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第二十八話:風の運ぶもの 後編

構想中のキャラと既存キャラの名前を間違えていたため、修正しました。

……………不幸だよ。



ルキフェルってば私に対して全然容赦がないんだから…。



ミアさんやエイミにはいろいろと気をつかうくせに。



なにかな、私には気をつかう価値なんてないと?




そうなんだ……そうなんだね。



ルキフェルは変わっちゃったんだね。



ダレのせいかな?



あの日、あの時に私を好きって言ってくれたルキフェルはどこにいったのかな?



なんでかな?



ルキフェルは私を愛してたのに?



ねぇ、ナンデ?



(…………………)



ミアさんのせい?



エイミのせい?



それともフォルティアさんのせい?



ルキフェルはミアさんが好きなの?



エイミが好きなの?



フォルティアさんが好きなの?



……………ダメ。



そんなのダメ。



認めない。



認めない、認めない。



絶対に認めない。



そんなの間違ってる。そんなのおかしい。そんなのありえない。そんなのそんなの……



(………ルキア。俺が悪かった。だから、その若夫婦の奥さんみたいなモノローグはやめてくれ……!)















疲れた。


全力疾走による肉体的なものではなく、精神的に疲れた。


つーか引きこもりたい。


何も考えず、一日中ベッドに寝転がっていたい。


「フンッ! ルキフェルが悪いんだからねっ!!」


たしかに悪いのは俺だよ。ホントに悪かったよ。心から謝罪するよ。調子にノってすいませんでした。


「ちょっとルキフェル!?」


俺なんかがなめたまねして本当にごめんなさい。これからは身の程をわきまえます。


「もしも〜し?」


だからそんなコワいこと言わないで。来ないで。もう勘弁してく…


「とりゃあっ!!」


ガツン!


「がふっ!!?」


バタリ


…………………………………あれ?


なんで俺は外で寝てるんだ?


ここは森、だよな。


「ルキフェル! 目が覚めた?」


「ああ、ルキア。いつの間に俺は地面で寝たんだ? あとなぜか頭が痛いんだが…」


「突然倒れたんだよ。痛いのは地面に寝てたからじゃない?」


「いやうつ伏せなのに後頭部が痛いのはおかしいだろ」


とりあえず服についてる土を払って立ち上がる。


「え〜と、今から教会に帰る………んだよな?」


「うん」


なんか前後の記憶が曖昧だな〜。


頭が痛い以外は特に体調は悪くないんだけど。ちょっとダルいくらいか。


軽く身体の調子を確かめながら俺は歩きだす。


「…忘れるくらいイヤだったってことかな? こういうのって、防衛本能とか言うんだっけ?」


ルキアはそう言って、俺を珍獣を見るような目で見ていたが、何のことかわからなかったのでスルーした。


つーか俺より確実にお前の方が珍しいだろ。






「疲れた〜」


「はやっ!?」


まだ歩きだして十分もたってないぞ。


つーか"疲れた"だって?


「ルキア。お前どこか調子でも悪いのか?」


精霊のルキアと人間の俺では身体が…というか存在からして違うけど、とにかく違う。


人間の俺には肉体的疲労があるがルキアにはそんなものはない。


男としては情けないが、俺とルキアが持久走をしたら確実に俺が負ける。


そんなルキアがこの程度歩いただけで疲れたって………。


「なんかさ〜、身体が重いというか、力が入らないというか〜〜…」


って、おい!?


俺はしゃべりながら傾くルキアの身体を慌てて支えた。


マジでどうしたんだ!?


「アレ? ルキア、お前の髪…」


あの果実を食べてから翡翠色もとい緑系の色だった髪の色が薄くなっていく。


顔を覗き込んでみると瞳も同じように色がどんどん薄くなっている。


時間制限ありだったってことか?


そして一分もたたないうちにルキアの髪と瞳はもとの銀色っぽい灰色となった。


ちなみにこの色がルキアの精霊としての基本色でもある。


「もうだめ…。歩けないよ…」


ルキアはまさに疲労困憊といった様子だ。


やっぱりアレってドーピングみたいなもので、これが副作用ってことかな?


