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第二十四話:変わる平穏 前編

祝!! 十万PV!!! 


更新遅れ気味ですが、これからもよろしくお願いしますm(__)m


修正

☓:十二精霊 → 〇:十精霊

でした。すいません。

孤児院の一件以来は教会は平和だった。



心配していた孤児院からの干渉もなく、あの五人がまた現れることもなかった。



でも、少し…いや、確実にみんな前とは変わってしまった。




ミアさんは孤児院に行った子は幸せだと信じていた。



だから、子どもたちが孤児院に行くのを寂しく思っても強くは止めなかったらしい。



だが、真実を知った今はそのことを後悔している。



あの時もっと引き留めておけば……と。



一見だと良心的なところだったから、気づかなくても仕方がないと言ったけど、ミアさんはずっと気にしている。



年少組も、もうあの五人と仲良くできないことを理解してからは落ち込んでいた。



それに今では以上に俺とルキアに甘えてくるようになった。



俺たちがアイツラのようになるかもと、不安になっているのだろう。



ルキアは勉強を一生懸命やるようになった。



頭が良くなれば、みんなを助ける名案が浮かぶはず、とのことらしい。



俺は今まで以上に修行に力を入れている。



格闘にも、魔法にもだ。



正直なところ、こんなことをする必要はない。



むしろしばらくは大人しくしていた方がいいのだ。



孤児院にはおそらく目をつけられたし、特に魔法は近場に貴族がいたら感づかれてしまうのだから。



けど、何故か……やめようとは思わなかった。















「フッ…」


一歩踏み込むと同時に右腕を突き出す。


腕だけでなく体全体を意識するのが大切だ。


残心を行なってから、腕をおろす。


だいぶ慣れてはきたけど、やっぱり違和感があるな。


いや、俺のバトルスタイル的にしょうがないんだけど。


俺は基本構えなんてとらない、というか実際に構える暇なんて最初から考えていない。


何故なら、俺が仮想敵にしているのは貴族である当主や前に戦ったドラゴンだからだ。


どちらも圧倒的な攻撃力と攻撃範囲をもっているため、その場で相手の出方を待つなど愚の骨頂。


一撃で死にかねない。


だから常に動き回り、相手を牽制して隙を狙うというバトルスタイルにした。


当主戦の時は油断させるためにわざと魔法のぶつけ合いをしたけど、同じ手は使えないだろうしな。


いや、教えてもらってることは役に立ってはいるんだけどね〜。


屋敷というか森の中にいた時より確実に強くなってはいる。


けど………それはただの平民として、だ。


コンバットフォームぐらいしか、バレないように使える魔法がないから俺らしい戦い方ができない。


たしかにコンバットフォームは俺の主力な魔法だけど、単純な攻撃力ではせいぜい中の上…いやルキアと一緒なら下の下かな。


それでは貴族には通じない。


だから魔法を含めた実戦ができれば一番良いんだけど……。


バレるわけにはいかないから、貴族や知り合いに見つからないようにする必要があるんだよな。


けど、貴族以外で魔法が使えるヤツなんてめったにいない。


別に大型の獣でもいいけどこの辺にはいないしな〜。


第一、俺の魔力量的に切札を試せるのは一回だけだし。


……………条件がムズすぎだろ。


「何をやってるんです?」


声の方を向くとそこには紙袋を抱えたフォルティアさんがいた。


「あれ? フォルティアさんいらっしゃい」


「こんにちは、ルキフェル君」


現在すでに昼を過ぎて、あと二・三時間で夕方といったところだ。


今日勉強会はとっくの昔に終了し、フォルティアさんは家に帰ったはず…。


「どうかしたんですか?」


「お父様が珍しいものを手にいれたので、おすそ分けに来たんです。ルキフェル君は自主練ですか?」


「ええ、少し」


年少組がお昼寝中だが、俺は寝る気分ではなかったので抜けてきたのだ。


まぁ、やることが特になくて、軽く身体を動かしてたらああなったんだけど…。


少し思考が戦いの方向に行き過ぎかな、俺?


