえようか」


「ルキフェルが原因でしょ。頑張ってね」


いや、たしかにそうだけどさ。ここは二人で協力して乗りきろうぜ。


「それにもう遅いよ」


「お帰りなさい、ルキフェル、ルキア」


話している間に教会にたどり着いてしまったらしい。目の前にはじゃっかん黒い笑顔のミアさんがいた。


「……ただいま戻りました、ミアさん」


たしかに遅かった。つーか怒ってないかミアさん? たしか前話では怒ってなかったはず。


「(前話って何? 怒ってるのはたぶんルキフェルが脱出のときに扉にヒビいれたせいだと思うよ)」


ヒビ? ってマジで!?


「(…マジでだよ。ほらあそこ)」


ルキアの目線の先を見ると、たしかに扉に見事なヒビが…ってこれは修理とか無理なレベルだぞ。


普通に取り替えないといけない。俺何したんだよ……。


「(たしか強化外装(コンバットフォーム)で蹴り開けてた)」


…………たんれんのせいかはたしかにあるみたいだな、うん。


「ルキア、どうかしたのですか?」


「あ、ちょっと具合が悪くなっちゃって…」


「じゃ、じゃあ俺はルキアを部屋に寝かせてきますね〜」


「じゃあルキフェルはその後でお話ししましょうか………この扉について」


ぐっ、やはり逃げられないか。


「(頑張ってね)」


俺は肩を落としてゆっくりと自分たちの部屋に向かった。誰か助けてくれ……。















トン! テン! カン!


とりあえずヒビのはいったところに板を打ち付けて、補強していく。


さすがに俺一人で完璧な修理は無理だ。俺は木を切り倒せても、細かい加工ができない。


人目につかない場所ならともかく、正面の扉だからな〜。


明日にでも大工さんたちに頼みにいかないと。


トン! テン! カン! カン!


結局ミアさんに土下座して謝って、修理は責任をもって俺が手配する、しばらくは問題を起こさないよう自粛するという方向で許してもらった。


まあ、できるなら普段からして下さいと言われたが、それは無理だ。


「でも即答はヒドイと思うよ」


かもな〜。ミアさん頭痛そうにしてたし。


「で、調子はどうだ、ルキア?」


一旦手を止めて、ルキアの方を向く。


「ん〜、後ちょっとって感じかな?」


ルキアは軽く跳んだりして調子を確かめながら言った。


「具体的には、クールタイム終了まで後一時間くらいって感じ」


「マジで具体的だな」


もう日も暮れ、夕食も食べて、後は寝るだけって時間だしな〜。そりゃ、回復もするか。


「ただ、ずっと寝てたせいで全然眠くないんだけど…」


「ああ、そりゃそうだろうな」


人間、ず〜っと寝っぱなしなんてのは無理だ。やっぱり生活のリズムってのが大事ってことだろう。


日が昇れば起きて、沈めば眠る。それが正しい姿ってもんだからな。


「ところで対策とかできたの? ずっと扉の修理してたんでしょ」


「大丈夫だ。一つは俺がするんじゃなく、してもらうんだから」


俺は手紙を一通届けただけだが、後は勝手にしてくれているはずだ。


「…ルキフェル、顔が悪どくなってるよ」


「気にするな。で、後は拠点の防衛強化、つまり教会にいろいろと仕掛けること…」


俺は軽く扉を叩きながら、笑う。


「扉の修理をするのはむしろ好都合だったよ。堂々と作業できたからな」


隙をみて扉以外にも仕掛けができた。後は…。


「待ち受けるだけだ」


「…………いやヤル気満々はいいけどさ、来るかどうかはわかんないんでしょ?」


「いや、来たみたいだぞ」


「へ?」


俺はルキアに点滅する符を見せた。


「これって…」


「索敵用の符だ。これは大人数が近づいて来たら反応するタイプな」


ちなみに帰り道で街道に置いてきた。


「…………それって確かなの」


「本の通りに作ったからたぶん」


本自体はかなり古いけど、内容そのものは信用できる…はず。


「自分でもよくわかんないもの作らないでよ…」


「とにかく俺は偵察に行ってくるから。誤作動ならその時はその時ってことで」


「……ハァ、わかったよ。行ってらっしゃい…」


「おう」


俺は道具を片付けて、近くに置いておいた装備を身につける。


「さて、もしアイツラなら、道具の大切さってもんを叩き込んでやるっ!」


「あくまでも、そこにはこだわるんだ…」


当前だ。ほぼ八つ当たりだけどな。


読んでくださった方まことにありがとうございます。


遅れて本当にすいませんでした。


リアルが忙しいうえ、ペンも進まなくてこんなに遅くなったしまいました(ペンは使ってませんが)。


とりあえず、区切りまでがんばるのでよろしくお願いします。


では次回ノシ


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