「そんな〜〜」


そんな〜とか言ってもしょうがないだろ、これは。


「急にあんなに暴れまわって、痛みがないだけマシだろ」


「うぅ〜〜」


ま、嬉しかったのはわかるし、力を思う存分振るいたかったのもわかる。


さすがに周りが嵐の過ぎた後みたいにしたのは、やり過ぎだと思うが…。


「で、歩けるか?」


「ムリ」


「即答かい。……はぁ」


俺はルキアを支えながら体勢を変え、そのままルキアをおんぶした。


「ねぇねぇ、同化した方が速くない?」


「いや、そんな状態のお前と同化したら、最悪俺までダウンするぞ」


できれば、同化した方が楽っちゃあ楽だ。


ならなんでルキアの体調が良いうちにしなかったか。


理由は単純明快。ルキアが風属性になっていたからだ。


風属性でない俺と完全同化しようとしたら、前にルキアの言っていたように……。


危ない橋はできれば渡りたくないしな。


「……………」


「ん? どうした、ルキア」


「…別に、早く帰ろうよ」


なんなんだ? 別に、ってわりには真剣な顔してたよな、珍しく。


……とりあえず帰るか!


ルキアを寝かさないといけないし。


…………………………悪化する可能性もあるしな。


「怖いこと考えないでよっ!!」


「あの〜」


「いや、わりとありそうだぞ。今は疲れ程度だけど、一晩経ったらひどい激痛が身体中をとか」


「それ筋肉痛でしょ!?」


「もしもし?」


「無理をしたのは同じだろ? 俺も昔そんな経験あるし」


いや〜〜、あの頃の俺は若かった。


「まだ子どもじゃん!」


「今の"若い"は"浅はかだった"とかいう感じの意味だ」


「すいませ〜ん?」


「つまりバカってことだね」


「ぐっ。否定はできんな。……けどその理屈なら今のお前も同じだろ」


「あれ? ………わ、私は別だよ。だって私は…」


「す・い・ま・せ・ん!!」


突然の大声に、ルキアの言葉が遮られる。


「なんだ?」


「いきなりこんな大声を出すなんて常識を疑うよね」


まったくだな。


とりあえず声のした方を見ると肩で息をしている少年と、その後ろに隠れるように立っている男の子がいた。


少年は俺以上フォルティアさん以下で、男の子はハルトと同じか年上ってとこか。


「何か用か?」


「す、すこし道を聞きたいの、だが…」


「ちょっと落ち着いたら? ほら、深呼吸深呼吸」


「ダレのせいだと…!!」


なんか逆にヒートアップしたな?


「道って街道か? なら、あっちだぞ」


「違うよ。こっちだよ」


「そうだっけ?」


通ったことないからイマイチ覚えてないな。


「そうではなくてですね……」


二人ともまったく反対の方向を指している俺たちを、呆れたように少年は見ている。


「近くの町への道を聞きたいのですが」


「町?」


事情を聞くと、旅をしてある仲間たちとはぐれてしまったらしい。


とりあえず町に行き、情報を集めようとしたが迷って森の中をさまよっていたそうだ。


「そこに私たちが通りかかったってこと?」


「はい。お二人は迷っているといった様子ではありませんでしたし、旅をしているには軽装すぎましたから」


たしかに着の身着のままで飛び出してきたしな。


「わかった。んじゃ、着いてきてくれ。日が暮れる前には着きたいから少し急ぐぞ」


「はい。ありがとうございます」


「なに。いちおう教会の者だからこれくらいはな」


別に教えを信じてるわけではないけど、教会暮らしなのは変わらんし。


「ところで後ろの君、具合悪いの?」


「………………」


「いえ、この子は人見知りで」


男の子はルキアの声に反応すらしない。


人見知りというレベルじゃないよな……。


なんかやな感じだねぇ。


俺はそんなことを思いながらも、ルキアが落ちないようおぶりなおしてから、町へと歩き出した。


まず読んでくださった方ありがとうございます。


そして結局今までで一番遅れた投稿となってしまい、申し訳ありませんでした。


第一部(仮)のキーパーソンは登場させられましたが、ほんとに最後にちょっとだけですし(-_-;)


まだまだ忙しい毎日が続くのですが、少しづつでも書いていこうと思っています。


ではまた次回ノシ


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