……ま、いっか。


「ところで珍しいものって何ですか?」


俺の質問に対して、フォルティアさんは笑ってこう言った。


「見てからのお楽しみです」





「じゃあ、見せますよ」


立ち話も何なので教会に入ってもらったら、目が覚めたらしい年少組+ルキアと鉢合わせし、何だかんだで現在食堂に全員が集合している。


全員が身を乗り出して見守る中、フォルティアさんが紙袋に手をいれ、素早くテーブルの上にそれを置いた。


その物体は……


「………果物?」


ルキアが呟いた通り、それは一見果物だった。


手のひらにおさまらないくらいの大きさで、左右対称の形……いやフォルティアさんは横に持ってるから今は上下か。


色は緑だが未成熟なわけではないらしく、甘い香りがした。


たしかに市場とかじゃ、見たことない………いや、なんか引っかかるような。


「フォルティアさん、これは何て果物なんですか?」


「精霊の実ですよ」


「「!?」」


『?』


ミアさんの質問に返ってきた答えに俺とルキアは一瞬身を固くした。


ルキアがその精霊というのは二人だけの秘密だ。


けど、いきなり精霊なんて言われるとやっぱりびくっとなるな。


精霊なんて普通に暮らしてる分には、聞かない言葉だからしょうがないんだけど。


ミアさんたちはクエスチョンマーク浮かべてるし。


しかし、精霊の実ね……


「(ルキア、知ってるか?)」


「(えっと、なんか聞いたことはあるかも)」


「これは一般には風の果実って呼ばれてるそうです。なんでも他に地とか水とか種類があって、精霊の伝承があるところにしか生息しないとか」


……あ! 精霊関係の本で見たことあるな、たしか。


あれが生えてるところには精霊がいるとか可能性が高いとか。


「(私も思い出したよ。十精霊様の居るところにだけできる果物があるって昔聞いた)」


「(たぶんそれだな。って十精霊?)」


聞いたことないぞ、それ。


「(えっと、各属性に一人じゃなかった、一体ずついるその属性で最強の精霊のことだよ。………言ってなかったっけ?)」


聞いてないから。しかし、十精霊ね…。色々聞けるかもな。


「どこて採れるんですか、これ?」


「お父様はたしか、この町の南にある秘境でたまに見つかるって言ってましたよ」


南ね、後で地図で調べよ。


「……おいしいの?」


今までじっと風の果実を見ていたエイミがフォルティアさんに尋ねる。


たしかに果物っていうんだから、甘いんだよな?


めっちゃ、青つうか緑だけど、これで食べられるんかね?


「……」


俺たちの疑問の視線にフォルティアさんは顔を背けた。


「食べてないんですか?」


「いちおう食べてましたよ………お父様が」


「さて、昼寝の続きでもしようか」


「そだね」


俺とルキアは即座に年少組を抱えて脱出しようとした。


師範が食べてたなんて言われても、何の安心もできないからな。


「待ちなさい、ルキフェル」


くっ、ミアさんに回り込まれた。


「せっかく戴いたのに、その態度は失礼ですよ」


いや、フォルティアさんの態度を見るに、師範から逃げる理由作りにおすそ分けに来たのだろう。


間違いなく善意ではない。


たしかに珍しいものを見せてはもらったが、それとこれとは話が別だよな。


「じゃあ年長者のミアさんどうぞ」


俺の言葉を聞いたミアさんは硬直した。


「………………」


「………………」


何やら頭を抱えて悩んでいるミアさんを俺はただ笑顔で見つめる。


「………………わかりました。いただきます」


そのまま、神よとか呟きながら、風の果実に手を伸ばそうとするミアさん。


根っから真面目人間だね〜、ってヤバいだろ!?


「ストップミアさん!! 冗談だから!」


もしミアさんに何かあったら、教会がなりたたなくなる。


だが、年少組に食わせるわけにもいかないし、ルキアでは毒味にならないし。


ハァ〜〜。


いや、俺って野生児みたいな生活してたから、腹はそこそこ丈夫だよ。


あくまで一般人の範疇で。


師範のような超人と比べたら数段劣るはずだ。


けど、この状況じゃあ退くに退けない。


俺は覚悟を決め、風の果実を手に取り表皮を服で拭いた。


「あの〜、ルキフェル君。やっぱり…」


「いえ、俺が食べます」


フォルティアさんが止めるってことは、俺今かなり悲壮な顔してるのかな。


「うん、まるで絶体絶命の状況で"俺この戦いが終わったら、結婚するんだ"とか言う戦士みたいだよ」


「ただでさえ絶体絶命なのに、さらに死亡フラグ追加かよ」


それはかなりアレだな。


てか、こんなところで勉強の成果を披露するなよ。どんなこと学んでんだ?


ルキアの軽口のおかげでリラックスはできたが、気が抜けたので改めて引き締める。


「じゃあ……いただきます!」


俺は目をつむり、一気に果実にかじりついた。





………………………………………………………………


あっ、美味いはコレ。


読んでくださった方どうもありがとうございます。


いや、いろいろ立て込んでたせいでこんなに遅くなってしまいました。


すいません。


これ以上ペースを落とさないようがんばりますのでよろしくお願いします。


ではまた次回(^^)ノシ

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